2011/12/15

パパはオバカね。もっと野球を楽しんで♪


私に発せられた言葉ではないが、もともと野球は好きだった。根っからの巨人ファン。子どもの頃は、何か嫌なことがあっても、長嶋が打ち巨人が勝てば幸せだった。休み時間は“ゴロベース”、放課後も原っぱで“ゴムまり”を打って遊んだ。それが高じて中・高の部活は軟式野球。中学時代は、激しい練習により右膝を傷め(恐怖のウサギ跳び…)、野球どころか一切の運動ができず3年間を棒にふったが、高校では1年からレギュラー(部員は少なかったけど…)、高2の夏は都のベスト16まで進んだ。
あれから“うん十年”(きみまろ風に)……あんなに楽しかった野球も、大好きだった巨人も長嶋も、いつの間にか遠い日の思い出(長嶋引退の時は、泣けたなあ)。プロ野球も甲子園も、たまにテレビで見るだけ。スポーツニュースでお茶を濁すようになってしまった(でも巨人が勝てば、何気に嬉しい)。当然、巨人の内紛“清武問題”にもまったく関心がない(イチロー、松井秀喜、ダルビッシュの動向は気になるけど…)

だが、こんなGM(ゼネラルマネージャー)が巨人に入るとしたらどうだろう? もう一度、野球に対する興味と情熱が湧いてくるのではないだろうか……と思わせてくれたのが、映画『マネーボール』。

タイトルに使わせてもらった「パパはオバカね。もっと野球を楽しんで♪」は、この作品のエンディング。貧乏球団オークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーン(ブラッド・ピット)が、「二度と金で人生を決めない」と、名門ボストン・レッドソックスの巨額オファーを断る意志を固めた後、車を運転しながら“離婚した妻のもとにいる娘”の自作CDを流すのだが、その歌詞の一節。(最近観た映画の中では、かなりお気に入りのラストシーン。一人闘う男の夢と孤独に娘の歌が優しく寄り添う)

作品のあらましを簡単に紹介すると……“一位になる理由は何があるんでしょうか? 二位ではダメなのでしょうか?”的に金を出し渋るオーナーのもと、“少ない資金でいかに勝つか?”を徹底的に考え、今までの常識・慣習を根底から覆す「マネーボール理論」を構築&実践。他球団から引き抜いた相棒ピーターと共に、旧態依然とした野球界に巣くう“既得権益者”たちと闘いながら、弱小チームを常勝軍団に変貌させた男の孤独な挑戦の物語である。
本作品は、主人公(ビリー・ビーン)の半生を描いたマイケル・ルイスのノンフィクション『マネーボール 奇跡のチームをつくった男』を映画化したものだが、殊更にそのサクセスストーリーを誇張せず、自分の夢と信念に固執する激情かつ非情な男の姿に焦点を合わせた点がグッド(非情さは優しさの裏返しだが)。野球ファンならずとも十分に楽しめる味わい深い作品だと思う。

それにしても、すっかり腹も腰も据わり演技に円熟味を増した「ブラッド・ピット」。時折、志村けんの“アイ~ん”風に顎をシャクレさせる独特の変顔?も板につき、人生の哀歓を醸し出せるシブい男になってきた。



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