2021/06/29

早くも今年のベストワン!『アメリカン・ユートピア』


やはりアメリカには敵わない。

自由と平等を求める魂の在り方、強さが、日本(人)とは明らかに違う。

と、一人、静かな興奮と若干の羨望を覚えつつ、目も耳も釘付けになる圧倒的なパフォーマンスに「もう、本当に凄いなあ……一体、何なんだろ、この気持ち良さは?」と、その胸の内を探る言葉も見つからず、只々唸らされてしまった『アメリカン・ユートピア』(監督:スパイク・リー/2020年製作、アメリカ/617日「TOHOシネマズ日本橋」にて鑑賞)。

《元トーキング・ヘッズのフロントマンで、グラミー賞受賞のデイヴィッド・バーンが2019年にブロードウェイで上演したショーを、映画『ブラック・クランズマン』でアカデミー賞(脚本賞)を受賞したスパイク・リー監督が映像化した音楽映画》だが、これほどまでに心を奪われ、魂が浄化されるような快感に酔わされ、その映画体験を(多くの)誰かとシェアしたいと思えた“音楽映画”は他にない。

飾り立てないシンプルなステージング(様々な国籍を持つ11人のミュージシャンやダンサーたちが、揃いのグレーのスーツに裸足で、曲ごとに施された振り付けをこなしながら、21曲を披露)、年齢を感じさせないスマートな動き、心地よいリズムを刻むパーカッションの響き、そして生きる者すべてと肯定の地(自由と平等のユートピア)に向かわんとするバーンの歌声と詩の切なさ、優しさ、強さ……(とりわけクライマックス。ブラック・ライブズ・マターを訴えるプロテスト・ソングの熱唱は鳥肌モノ)

映画化に際し、最適解に徹した監督スパイク・リーの手腕も含め、すべてが完璧。あまりの素晴らしさに、嘘のように短く感じられた107分……正に「これを観ないで、何を観る!?」と、声を高くしてオススメしたい珠玉の一本。早くも、「コトノハ映画賞2021」最優秀作品賞決定!です。(にしても、銀髪のデイヴィッド・バーンのカッコ良さ。「ダンディ」なんて既に死語かと思っていたが、ここにいましたか!!…と、その姿にも魅了されること必至)

P.S.

5月中旬に観たアメリカ映画『ミナリ』(監督・脚本:リー・アイザック・チョン/2021年製作)もオススメ。(惜しくもアカデミー賞は逃したが、私的にはオスカー受賞作『ノマドランド』より、コチラの方が好み)

韓国系移民家族の物語なので、全編、セリフのほとんどが韓国語。なので、韓国映画と勘違いしている人も多いようだが、純然たるアメリカ映画。出てくる人たちも「韓国から来たおばあちゃん」を除いてみんな韓国系アメリカ人(アカデミー賞・助演女優賞を獲ったのは、そのおばあちゃん「韓国俳優・ユン・ヨジョン」)、なのに、移民大国アメリカで「これは、私たちの物語だ」と大ヒット……やはり、人種・民族・国家を超えた家族の物語は人の心を強く打つ、ということ。ちなみに、タイトルの「ミナリ」は、韓国語で香味野菜の「セリ(芹)」を意味する。「たくましく地に根を張り、2度目の旬が最もおいしいと言われていることから、子ども世代の幸せのために、親の世代が懸命に生きるという意味が込められている」そうだ。

国が「亡国五輪」に突き進む中、昨日(28日)、第1回目のワクチン接種終了。

まだ、針を刺したあたりが若干痛むが、それ以外、特に副反応はなし。

2回目は3週間後の719日……抗体が出来るのがその1ヶ月後として、9月になれば、友人たちと一席設けられる感じだろうか?(ウイルスも色々変異しているから、甘い見通しかも?だけど)