2011/10/03

向田邦子の陽射し


朝から頭がボンヤリしている。月曜だと言うのに……

原因は「太田光」にある。あの爆笑問題の太田だ。

まったく見事な本を出しやがって、人騒がせな奴である。

『向田邦子の陽射し』……

没後30年、時をあわせて出版されたこの本には “最強の向田論、最高の入門書”という惹句がついている。

でも、私は向田邦子という脚本家のドラマをほとんど観た記憶がない。
もちろん存在は知っていたが、彼女の小説やエッセイとも無縁だった。
仕事ができて、料理が上手くて、凛として鋭く、独身で、美人……目と耳に入るプロフィールのせいで、容易に近づく気になれなかったのだと思う。

そんな私が“向田論”を読む理由などサラサラないのだが、帯に書かれていた言葉に惹かれ、つい立ち読みしてハマった。

「日本は向田邦子のように生きてきた」

太田光が惚れ込んでいる向田邦子……どんな人だったのか、どんな作品なのか、遅ればせながら知りたいと思った。

で、その挙句の寝不足だ。

太田光は稀有な芸人でありながら、文芸批評の世界に突然現れた異端の達人に違いない。この本が、向田邦子に捧げた珠玉のラブレターでありながら、私たちの足元を照らす優れた日本論・日本人論でもあるように。

後書きで太田はこう語っている。
《日本は、向田邦子のように生きてきた。昔の日本だけじゃない。今の日本を見ても私はそう思う。だから私は向田邦子が好きなのだ。この人を忘れられるわけがない。そして向田邦子が素晴らしいのは、この国と似ていて、太陽とも似ているからだ。これほど誇らしいことがあるだろうか。だから私は、向田邦子を読むと自信が持てて、楽しくなって、何だかんだ言いながら生きていることを続けていこうと思えるのだ》

何という賛辞だろう。心が薫る言葉だろう。

久しぶりに人に頭を下げたくなった。




3 件のコメント:

  1.  私も昔、TVで太田がやたらと
    向田邦子のことを熱く語ってたので、
    彼が薦めていた「思い出トランプ(短編集)」を
    買って読んだ覚えがあります。
    今は内容を覚えてませんが(笑)絶対オススメです!!!
    良かった印象(また読みたい!)しかありません。


    また、最近NHKで放送していた「胡桃の部屋」も
    見た後、じわ~っとくるんですよ。
    女性の胸の奥隅にある細か~い感情の表現とか。。。

    今の日本には、昭和イズム?!みたいな温かさが
    足りない気がします。

    『昭和ドラマ』カンバッ~~ク!!!!!!!!!!!!!

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  2. megoさんへ
    この本にも、『思い出トランプ』に入っている短編「かわうそ」「三枚肉」「男眉」「大根の月」が掲載されているので読みました。
    太田光の解説の後で読んだので、余計に“なるほど”と思いましたよ。ドラマも観る機会があれば……ね。
    とにかく、太田光の渾身の思いが綴られた『向田邦子の陽射し』を、よろしく。イチ押しのオススメ本です。

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  3. 了解で~す!

    因みに今は、
    宮本輝の『流転の海』をちびちび読んでます。
    またもや昭和のかほりがプンプンで、
    ぐいぐい惹きこまれてます♪

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