2011/12/31

年の終わりに。


昨夜、ネットのニュースで敬愛するコメディアン・内藤陳さんが亡くなられたことを知った。

60年代に結成されたお笑いトリオ「トリオ・ザ・パンチ」のリーダーであり、その決め台詞「おら、ハードボイルドだど」で知られているが(と言ってもR40限定だと思うけど)、俳優としても『麻雀放浪記』『月はどっちに出ている』など多くの作品に出演している。

その陳さんのもう一つの顔は、自ら立ち上げた「日本冒険小説協会」の会長さん(来年は30周年記念パーティーが予定されていたらしい)。自他共に認める“面白本のオススメ屋”としても知られ、20年以上前に書評エッセイ『読まずに死ねるか』を著しているが(月刊プレイボーイの連載エッセイをまとめたもの)、私も、陳さんの軽妙な筆致とパッションに導かれて、たくさんの“面白本”と出会うことができた一人。今も“面白本探し”に多少の嗅覚が働くのは読者として陳さんに師事したお陰だと思っている。
 
陳さんの最期を看取ったのは彼が店主を務める新宿ゴールデン街のバー『深夜+1(しんやプラスワン)』の従業員の33歳男性とのこと。ベッドの上ではなく、病室から出たお気に入りの場所で椅子に腰掛け、笑顔のまま穏やかに逝かれたらしい。ハードボイルド小説を愛した陳さんらしい幕引きだなあ……と思う。心からの感謝と哀悼の意を表したい。合掌。


さて、今年も余すところ10数時間。体も心も揺れに揺れた2011年をどんな内容で〆ようか……と考えていたら、こんな言葉に出会った。

《今も、これからも、我々の背後には死者がいる》

いま読んでいる池澤夏樹のエッセイ『春を恨んだりはしない』の一節だが、年の終わりを締めくくるには少し重すぎる言葉だろうか……でも、震災の記憶をしっかり心に留めつつ、明日へ向かって歩み始めた私たちにとって最もふさわしい言葉のような気がしている。

では改めて、年の終わりのご挨拶……

夏の終わりにスタートした当ブログも、早4ヶ月。時に生き難く、時に気だるい日々の足掻きのように書き続けてきましたが、予期に反して多くの方に読んでいただき、本当に有難く嬉しく思っております。
来年も、忙しい皆さんに一時でも楽しんでいただけるよう、自分のペースで自由に書き連ねて行くつもりです。どうぞ、これからも「コトノハ舎」ブログを宜しくお願いいたします。

そして明日から始まる2012年が、日本にとって、世界にとって、
私にとって、あなたにとって、生きて行くすべての人にとって、
希望に満ちた年でありますように。

※今夜の紅白はレディー・ガガ!(えっ、長渕剛?……見ないよオレは)





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