2011/10/06

スバル座、そののち、酒座。


昨夜は、上野でPOG仲間と久しぶりの酒宴……「シンボリルドルフ死んじゃったね~」「えっ“タコ”って名前の馬がいるの?」などと、馬の話題で飲む酒も、なかなか楽しい。肴も文句なし。“のどぐろ塩焼き”“あさりと長ネギの柳川”等々、実に美味かった。

で、その飲み会はやや遅めの20時スタート。端から「有楽町スバル座」で時間合わせの“一映画”と決めていた。
このスバル座……今どき“座”も珍しいが、昭和21年にオープンした歴史ある映画館で、何ともクール、ほどよいレトロ感が心地よい。
座席も余裕の大きさ、緩やかなスロープがついているので、前の人の頭が視界を遮ることもない。その上、傘たてやバック用のフックもある。映画開始を告げるアナウンスも昔っぽくて実にいい。こういう所で上映される映画は幸せだなあ……と思いつつ、スクリーンに見入った。

『僕たちは世界を変えることができない』……“何か物足りない日常”を変えるため「カンボジアに学校をつくろう」と、仲間&資金集めに動き出す医大生たちの物語である。

と聞けば“世間知らずのボンボンが退屈しのぎでボランティアかよ!”と、突っ込みたくなる人もいるだろうが、無知でも無謀でも、何かを始めないと見えないこともある。豊かな国で生きる自分を自覚し「情けは人の為ならず」ということに気づく“きっかけ”になればいいじゃない。と、一見適当で頼りない若者たちを多少なりとも援護したい気分にさせる“青春ムービー”だ。若い世代の共感を集めているようだし、馬鹿にできるような話ではない。

でも、映画としてはどうだろう。大きなテーマなのに掘り下げが浅いし、伝えたいメッセージも描ききれていない。主人公の演技にも違和感を覚える(かっこ悪い「向井理」でもいいのだが、“それは違うよ!”と思いっきり引いてしまうシーンがある)。また、ブルーハーツの『青空』を実質上のテーマ・ソングのように扱いながら、エンドロールで何故それを流さないのか?!という演出センスに関わる疑問も残る……というわけで、個人的には少し残念な一本。若い人の心を動かす“等身大のパワー”は認めても、私のようなオジサンの心をも揺り動かす“作品力”は感じられなかった。

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