2019/07/31

「無縁者」として。




《れいわ新選組は、左派ポピュリスト政党、などではない。それはそもそも「政党」ではなく、「左派」でもなく、「ポピュリスト」でもない。れいわ新選組は、無縁者の集まりであり、その無縁のエネルギーが、ガチガチに固まって人間を閉塞させている有縁の世界に、風穴を開けつつある。人々の支持を集めているのは、その風穴から、空気が吹き込んでおり、息ができるようになったからだ、と私は考えている。》(安冨歩「内側から見た「れいわ新選組」」より)

という、安冨歩さんの分析に「触発されて」書かれた、映像作家・想田和宏さんの記事「れいわ新選組は野良猫の集団である」……


読んですぐに「そうか…そうなんだよね!」と唸った。どうして自分が「れいわ新選組」に共鳴するのか(&猫が好きになったのか?)……それは、私自身も「無縁者」だから。

この間、その「無縁者」の一人として、ひとつ(叶いそうな)夢ができた。
それは、彼らが政権を担う社会で生きること。その姿を見届けること。
そして、「無縁者」として共に闘い続けること。考え続けること。


さあ、明日はどうなる?
(テレ朝・モーニングショー「そもそも総研」、初登院、新宿での街宣など)


P.S.
昨日、録画で観たNHK「ノーナレ」(729日放映)は、川崎のラッパーたちに密着した「川崎 South Side Rap


遠い昔のある時期、3交代勤務の工場労働者として働き、遊ぶ金も夢もなく鬱々と日々を過ごしていた街は、今、「ジャパニーズラップの聖地」と呼ばれているらしい。(京浜工業地帯に隣接する南部の地域は、生活保護を受けて暮らす世帯も多く、在日韓国・朝鮮人、フィリピンやブラジル出身者などルーツも多様)

くすんだ空の色、コンビナートから吹き上がる煙、下町の生活音、ドヤ街の人たち、一杯酒場の孤独と温もり……あの頃と変わらぬ風景の中、あの頃の自分のように、行き場のない感受性だけを必死に守りながら、魂の発露を探して生きる若者たち。そのリアルな叫びが胸に響いた。


「親がいるならいい、両方そろわないのが俺らだぜ」
「涙の数だけ強くなれるなら、とっくに俺は最強だよ」



 

 

2019/07/30

『新聞記者』…など。




「たまには“男同士で映画”もいいんじゃない?」と企画した「映画デート(からの飲み会)」。その初デートに選んだのは話題のヒット作『新聞記者』。(男3人で観に行くはずが、「私も観たい!」「あっ、ワタシも」の声を受け、ツレとY君の連れ合いMARIちゃんが加わり5人での鑑賞。鑑賞日は17日、場所は「新宿ピカデリー」。映画の後は伊勢丹会館4F「あえん」で“ワイワイ”)

監督は若干32歳の藤井道人、原案は菅官房長官の“天敵”として有名な東京新聞「望月衣塑子」記者。
主役は二人、東都新聞記者・吉岡エリカ(シム・ウンギョン)と、内閣情報調査室の若手官僚・杉原拓海(松坂桃李)……加計・森友問題とそれに絡んだ公文書改竄、元TBS社員で安倍総理と深い関係にある記者「山口敬之」によるレイプ事件など、現実に起きた事件とフィクションをリンクさせたストーリー展開が巧み。ただの一人も政治家を登場させない(巨悪の姿を見せない)という作り方もサスペンスの緊張感を生む上で効果抜群、真実を求める記者と政治の暗部に気付いた官僚の苦悩の只中に、ジワジワと私たちを引きよせる。

で、ラスト近く、「この国の民主主義は形だけでいいんだ」という作品中で最も印象的な一言が杉原の上司で内閣情報調査室のボス・多田(田中哲司)から発せられ、観客一同「こわーっ」「この国ヤバい」……となるのだが、もともとアメリカから与えられた民主主義。マッカーサーの指揮下で作られた現行憲法の改正(改悪)を一貫して目指している政権(及び日本会議や神社本庁)にとっては、その憲法同様に「戦後民主主義」も邪魔な存在。
「形だけの民主主義」以前に、現政権の中枢にいる政治家たちの理想郷はナチスドイツではないのか?とまで疑っている自分にとっては、「さもありなん」という感じで特に意外性もなく、改めて恐怖を覚えるほどのこともなかった。

寧ろ本当に「ヤバい」のは、その言葉に象徴された現政権の体質ではなく、誰もが一人の人間として自由に生き、自由に発言する権利を持っているはずのこの国で、多くの人が「立場」でしか話が出来なくなっているという現実のほう。
その立場が社会的に重ければ重いほど、個人の意思など何処へやら、「立場」で生きるほかなく、「立場」でしかモノが考えられなくなっていくことの怖さ・異常さ……

杉原が微かに口を開いて何かを呟いたラストシーンを改めて思い浮かべながら、この息苦しい言語環境を作ってしまった責任は、ほかの誰でもなく(もちろん「安倍のせい」でもなく)、日本社会を形成する「私たち」自身にあることを痛感せざるを得なかった。
(そんな「杉原」のラストの言葉……私には、「一個人としての思いを捨て、立場で生きる道を選んでしまった」ことに対する「ごめん」だったたように思えたが、如何に?)

まあ、何はともあれ、こういう政権批判を含む社会派サスペンス映画が選挙期間中に上映され、しかも大ヒットしたことは、映画界にとっても日本社会にとっても、良い兆し。

どんな時代であろうが、どんな社会で生きていようが、結局、最後は主人公ふたりのように「人としてどう生きるか」という個々の選択の問題なのだから、形だけでも「民主主義」が存在しているうちに、自分自身の「自由」を取り戻し、その権利を常に行使しながら“息苦しさ”を社会から払拭する努力を重ねること。それしか道はないように思う。

P.S.
元号が変わって既に3カ月。「令和」の“令”には未だに抵抗感を覚えるが、ひらがなの「れいわ」は目にも耳にも、しっくり馴染む今日この頃……

明後日(81日)は、「れいわ新選組」の国会議員2名(ALS患者の舩後さん、重度障害者の木村さん)の初登院。そして新宿駅西口では、参院選後、初の街宣となる「山本太郎 街頭記者会見」が行われる。
このところメディアへの露出度も一気に増したし、まさに「れいわ」の夏の始まり…と言った感じ。(鉄は熱いうちに…早く来ないか、衆院選!)

にしても今回の参院選、「N国(NHKから国民を守る党)」の実態をよく知らずに、NHKの受信料及び政権ベッタリの報道姿勢に疑問を感じて投票した人たちは(私の友人も危うく一票入れそうになった)、今ごろ、きっと後悔しているのでは?

続いて、相変わらずの「日韓」…

一昨日(28日)読んだデジタル版の日経新聞に「ソウルで数百人が反日集会 輸出規制強化に抗議」と題する記事が写真付きで載っていたが、その写真で、デモの参加者たちが掲げているプラカードに書かれた文字はハングルで「NO安倍」……(な~んだ、俺たちと一緒。全然「反日」じゃないじゃん!と、嫌韓を煽るメディアの姿勢に“喝”)

で、そのデモの心は?…「コリアンポリティクス」の徐台教(ソ・テギョ) 氏の呟きを読んで納得。
《ソウル光化門広場で行われている「安倍糾弾 第二次キャンドル文化祭」デモに来ています。見る人が見ればすぐ分かりますが、これは「日本不買デモ」ではなく、いわゆる自主派のデモです。安倍政権=韓国旧親日右翼=南北融和反対vs民族自主という図式です。敵は日本ではなく、冷戦守旧体制ですね。》

さらに徐さん10日前にはこんなつぶやきも。
《東アジア再編を信じ、その過程で冷戦構造をはじめ朝鮮半島にまつわるあらゆる「くびき」を無くしたい韓国政府と、そんなものはそもそもあり得ないと切り捨て、既存の秩序を維持しそれを基盤に勢力拡大を目指す日本政府。日本から見る韓国は「妄想」、韓国から見る日本は「妄執」。交わらないだろう。》

いつまで続くぬかるみぞ……といった感じだが、まずは日本が自ら「妄執」を解き放つ道を探ること。それですぐに関係が改善するわけではないだろうが、隣国の「妄想」を、お互いの「夢想」に変えることはできるのでは?と思う。


 

 

 

2019/07/23

「れいわ」の熱い、風に吹かれて。(20日~22日)



先週の土曜(20日)、「れいわ新選組の(参院選)最後の街宣を見届けようぜ」と、旧知の友人T君を誘い、新宿へ。(T君とは5年ぶりの再会。私が送った「選挙ハガキ」をきっかけにYou Tubeを閲覧、奥様共々「山本太郎…いいねぇ~」となったそうだ)

会場(西口ローターリー・小田急デパート前)に着いたのは18時前……黒山の人だかりをかき分けながら、何とか「新宿センキョ」の横断幕が張られた演壇を見通せる場所を確保。当選すれば難病ALS患者として史上初・世界初の国会議員となる「舩後やすひこ」氏の言葉に聴き入った。

それから約30分後、T君夫妻到着(奥様とは実に40年ぶりの再会)……まるで革命前夜を思わせるような、沸き立つ熱気、歓声、溢れんばかりの人の数に驚きながら、楽しそうに目を見張る彼に、「生きてる間に、新宿でこんな景色に出会えるなんて、ちょっと夢見たいだね。(デモ隊の数の多さに驚いた)新宿騒乱以来かなあ…」と話しかけると、「アハハ」とまた楽しそうに笑っていた。
(会場の熱気は2年前「枝野ブーム」で沸いた新宿南口以上。集う人たちも、中高年が圧倒的に多かったその時に比べ、10代~70代以上まで幅広く、特に20代~40代の若い男女の姿が多く目についた)

そして19時過ぎ、「タロー、タロー」の大歓声が鳴り響く中、今回の選挙の主役・山本太郎が登場。

「みなさんどうしたんですか今日、こんなにたくさん集まって。小泉進次郎さんでもいるのかな?」と、つかみはOK
「太郎は太郎でも、河野太郎さんではございません。そして水道を民営化して海外に売ろうとした太郎でもございません。永田町の野良犬、山本太郎でございます」と、マクラもOK。

会場がさらに盛り上がったところで、体中の熱を喉に集め、一気に吐き出すように放たれる言葉、言葉、言葉……揺るぎない思いに込められた強さと優しさ。その圧倒的な説得力とエネルギーで聴衆の心を掻っ攫う彼の話力に、思わず「ホント凄いなあ…。田中角栄の再来かもね?」と、傍にいるT君に呟きつつ、聴き入った。
(演説の上手さは立憲・枝野代表と双璧だが、「人の心、とりわけ大衆の心を揺さぶる・動かす」という点では、山本太郎が一枚上。言うならば、知力の枝野と情念の太郎……いつか二人が手を握り、共に闘う日が来るのだろうか…この国が「いつか来た道」に向かわないために)



20時。演説の途中にボランティアの人に手渡された“クラッカー”を、思い切り空にめがけて引き放ち、「新宿センキョ」終了。

大混雑&大盛り上がりの会場を後に、私たち3人は「思い出横丁」へ。そこに立ち並ぶ一軒の酒場に入り、再会を祝しビールで乾杯。1時間半ほど飲み食いした後、帰路に就く……はずだったが、駅に向かう西口ロータリー付近は、まだ人の波。あれ?と思い、「新宿センキョ」会場付近に視線を投げると、太郎さんほか「れいわ」の立候補者たちが並び、支持者の人たちと一緒に写真を撮っている。
となれば、私たちも記念に……と、写真撮影を待つ人の列に加わり(撮影会は1時間以上続いていたらしく、列の前も後ろも数人程度)、ほどなく「れいわ」の皆さんとパチッ。撮影後、太郎さんと握手を交わし、心おきなく新宿を後にした。



そして翌日・翌々日……

山本太郎は、99万以上(比例区史上最多)というぶっちぎりの得票数にも関わらず落選……「新宿センキョ」の盛り上がりから「投票率が少しでも上がれば、4議席はとれるかも?」と、大きな期待を寄せていただけに個人的には少し残念な結果だったが、太郎さんにすれば“これぞ身を切る改革”。
スタート時の想定通り特定枠の2人を当選させ、政党要件も満たすことができたのだから、実質的に「落選」の痛手なし。次の選挙に向けて確かな手応えを感じる「大きな一歩」になったのではないだろうか。
また、重度障害の当事者2人の当選により、国会のバリアフリー化も一気に進めることができるし、「合理的配慮」という言葉の意味も国民に広く行き渡らせることができる。必然、内外からの注目度も高まり、正しい意味で「日本の民度」が試されることになる。

各メディアもこれまでのように「山本太郎&れいわ新選組」を無視することができず、代表・山本太郎の名と共にその目指す政策・方向性が多くの人の知るところとなるはず……これぞ心ある秀でた戦術家のみが為せる業。本当に見事な「政治家」に成長したものだと思う。

にしても、21日夜のテレビ報道(選挙特番)のバカらしさ、くだらなさ……長々と「小泉進次郎」を追いかけるTBSをはじめ、堕ちるとこまで堕ちた感じ。あまりのレベルの低さにムカムカして、即BSにチェンジ。ドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします』に、じっくり見入った後、就寝。「明日は我が身」と…ふと、人の介助を受けるほかない状態になった自分の姿が頭に浮かんだが、すぐに消えて夢の中へ。

22日は朝から、私のせいで「山本太郎押し」になった友人たちとメールのやりとりをしながら、日がな一日、ネットで「れいわ新選組」に関する記事やツイッターをチェック。
(その合間、テレビをつけたら「投票率が伸びませんでした。なぜなんでしょう」と、女性キャスターが呑気にコメント。「局で働くアナタがそれを言うわけ?」と、またまた呆れ速攻で切った)

というわけで、政治も人生の大切な一部。生きている限り関わり、考え続けること。
そして、それを楽しむこと……


めっちゃ面白かったぜ「れいわ新選組」!





2019/07/15

「熱狂」の何が悪い!?




《政治に関心をもってこなかった人たちに関心を呼び起こした山本太郎の功績は大きい、と評価する人たちは多いだろう。 確かに昨日(12日)の品川演説も、とても多くの聴衆を集めた。 けれど、「時間がない」という切迫感の中でカリスマ的な指導者に頼ろうとするうねりが大きくなることには警戒すべき。》……など。

参院選が中盤に入り、主に立憲民主党を支持する知識人たちが(上記の“呟き”の上西充子氏ほか)、山本太郎及び「れいわ新選組」への支持の広がりを、何故か敵対勢力の台頭のように“警戒”するコメントを発しているのを目にする。(差別主義者や排外主義者、軍国主義者の熱狂とは、真逆の方向性なのに!誰も山本太郎を「カリスマ」などと崇め盲目的に支持しているわけでもないのに)

で、その一人、上西充子氏は、こんなことも呟いている。(「国会パブリックビューイング」の取り組みなど、その活躍には敬意を表していたのだが…)

《「この国は完全に壊れています」「時間がないんです」「あなたを幸せにしたい」という山本太郎議員の言葉と、「変わるのは私たち 変えるのも私たち」「一人のリーダーだけでは社会は変わらない」「時間がかかっても、私たちが変えていこう」という大椿ゆうこ候補の言葉を比べて、考えてみてほしい。》

と、暗に山本太郎および「れいわ新選組」を支持する人たちの翻意を促しているが、選挙で勝つのは「正しい(ことを言う)人」ではなく、その短い期間で多くの人々の心をつかんだ人。(もちろん「山本太郎」も“正しい人”の一人だと思うが)
一人の聴衆として、目の前でこの二人の言葉を聞いた時、果たしてどちらの言葉に心を動かされるだろう。
明らかに、「変わるのは私たち」と、見も知らぬ「私」に意識変革を迫る人より(多分、私をはじめ多くの人は「大椿ゆうこ」を知らない。その知らない人に「変われ」と言われて、一体、誰が変われる? なぜ、変わる必要がある?)、「あなたを幸せにしたい」と、胸のど真ん中に直球を投げ込む「山本太郎」の方ではないだろうか。
(「時間がかかっても、私たちが変えていこう」って、それはいつだ!?戦いの最中に負けを認めているような、そんな弱腰で悠長な、ただの決意表明に誰が惹かれる? 誰がついていくのか?
で、「一人のリーダーだけでは社会は変わらない」…か。当たり前だろ、みんな分かってるよ!そんな説教くさい言い訳じゃなく、「私が先頭に立つから、力を貸してほしい」と、なぜ言えない?)
ひょっとして上西氏は、「山本太郎」の支持者たちは、ひたすら「カリスマ」に従い、その言葉に酔い、その場の空気で流されるだけの無知・無思考な人間、冷静に判断できない危険な人々だとでも思っているのだろうか? それこそ「知識人」の傲慢ではないのか?(こっちこそ「党派的」な発想・思考から抜けられず、「れいわ新選組」の登場による急激な情勢変化に慄くアナタに、山本太郎が巻き起こした熱狂の意味を冷静に「考えてほしい」)

私は今回の参院選、《いつの時代も、大衆の「熱狂」を集められない政党・政治家は選挙に勝つことはできない》ということを間違いなく知っていて、それを実践しようとしているという点で、山本太郎が一番の「政治家」だと思っている。
(例えば、「郵政民営化」の是非だけを国民に問い圧勝した小泉純一郎のように、「アメリカ第一主義(経済的国家主義)」を掲げて勝利を収めたトランプのように、また歴史的には「外国からの抑圧・民族の危機(ヴェルサイユ体制打破・ユダヤ人排斥)」を訴え、煽り続け、国民の心にナショナリズムの火をつけて台頭したヒトラーのように、大衆の「熱狂」を生み出すプロパガンダの秘訣は、友人の言葉を借りれば「単純化された一つのことを繰り返し、繰り返し主張すること」)

だからこそ、彼は《「消費税廃止・減税」一本で闘おう、まとまろう!》と、共闘を呼びかけたのではないか。
「消費税廃止!お金はあるところからとる」という正に「右か左かではなく、上か下かの闘い」……格差社会の「上下対決」を鮮明にするその強烈なワンイシュー(を争点とする闘い)の呼びかけに反応することなく、「増税凍結」などというおざなりな方針で金持ち優遇の税制を容認し、対決色を薄めることで何とかまとまった「野党共闘」に、一体誰が、大きな期待を抱くことができるというのだろう。(「消費税廃止」は、「税金の取り方を変える」もの。「税金の使い方を変える」という以前の民主党の政策より、はるかに革命的だと思う)
立憲パートナーズの一人でもある私を含め、多くの人たちが「自公に勝つ気もなければ、本気で闘う気もないんだな」「また暫く、予定調和のような国会が続くのか…」と、失望するのは当たり前ではないか。

山本太郎と「れいわ新選組」が生みだした「熱狂」は、そんな失望の裏返し。現政権のやり方に長く苦汁を飲まされてきた人々の怒りであり、労働者の味方でも何でもない「連合」に忖度する政党への苛立ち・不信であり、日々の生活にあえぐ人々の叫び……この国が捨て去ろうとしている当事者としての市民一人一人が生みだしたものではないのか。
その当たり前の「熱狂」を怖れ、その意味も理由も探ろうとしない「知識人」は、政治のダイナミズムの中に飛び込むべきではない。そのような「知識人」の存在を(少なくても)私は、必要としない。以上。(ちょっとキレ気味だったかも)

で、気分直しにこの動画(政見放送)……「新しい人じゃダメですか?」
https://www.youtube.com/watch?v=i0Hjg2hKiQQ
山本太郎同様、党の「指導」に屈することなく「消費税廃止」を訴える立憲民主党・石垣のりこさん(宮城選挙区立候補者)。ぜひ当選を果たし、立民の「新しい物語」を作り上げる一人になってほしいと思う。

P.S.
山本太郎の「選挙ハガキ」が友人・知人に届いたようで、その中の数人からメールあり。

「山本太郎氏 の応援ハガキいただきました。「れいわ」は比例の特別枠(ファストパス)で障害者の方々を入れてますね。与党の身勝手でできた制度のようですが、他の野党も反対だけじゃなくアイディアで逆手に取ればいいのに‥ と思ってました。」
と、“同感”の言葉を送ってくれたのは、我が「コトノハ舎」の生みの親であり、私同様、映画とサッカー観戦が好きな建築デザイナーのIWAMAさん。(静かに熱く、心優しきプロフェッショナル……また、「コトノハ舎」で、楽しく語り合いましょう!)

「私が政治家なら、「まともな金利を払え、黒田を即刻首にしろ(金利ゼロでどうやって2000万円ためろというんだ!)」というスローガンで打ってでるけどね。高齢者から圧倒的な支持を得られるのじゃないでしょうか。太郎君は、どちらかというと貯金とか持ってない若者ないし氷河期世代が相手だから、こういう発想はでてこないと思いますが。異常な低金利政策は、預金者の懐からお金を取り上げて、株式投機するハゲタカどもへの資金供給源を与えています。所得効果から考えれば、全く中立的な政策ではありません。」
と、目からウロコ的な意見&提案を送ってくれたのは、旧知の友人であり、敬愛する経済学者のN君。(ぜひ、山本太郎のブレーンの一人になっていただきたいなあ…マジで!)

2019/07/10

比例は「山本太郎」に!

テレビ局が自局の“報道番組制作現場のダメさ”を隠さず撮影した『さよならテレビ』(東海テレビ制作/2018年9月2日放映)が話題になっているらしく、その一部が「ビジネス・ジャーナル」(文・明石昇二郎)で紹介されていた。
【シーン♯1】
局の社員ではない外部スタッフのベテラン記者(49歳)が、ニュース番組で「共謀罪」法案の特集を担当することになった。彼は、NHKが同法案を「テロ等準備罪」と呼ぶ一方、民放他局の中には「共謀罪」と呼んでいる局があることについて、『さよならテレビ』のカメラに向かってこう語っていた。
「共謀罪という言葉を使わないメディアは、批判する気がまったくないという。権力の監視よりも、権力を支えるほうを選んでいるっていうことですよね。恥ずかしいけど」
 だからベテラン記者氏は、特集のナレーション原稿に「共謀罪」と書いた。するとデスクから「テロ等準備罪」と直されてしまう。ベテラン記者氏は『さよならテレビ』のカメラに原稿を見せながら、
「ここを直していただいたんですけど」
と、恥ずかしそうに呟く。
(当作品は全国に先駆け「あいちトリエンナーレ2019」で上映される模様。ぜひ「ポレポレ東中野」でも上映してほしい)

要するに「お前たちが生きることは許してやる。但し、俺たちのやることに口出しするな、政治にも興味を持つな」という現・安倍政権や経団連の一貫した態度に、報道メディアが率先して従い、政権を支える側にまわっているのが今の日本だということ。捏造・偽装・改竄・隠蔽…何をやらかしても内閣支持率が下がらないわけだ。(事情通の話によると、TBSとテレビ朝日の内部では政権の問題を報道しようとする現場と、政権に忖度する経営側とのせめぎ合いが続いているが、現場の抵抗は「ギリギリのところにきている」そうだ)

で、今回の参院選……まずは、この演説から。




山本太郎を代表とする「れいわ新選組」が、「比例特定枠」に難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の舩後靖彦(ふなごやすひこ)氏と重度障碍者の木村英子氏を入れて、票数に関わらず「障がい当事者を国会に送り込もう!」という歴史的な選挙戦を展開しているが、新聞は片隅で報じるだけで、テレビはまったく無視。(わずか3カ月で個人の寄付金2億5千万超!そのことだけでも、報道する意義があるはずなのに)

太郎君をはじめ候補者10人(ほとんどが「当事者」かつ「問題に長年、取り組んできたスペシャリスト」)の声を聞けば、政治的無関心層の票を一気に喰らい尽くすぐらいのインパクトは起こせると思うのだが、多くの人がその存在を「政見放送」以外で知る機会すら得られないのは、何とも歯痒いこと。(ツイッターの拡散率は断トツらしいけど…)

というわけで、支持者自らが「山本太郎とれいわ新選組」を広く世の中の人に知ってもらう活動を行うほかなし。私も既に数十枚の選挙ハガキを友人・知人に送り、自宅の駐輪スペース横の壁には4連のポスターを貼り終えたが、「れいわ新選組」がどんな政策を掲げ、どのように政治を変えようとしているのかは「街宣」を見る(&聴く)のが一番。以下のアドレスから、「候補者」の熱い声を、ぜひ!
(私の一押しは、「歩く蟹工船」「貧困のデパート」「れいわの最終兵器」など、様々な呼ばれ方をしている「てるちゃん」こと「渡辺てる子」さん。心からの言葉を持っている人は強い!)






【候補者のプロフィール】
ふなご やすひこ
難病ALS当事者
全身麻痺ギタリスト/介護サービス事業会社・副社長
「強みは、障害者だから気付けるものがある」、出馬理由は「私の信条は人に尽くすことだからだ」

木村 英子
重度障害者
全国公的介護保障要求者組合・書記長/全都在宅障害者保障を考える会・代表/自立ステーションつばさ・事務局長
「障害者が生きられる社会は、誰にとっても生きやすい社会であると信じ、日々それを実現するために闘かっています。」

はすいけ透
元 東京電力社員/元 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会事務局長
「東京電力で32年間原子力関連業務に従事した経験から、原発現場の実態を伝えるとともに、福島第一原発事故を当事者目線で分析、考察。原子力の廃止を訴える」

やすとみ歩
「女性装」で知られる経済学者。東京大学東洋文化研究所教授
「子どもを守るということを、政治の原則にしよう!」
《「富国強兵」というスローガンが、未だに我々の社会の指導原理となっている事態は受け入れられません。戦後日本では「強兵」をカッコに入れて、「富国」を「経済発展」と言い換えてきましたが、実質的には同じことです。そして、安倍政権は「強兵」をカッコに入れるのをやめる努力を積み重ねてきました。憲法が改正されれば、「富国強兵」は再度復活することでしょう。国民国家が世界を破滅させかねいない状態でこのような変革を推し進めるのは、非常に危険です。今こそ、「富国強兵」に替わるあたらしい理念を政治の原則とせねばなりません。それは「子どもを守る」だ、と私は考えます。》

三井よしふみ
元セブンイレブンオーナー/元コンビニ加盟店ユニオン執行副委員長
「日本のコンビニフランチャイズは、現代の蟹工船。人手不足が加速し、次々と体調を崩すオーナーたちをこれ以上放置できない。早急に他国には存在し、日本だけが持っていないフランチャイズ規制法を制定し、加盟店が幸せに働ける業界にしたく立ち上がりました。」

野原ヨシマサ
沖縄創価学会壮年部員
「これだけ世の中が悪くなった根本的な原因は、キャスティングボードを握っている公明党と創価学会の変節にあります。解決のためには創価を変革し原点に戻す以外にありません。ファシズム前夜の様相を呈している現今の社会を変革するため、またこの世から不幸と悲惨をなくすため、山本太郎をリーダーとする「れいわ新選組」の仲間たちと力をあわせ頑張っていきたい。」「選挙の際には、絶対に公明党に投票してはいけませんよ。ここ東京で私は(公明党)代表のなっちゃん(山口なつお)とガチンコ勝負でいきます。」

辻村ちひろ
環境保護NGO職員
「人と自然がもう一度ちゃんと付き合う、 正しい持続可能な付き合い方、そういう社会を創りませんか」「日本一個分の暮らしを目指そう。世界の子どもたちの涙の上に成り立つこの繁栄、そういうものをもうやめよう」「都会の人たちの利便性のために、地域を犠牲にする、弱い人たちを犠牲にする、そういう社会を変えよう」

大西つねき
元J.P.モルガン銀行資金部為替ディーラー
「巨大な搾取構造と化した現代の金融資本主義を根本的に変えるために立ちあがった」
「全ての問題の根源は、お金の発行の仕組みにある。政府の借金を税金で返してはならない」「税制に哲学を取り戻し、社会の骨格を作る」「不労所得を一掃し、若者にチャンスを取り戻す」

渡辺てる子
元派遣労働者・元ホームレスのシングルマザー
女性労働問題研究会運営委員/レイバーネット日本運営委員
「働く私たちに、必死に毎日を生きる私たちに、「自己責任だ」として政策の怠慢や無作為行為を容認してしまう政治をなんとしても変えたい。「生きてきて良かった」と思える日本をつくりたい」
「花札のおじさん(トランプ)からポンコツ飛行機を買わされて、誰が得するんだっ!」
「我々が、当事者が、ド庶民が、働く者が、貧乏人が、今の日本を変えなくて誰が変える?お金がなくたって言いたいことは言えますよ。ホームレスやってた私だってできるんです!」

(どういう結果になろうが自公政権が変わるわけではないが、与党が議席を減らせば、政権は消費税や改憲などの政策を見直さざるを得なくなる。そのための一票を「山本太郎」に!)



P.S.
私自身、パートナーズの一人として「立憲民主党」の躍進も期待しているが、政治学者の中島岳さんが指摘するように、今回、枝野・立憲民主党は《「物語」の設定がうまくできていない》。

特に経済デモクラシー(右か左かではなく、上か下か。ボトムアップの経済への転換)を唱えながら「消費増税凍結」では、あまりに弱腰。「消費税廃止・減税」を掲げる山本太郎に比べ、インパクトに欠けるのは歴然。また、「令和デモクラシー」と称された政策全般も、どちらかと言えば“未来志向”で「意識髙い系」には好まれるだろうが、“今を変えたい”貧困層や無党派層及び若者や(消極的)自民支持層をも取り込むような強いメッセージ性を感じず、2年前と同じような期待を集めるのは難しいと思う。(石垣のり子、打越さく良、亀石倫子、山岸一生などなど、魅力的な候補者は多いのだが…)

2019/07/02

もう7月…(もろもろ雑感)



今まで、さほど観る気も無かった「いだてん」(NHK日曜夜8時~)だが、主役が中村勘九郎から阿部サダヲにバトンタッチされ、俄然、面白くなってきた。(「高橋是清」役でショーケンも登場。お陰で視聴意欲も急上昇)

次週は、私が「日本人の活躍に胸を躍らす愛国少年(?)だった」頃、学校の図書室で見つけた古い新聞記事と写真でその存在を知り、「日本女性初の五輪メダリスト」として長く記憶に留まることになったアスリート・人見絹江さんが登場するようだが、その役を、いま注目のダンサー・菅原小春が演じるという……世界に挑む(挑んだ)女性同士、その時代を超えた情熱の融合から、どんな「人見絹江」が生まれてくるのだろう?

で、闘う女性と言えば、一昨夜(6/30)の情熱大陸はフェミニズムの旗手・上野千鶴子さん。東大の入学式での祝辞が話題を集めたが故の出演依頼だったと思うが、彼女自身が言うように入学式での祝辞も「情熱大陸」への出演も「30年前だったら無かった話」、ようやく時代が「上野千鶴子」に追いついた…ということなのだろう。

にしても、“あの祝辞”の中の「あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください」「フェミニズムは弱者が強者になりたいという思想ではありません。弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です」という印象的な一節をはじめ、情熱大陸での「女たちよ、もっと怒れ!怒りを力に社会を変えろ」「その都度目の前にあることにムカつくということを、ひとつひとつ、その時その場で言っていくことの蓄積の結果として、今日の私たちがある」等々、最近耳にした彼女の言葉は、(おこがましいが)男の自分をも鼓舞するように、いちいち胸に響く。(中島みゆきの名曲「ファイト」が最も似合うのは、この人じゃないだろうか…)

さて、G20が終わり、一昨日は板門店でトランプ大統領と金正恩委員長が面会。

それに際して、
《金大中大統領が平壌に行ってから19年。今日、何かが決まる訳ではないが、朝鮮半島の分断が自主的(南北関係)・国際的(核、平和問題)な両面性を持つ中で、その当事者たる南北米が会う意味は非常に大きい。トランプになって、朝鮮半島問題の解決に向けた動きが立体的になっていることは確か。》
《やっぱり軍事境界線付近を見ていると、グッとくるものがある。韓国メディアが悪天候で霧散した2年前のトランプDMZ訪問時と、現在の朝鮮半島情勢の違いを強調していますが、確かに大きく変わりました。議論は出尽くし、変化から果実につなげる時期が来ました。米朝が互いに譲歩するしかない。》
と“つぶやいた”のは、「コリアン・ポリティクス」編集長・徐台教(ソ・テギョ) さん。
トランプがチラつかせてきたカード「朝鮮戦争の終結(宣言)」を、自ら切る時期がいよいよ近づいてきているのだろうか……
(そうなれば必然、日本も北朝鮮との関係改善およびアメリカ依存の外交、安保体制の見直しを迫られることになるはず。世界にとっても、これからの日本にとっても、いい流れのように思いますが、はて?)

※この間、仕事もなく「毎日が日曜日」状態。映画を観たり(『金子文子と朴烈』、『ビル・エヴァンス タイム・リメンバード』など)、本を読んだり、バイトを探したり、年も考えずに飲み歩いたり(お陰でスマホを店に忘れたり、体調を崩したり)しておりましたが、まあまあ元気なので、友人諸氏はご心配なく。
で、最近はあまり頭が働かず(&読むもの・観るもの多過ぎて)、ひとつひとつ詳しく感想を書くのがシンドイので、面白本のタイトルのみ紹介。
◎『父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない』(橋本治/朝日新聞新社)
◎『歴史戦と思想戦―歴史問題の読み解き方』(山崎雅弘/集英社文庫)
◎『9条入門』(加藤典洋/創元社)
◎『レンタルなんもしない人のなんもしなかった話』(レンタルなんもしない人/晶文社)
◎『ある男』(平野啓一郎/文芸春秋)
◎『ベルリンは晴れているか』(深緑野分/筑摩書房)※これは後日、感想を書くつもり。