2022/12/31

勝手にコトノハ映画賞2022


●最優秀作品賞

『少年たちの時代革命』(監督:レックス・レン、ラム・サム/香港、2021年)

2019年の香港民主化デモを背景に、“(香港の現状と未来への絶望感と孤立感から)自殺しようとする”少女を救うため民間捜索隊を結成した若者たちが奔走する姿を描いた青春群像劇。

香港の学生たちによるデモの様子など、ゲリラ撮影による緊迫した映像が随所に散りばめられ、観る者の目を一時たりとも離さない圧倒的な86分……命綱のように繋がれる幾本もの手と指は、微かな希望の象徴か?孤立と連帯の意志が交差するラストカットで涙腺が決壊した。今後の香港映画に大きな期待を抱かせる激押しの一本。

●優秀作品賞

Coda コーダ あいのうた』(監督:シアン・ヘダー/アメリカ、フランス、カナダ、2021)

聴覚障害を持つ家族の中でただひとり耳の聞こえる少女(ルビー)が、歌手になる夢を家族に理解してもらおうと奮闘する姿を描いたヒューマンドラマ。ちなみに「Coda」とはChildren of Deaf Adults=「耳の聴こえない両親に育てられた子ども」の意、とのこと。(2014年製作のフランス映画『エール!』のリメイク)

主演のエミリア・ジョーンズはもちろん、突き抜けたユーモアで笑わせてくれる父親フランク役のトロイ・コッツァーをはじめ、ろう者の俳優陣の生き生きとした演技がとても印象的な作品。(個人的に…映画館が静寂に包まれる“あの瞬間”は、ちょっと鳥肌モノ。主人公ルビーがオーディションで歌ったジョニ・ミッチェルの「Both Sides Now」も必聴モノ!ルビー役のエミリア・ジョーンズ自身が歌ったと思うが…すごくイイ!改めてジョニ・ミッチェルの良さ&凄さを感じた)

『あなたにここにいてほしい』(監督:シャー・モー/中国、2021年)

《中国のソーシャルカルチャーサイト「ドウバン」に投稿された実話をもとに、ある男女の10年間にわたる愛をつづったラブストーリー

韓国・中国映画といえば「新宿シネマート」。今年もその映画館で、いくつか忘れがたい作品に出会ったが、これもその一つ。「恋愛映画はあまり観ないなあ…」という私のような映画好きに対しても、「これは別物。凄くイイ!」と勧めたくなる秀作。私的に、これほど二人の幸せを願った恋愛映画は他になし。とりわけ終盤の怒涛の着信メールラッシュは胸が苦しくなるほど…映像は美しく、挿入歌も心に沁みた。(舞台は高度経済成長期の中国…201015年頃だろうか。1970年代の日本のような雰囲気がスクリーンに漂っていた)

『モガディッシュ 脱出までの14日間』(監督:リュ・スンワン/韓国、2021年)

舞台は1990年、ソマリアの首都モガディッシュ。激化する内戦に巻き込まれた韓国と北朝鮮の大使館員たちによる“共闘的”脱出劇を映画化した作品。どこか『タクシー運転手』(主演:ソン・ガンホ)にも似た躍動感ある撮影、そして手に汗握る圧巻のカーチェイス……古い実話を見事にアップデートした制作陣に大拍手の一本。(俳優陣も素晴らしかった。特に北のリム大使を演じたホ・ジュノ!)

その他、監督ケネス・プラナーが自身の幼少期の体験を投影して描いた自伝的作品『ベルファスト』(イギリス、2021年)、「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」で注目を集めたタイのバズ・プーンピリヤ監督が、余命宣告を受けた男と親友の旅を描いた人間ドラマ『プアン/友だちと呼ばせて』(タイ、2021年)、エルビス・プレスリーの人生を映画化した『エルヴィス』(監督:バズ・ラーマン/アメリカ、2022年)、巨匠リドリー・スコットが「GUCCIグッチ」の創業者一族の崩壊を描き、レディー・ガガの熱演が話題になった『ハウス・オブ・グッチ』、元韓国大統領・金大忠と、彼の選挙参謀の実話をもとにしたポリティカルサスペンス『キングメーカー 大統領を作った男』などが印象に残った。

監督賞

レックス・レン&ラム・サム(『少年たちの時代革命』) 

主演男優賞

チュー・チューシアオ(『あなたにここにいてほしい』)

主演女優賞

チャン・ジンイー(『あなたにここにいてほしい』)

次点:エミリア・ジョーンズ(『Coda コーダあいのうた』)

助演男優賞

ホ・ジュノ(『モガディッシュ 脱出までの14日間』)

次点:ソル・ギョング(『キングメーカー 大統領を作った男』)

助演女優賞

ジュディ・デンチ(『ベルファスト』)

長編ドキュメンタリー映画賞

『理大囲城』(監督:香港ドキュメンタリー映画工作者)

《アジア屈指の名門校・香港理工大学が、警察に封鎖され、要塞と化した緊迫の13日間。至近距離のカメラが捉えた、衝撃の籠城戦の記録》(フライヤーより)


これほど痛切に胸を打つ作品が単館上映(東京では「ポレポレ東中野」のみ)とは、何とも残念!というほかない。「死は覚悟したが人知れず死ぬのは嫌だ」「暴徒はいない。暴政があるだけ」そう言いながら抵抗を続ける若者たちがいたことを、記録として(また記憶として)残すためにカメラを向け続けた匿名の監督たちに、敬意と感謝の念を禁じ得ない。


どうぞ皆さま、よいお年を!



 

2022/12/24

「鳥刺繍展覧会」


11月某日、旧知の友人であるデザイナーの秋山君から展覧会の案内が届いた。


 

会場は、逗子駅からバスで30分ほどの「秋谷」バス停から徒歩で約5分、坂の途中(というか山の中腹?)にある古民家風のギャラリー「秋谷四季」……迎えてくれたのは秋山君と彼のパートナーの神崎さん&白猫ユキちゃん、ほぼ15年ぶりの再会だった。(私が行ったのは1210日。鑑賞時間を含め往復7時間の“小旅行”となった)


展示されていたのは、《カラフルな鳥や不思議なsomethingたちをオリジナルプリントやフルイドアートにコラージュしたもの33作品》及び表面に彼の絵が描かれた大量の手提げ袋など。


作品はすべて販売対象となっていて、手提げ袋は11000円、「鳥刺繍」は“自由料金”(といっても迷う人が多いと思うので、基準として一番大きい作品のみ5万円に設定)。私もお気に入り1点を購入。早速、リビングの壁に飾った。


※ここ1ヶ月の間に、楽しい会合が2件あった。一つは、高校の時からの友人2人(HIROKOさんとYOKOさん)とのランチ会(1130日)、場所は新宿「手打そば大庵」。もう一件は、かつての仕事仲間JINサン&フェアリーとの忘年会(1221日)、場所は神保町「三幸園」。(どちらの会も「また来年!元気で!」と。お互いの健康を祈りつつ再会を期して散会)

2022/11/30

11月の雑感&メモ②


1111日(金)

ブルース・スプリングスティーンのニューアルバム『ONLY THE STRONG SURVIVE

』発売開始!

https://www.sonymusic.co.jp/artist/BruceSpringsteen/info/..

1112日(土)

《消費減税の訴え「間違いだった」 立憲・枝野氏、公約見直しに言及(朝日新聞デジタル)》

野党間合意で「消費税減税」を掲げて選挙に臨み、共産れいわ社民が候補者を降ろしたお陰で何人も当選できたのに、この卓袱台返し。国政選挙でこの党に投票することは今後ないだろうな。

しかし、ここまで枝野を嫌いになる日がやってくるとは……。「せやろがいおじさん」じゃないけど、一時、枝野立憲を支持した記憶を消してくれ!という気分。

https://www.reddit.com/r/newsokuexp/comments/yrbpml...

《葉梨法相辞任 地元の有権者 冷ややか 「仕方ない」「政治不信に」》(東京新聞)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/213547

「法務大臣は死刑のハンコ押すときしかトップニュースにならない地味な存在」と言っていた人が、事実上更迭されてトップニュースになったという笑えないオチがついたわけだが、あの歳で世の中には言ってはいけないことがあると学べていないような人間に法務大臣を任せていたという時点で、日本は既に法治国家じゃないのかも?と思った人も多いはず。あな恐ろしや、日本国。

韓国・梨泰院で起きた雑踏事故を「自己責任」で片づける日本人は…(渥美志保さん)

https://mi-mollet.com/articles/-/39201

梨泰院の雑踏事故で、政府の責任を追及する韓国の人たちに「事故を政権バッシングに利用するな」「犠牲者の追悼だけすべき」とか言う日本人がけっこういるらしく、「日本政府による自己責任論のすりこみはすごい」と、韓国の人も驚いているようだ。以下、それに関連した意見もピックアップ。

《梨泰院事件に自己責任論を言う日本人達がいると韓国人に言ったら。韓国も保守政権サポには政府批判するなと言う人多いが日本人にもいるのか。政府の人災でも市民の自己責任にしていい、権力者に従うという奴隷的思考なのかな?と言ってた。 民に冷酷な権力者を支持する国民が日本になぜか多いのは確か》

《過去最高税収68兆円も搾取しながら、なぜ政府の失政や人災まで国民の自己責任にされ、コロナや天災も自助でなんとかしろと言われて棄てられるの? 私達は奴隷ですか? 韓国にまで自己責任論吐いてる日本人達は民主主義をわかってないし、独裁政権のプロパガンダに洗脳されてる人のように思える》

《ワイドショーで梨泰院事故で警察への批判と。道理で悪いのは警察だというリプ増えたと思った。韓国で数万人の大統領への抗議デモがおきBBCで報道された。日本は政権が責任逃れするから政府の責任とは言いたくないんだろうし、韓国政府発表や保守メディアがソースだから日本の報道は保守政権寄りだよね》

「奴隷的思考」…う~ん、確かにそうかも。以前ネット上の誰かが《日本の真のヤバさは、手取り13万円の人が結構いることではなく(勿論、それも由々しきことだが)、それに対して「俺はもっと悲惨な待遇で働いてるぞ、贅沢抜かすな」って自ら繋がれている鎖を自慢する奴隷が無限湧きする事》と言っていたが、この30年間ずっと給料が上がらず、税金と社会保障費、教育費だけ上がり続け、さらに物価も急ピッチで上がり始めて、それで暴動どころかデモ一つ起きないのだから、日本人は悪い意味で我慢強く非常に統治しやすい国民なのだと思う。「メディアの政権寄り」は言わずもがな。

1119日(土)

予防効果がどれほどあるか分からないが、5回目のワクチン接種(オミクロン対応)終了。ファイザー→ファイザー→モデルナ→モデルナときて、今回はファイザー。副反応も出ず、体調に変化なし。

1122日(火)

《クールジャパン機構が崖っぷち 政府肝いりファンド、巨額の累積赤字:朝日新聞デジタル》

「今年3月時点で国が1066億円、民間企業24社が計107億円を出資している。国が主導し、これまで計56件の投資を決めたが、ほとんどが失敗している」とのこと。

安倍政権の成長戦略の一つの柱だったが、そもそもサブカルチャーなどは市民レベルから湧き上がってくるものが面白いわけで、それをお上主導で進めよう、盛り上げよう(儲けよう)としたことに無理があるし、文化に疎い(というか頭の固い)役人が起案する文化政策なんて大手広告代理店やコンサルティング会社の食い物にされるのがオチ。そういう意味で失敗(巨額の累積赤字)は随分前から“見えていた”のでは?と思う。

(で、誰がつけたか知らないが「クールジャパン」というプロジェクト名も逆にダサくない?という感じ。自分のことをクールと言っちゃうところが全然クールじゃないし…)

 

2022/11/23

11月の雑感&メモ①


111日(火)

W杯サッカー日本代表選出。

FW大迫、MF原口が選ばれなかったのは意外だったが、その他は概ね予想通り。コンセプトは「堅守速攻」(かな?)…日本の持ち味であるスピードを最大限に活かして戦うという姿勢がはっきり見てとれる人選(ドイツ相手に力勝負では到底かなわないわけで…)。代表監督として森保一を高く評価しているわけではないが、今回は腹を括ったなあ…と、その覚悟のほどを若干見直した。開幕は1120日、日本VSドイツは1123日。当然、楽しみにしているし、頑張って欲しいと思う。(正直、圧倒的にフィジカルが強く、しかも前線にスピード&決定力のあるFWがいるドイツに勝てる気はしないが、今のスペインなら何とかなるのでは?と思うし、コスタリカとは互角の勝負ができるはず。ぜひ、グループリーグ突破を!)

で、メンバー決定後、MF田中碧のこんなコメントを目にした。「国のために最善をつくす」……う~ん、そうじゃなくてさあ。自分とチームのために最善を尽くし、その上で我々を喜ばせてほしいんだよね。

P.S.

《ワールドカップ 人権問題に抗議 "好ましくない" 田嶋会長

1122日、カタールでの人権問題に対しさまざまな抗議の動きが 出ていることについて日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「今サッカー以外のことでいろいろ話題にすることは好ましくない」などと話した」(NHK)

カタールのワールドカップ関連施設建設における移住労働者への搾取及び奴隷的な労働(酷暑での長時間労働等)により死者数が阪神大震災並に出ていると言われている。それに加えて性的マイノリティに対する人権侵害も問題となっている中で(中東の保守的な社会に、いきなり欧米流の自由と平等を持ち込んでも「異文化の押し付け」にしか見えないだろうし、中々デリケートで難しい問題だとは思うけど…)、この発言。

https://rollingstonejapan.com/articles/detail/38737

現状、イングランドやドイツ、オランダ同様、中東の地で我が日本代表も抗議行動をとるべきとは私も思わないが、「今はサッカー以外のことを考えるな」などと、未だに選手をスポーツ馬鹿の世界に閉じこめ、FIFAの金権体質や商業主義、ひいては社会の歪みや不正に無知のままが一番だと指導するようなリーダーは、日本サッカー発展の妨げになるだけ。即退陣!が妥当。(そもそも「人権問題に抗議の意思を示した上で、サッカーに集中する」なんて、全然むずかしいことじゃないし、今後それが世界基準になるはず。私もいつかそんな自立した日本代表が見たい)

JFA(日本サッカー協会)にしろJOCにしろ、いつの間にか拝金主義にまみれた人権意識の低い連中が、日本のサッカー及びスポーツをつまらなくしているわけで……技量のみならず、頭の中も21世紀仕様にアップデートしないと、世界の潮流から取り残されるだけ。この期に及んで「人権とスポーツを切り離して考えるべき」などと宣う人も即退場!レベル。

119日(水)

70歳の誕生日。MIYUKIさんとウエちゃんからカッコいいプレゼントが届いた。

 


1110日(木)

TOHOシネマズ池袋で韓国映画『犯罪都市 THE ROUNDUP(監督:イ・サンヨン/2022年製作)を鑑賞。(警察と韓国ヤクザ、中国マフィアが繰り広げる三つ巴の抗争を描いたクライムアクションムービー)

新感染 ファイナル・エクスプレス』で一躍世界に名をはせたマ・ドンソクと、ドラマ『サバイバー 60日間の大統領』『私の解放日誌』での好演が印象的だったソン・ソック。私の好きな韓国俳優二人の初共演ということで、劇場公開を心待ちにしていた作品。期待通りの面白さだった。(とりわけ「ソン・ソック」!…異色の経歴、抜群の存在感。いま私的に一押しの韓国俳優)

映画の後は、池袋西武の三省堂でイギリスのミステリー作家アン・クリーヴスの『大鴉の啼く夜』(創元推理文庫)を購入。

(いまは未だ、亡き友を弔うミステリー小説の旅の途中)

ミステリー…とりわけ海外の小説を好んで読んでいた「マサヒロちゃん」が生前に勧めてくれた本はすべて読む!と決めてほぼ半年。彼イチ押しの『ミレニアム』(スティ―グ・ラーソン著/ハヤカワ文庫)は1~4まで読み終え小休止。『特捜部Q』(ユッシ・エーズラ・オールスン著/ハヤカワ文庫)はシリーズ1~4及び最新作のシリーズ第8弾「アサドの祈り」を読了(残り3作)。というわけで、思いのほか“長い旅”になってしまったが、その道すがら「頭の良くて独特の雰囲気のあるヤツだった」「やさしい男だったなあ」と、彼を思い出してジンワリ温かい気分になることも度々。すべて読み終えるのがいつになるのか分からないが、早く読み終えたいような、読み終えるのが勿体無いような(小説自体どれもこれも“超”がつくほど面白いし)……何だか不思議な旅になってしまった。

 

2022/11/06

イム・ジェボムの「ならず者」が、沁みる。


ネットフリックスの番組「TAKE ONE~マイ・ラスト・ソング」を観て、初めて知った歌手「イム・ジェボム」。その中で聴いた「ならず者(デスペラード)」(イーグルスの楽曲)に一瞬で心を奪われ、胸が震えた。

https://www.youtube.com/watch?v=hnOjaCTiMu4

それから暫くネットで彼の歌を聴きまくり、出会った「告解」も素晴らしかった。

http://jp.youtube.com/watch?v=XxsmQm_t8lw&feature=related 

https://ameblo.jp/sin-kor/entry-10566578544.html(日本語訳付き)


 以下、「Desperado/Eagles」の歌詞和訳(「オレの歌詞和訳」より)

ならず者よ なぜ目覚めない
君はずっと あまりに長い間 柵の見回りをしている
君は気難しい
でも君には理由があることを僕は知ってる
君を喜ばせる物事が 時に君を傷つけるんだ

ダイヤのクイーンを引くなよ
できるなら彼女は君を負かしてるよ
ハートのクイーンがいつも君の最高の手さ

今じゃ思うんだ
素晴らしいものはずっと君のテーブルの上にあったんじゃないのだろうか
でも君はただ 手に入れられないものを欲しがっているんだ

ならず者よ 若くなっていくわけじゃないんだ
痛みや空腹が君を家へと連れ帰った
そして自由は
ああ 自由なんて ただ人々がしゃべっているだけのものだ

牢獄というのは この世界を一人で歩いていくことなんだ

冬には足が冷えないかい?
空には雪もなく太陽も輝かない
昼間から夜の話をするは難しい
いい事も悪いことも全て失って
感覚がなくなってしまうなんて
おかしくないか?

ならず者よ 柵から戻って来いよ
そして門を開けてくれ
雨は降るかもしれない

でも君の上には虹がある
誰かに愛されたほうがいい
誰かに愛されたほうがいい
手遅れになる前に   




 

2022/11/05

10月の雑感&メモ③(ラスト)


21日(金)

義兄と義姉が古希を迎えた私たちを“おいしい食事”で祝ってくれるということで、日比谷線・入谷駅から56分「根岸」にある洋食の名店「レストラン香味屋」へ。

www.kami-ya.co.jp/honten

私はビーフシチューを食べながら美味しいワインでも飲めれば……と思っていたが、「単品で頼むよりコースの方がいいんじゃない?遠慮しないでね」と、義姉MARIちゃんが頼んでくれていたのは超豪華な「B定食」。(オードブルからメインのビーフシチューまで、目にも鮮やか、文句なしの美味しさ。とりわけ「ビーフシチュー」は、かつて味わったことがないほど)

超久しぶりの再会となった義兄はハイボール、私たちはワインを飲みつつ、旧知の友のように話が弾み楽しい時を過ごさせてもらった。


(豪華ランチ終了後「よかったらもう一軒!」と、義兄の誘いで2次会。上野アメ横の居酒屋で再会を期しつつ軽く〆た)

25日(火)

午後1時から証明写真機メーカー本社会議室で、同じ地域(練馬、新宿、豊島、西東京あたり)を担当する同業者(20名ほど)が一堂に会しての「エリア会議」あり。(コロナ禍の影響で3年ぶりの開催とのこと。私自身は初参加)

まあ、仕事エリアも年齢も近い人たちが集まってミーティングを行うこと自体は悪くないのだが、電車移動を含めてほぼ半日拘束でノーギャラと言うのは、どう考えても解せない。というわけで、会議終了間近、最後の質問で手を挙げた。

「写真機故障時等の臨時出動同様、この会議も本部指示による臨時業務と捉えていますが、それに対して臨時出動同様の対価が払われないのは何故ですか?」と聞くと(その時点で、後方の席から小さな声援&小さな拍手、拍手…)、「会議の場合、臨時出動費は発生しないと、契約書に書いてあるので…」という答え。それに対しさらに質問。「社会の常識(労働・拘束時間に対して相応のギャラが払われるのは当たり前)から考えて、契約書の内容の方がおかしいとは思いませんか?(契約書の)再検討・見直しをお願いします」。答えは「はい分かりました。見直します」…ということで取りあえず矛を収めた。

26日(水)

昨日、立民の衆議院議員で元首相・野田佳彦が安倍晋三追悼演説。

その映像をちょっとだけ観たが、「同じ首相経験者」という支配者目線での安倍礼賛。国会の良識、立憲主義の理念をたった数年で破壊し、日本の民主主義を踏みにじってきた政治家を、よくもまあそんな情緒的美談で飾り立てられるものだ…と、すぐに気持ち悪くなって消した。

(「仇のような政敵でした」「再びこの議場で、言葉と言葉、魂と魂をぶつけ合い、火花散るような真剣勝負を戦いたかった」などと、国民の切実な声も言葉も無視し続けた政治家との在り得もしない対決の図まで創作して、どれだけ自分に酔っているのだろう、この人は?大体、故・安倍氏にとって「政敵」と呼べる存在が国会内にいたとしたら、それは志位和夫や山本太郎、もしくは小沢一郎であって、恐らく「野田佳彦」などはノー眼中。寧ろ政敵どころか、安倍氏同様、市民目線を失った政治家として「永田町村」のお仲間では?)

で、そんな野田演説よりさらに気色悪いのが、立憲民主党の執行部やベテラン議員たち(泉、小川、枝野、蓮舫などなど)が、この安倍追悼演説を絶賛していること。感激して泣いたヤツまでいるらしい(誰だよ!?)。バッカじゃないの!?

はっきり言って「もう終わったな、お前ら!」ですよ……立民立ち上げ時、やっと「永田町村の民主党」とは違う市民目線の政党が生まれたか!と期待したが、5年経って逆戻り。〈枝野ガンバレ!〉と声を挙げたあの日を、今はただ恥じるのみ。

27日(木)

《「世界が驚く、冬にしよう。」 札幌五輪招致スローガン決定》

利権・カネ・汚職まみれも何のその「五輪中毒」収まらぬ日本。この期に及んで、また招致? そりゃあ、世界も驚くわ!

《在日コリアンへの差別 許さぬ声を》(フォト・ジャーナリスト安田菜津紀さんのネット記事より)

《「お前朝鮮学校の生徒だろ」 4日夕方、JR埼京線で50代前後とみられる男が、「答えろよ!」と朝鮮学校の中級部の生徒の足を踏みつけ、ミサイルに言及しながら威嚇。 同じ車内にいたはずの大人は、誰も助けようとしなかったという。どんな思いで一人、電車を降りたのか。》……なんとも情けない国になったものだ。(いや、ずーっと情けない国のままなのかも)

以前、琉球大学の教授が「終戦から70年以上経っても、日本人は脱亜論の考えから抜けられず、アジア蔑視が変わらず続いている」と語っていたが、在日コリアンへの差別はもとより、入管での人権侵害とヘイトクライム、アジア人実習生に対する賃金差別など、このような差別が一向に無くならないのは、その証左なのかも。(だから、杉田水脈のような、どうしようもない極右レイシストが議員辞職もせず、平然と居座っていられる国なわけだ)

そういえば、作家の高橋源一郎さんもその著書『ぼくらの戦争なんだぜ』の中で、こんなことを言っていた。(差別問題とは直接関係ないが、底の方でつながっていると思う)

《戦争が終わっても、一部の軍人以外は、その「戦争犯罪」を問われることはなかった。誰よりも責任を負うべき天皇が無罪放免になった以上、日本人全員がその責を担う必要がなくなったのである。ぼくは、この「責任」の所在をはっきりさせなかたことが、いまに至る、この国の混乱のいちばんの原因だと思っている。この国は国家として責任をとることはなかった。ただ個人が、個人の名においてその責任を自らに問いかけただけだった》

28日(金)

久しぶりにTジョイ大泉へ。話題沸騰中のインド映画『RRR』を鑑賞。舞台が英国植民地時代のインドだけに、反英国のボルテージがやたらに高く、アクション、友情、英雄譚、色々あるが総じて言うと「血沸き肉躍る愛国映画」といった感じ。作品の世界観的に、あまり自分の好みとはいえないが、3時間という長尺にもかかわらず、圧倒的な熱量で一気にラストまで突っ走るエンタメ力は、流石の一言。(でも、私同様トイレが気になる人にはオススメしない)

2022/10/31

10月の雑感&メモ②


6日(木)

最近、何かと話題の「ひろゆき」氏が、沖縄・辺野古の基地建設に反対する人たちの座り込み抗議運動を揶揄するかのような言動をしたことで物議を醸している。(「ひろゆき」…本名・西村ひろゆき。ネトウヨ・レイシストの増殖に“大きく貢献した”あの「2ちゃんねる」の創設者。英語圏を対象とした「4ちゃんねる」も運営しているそうで…)

で、問題となったツイート(「新基地断念まで座り込み抗議」「不屈3011日」と書かれた立て看板の前で「座り込み抗議が誰も居なかったので、0日にした方がよくない?」と満面の笑みを浮かべてピースサイン)及び、炎上後の基地反対派の人たちとのやり取りをネットで見たが、辞書の「座り込み」の意味を持ちだして反論するなど言う事やる事、あまりに子どもじみていて…一体この人、TVクルーまで連れて沖縄に何を撮りに行ったのだろう?と、只々呆れるばかり。

(「座り込み」の実態が知りたければ、反対派の人たちに取材して聞けばいいし、疑問があれば直接ぶつければいいだけのこと。それもせずに「看板の表記がおかしい」と、いきなりの冷笑ツイート。結局、辺野古へ行った目的は、社会運動に無理解・無関心な圧倒的多数をバックに、基地建設反対の声を上げる少数の人たちを茶化し、寄ってたかってコケにすることだったなんて、とても45歳の大人がやることではない)

エッセイストの能町みね子さん曰く〈西村ひろゆきは議論に長けた人ではなく、自分の知らないことに対してもすごい勢いで詭弁を生産できるという技術のある人〉だそうだが、「なるほどね」と思う。そのような人間が「論破王」とか「頭がいい」とか、過剰に持ち上げられる社会が、まともであるはずもない。

8日(土)

ここ数年のパターン通り、お彼岸の期間を避けて少し遅めの墓参り。帰りがけ「福生」に寄り「シュトゥーベン・オータマ」で、地ビールを飲みつつランチ。(毎度思うが、ここのビールとソーセージ&ハムは絶品)

11日(火)

《紙の健康保険証24年秋に原則廃止、マイナンバーカード事実上義務化へ あさって政府発表》

国葬に続いてこれですか…ホント決めなくていい事だけ独断専行して、いま必要なことは一切しない「岸バカ田内閣」。

大体、閣議決定だけで国民に義務を課すなんてことができるわけ?憲法に反する行為じゃないの?…とムカつきながら思っていたら、《憲法41条は国会を「唯一の立法機関」と定めており、ここにいう「立法」は、どんなに狭く解釈しても「国民の権利義務を定める規範」ですから、閣議決定で国民に義務を課すことはできません。今回の措置は明白な憲法違反ということになります》というアンサーを見つけた(by弁護士・神原元氏)

ところで、マイナンバーカードを導入した時は、持たなくても不利益はないという話だったのに、今や持たない人をどう追い詰めるか、みたいな話にまでなっている。おかしくない?何なの政府(自民党)のマイナンバーカードへの異常な執着ぶりは? 

国民総背番号制を実施したいという思惑は分かるとして、天下り先の確保とか関連事業を受注した企業からの多額献金とか、相当においしい「何か」があるんだろうか……実に気に入らないし、やはり「統一自民党(統一教会+自民)」は気持ち悪い。ということに尽きる。

17日(月)

「ひろゆき」またも問題発言。

《少子化が続き、高齢者割合が増えてます。勤労世代の負担増を止めないと社会は持続出来ません。「寝たきり老人の胃ろうに保険適用しません。飯が食えない老人は自費で生き残るか諦めてください」と言える政治家が必要になります。嫌われる役割を未来のために誰が背負うのか?》

“弱者には金をかけるな、助けるな”なんて、明らかなヘイト発言に「いいね」が何万も…なんという世界!

18日(火)

午前中は練馬で仕事。終了後、重いリュックに作業着のまま、ポレポレ東中野へ。「布川事件」で冤罪逮捕され29年間を獄中で過ごした桜井昌司さんを追ったドキュメンタリー映画『オレの記念日』(監督:金聖雄/2021年)を鑑賞。(上映後、芸人・松元ヒロ&監督・金聖雄のトークイベントあり)

観ている間は、獄中29年の苦労を感じさせない桜井さんの笑顔と元気な声に驚かされたり、和まされたり、獄中詩の巧みさ&歌の上手さに胸を打たれたり(もちろん「非を認めない」「決して謝罪をしない」権力の冷酷さ・横暴さに憤ったりもしたが)……で、観終わった後は、思いきり背筋を伸ばして空を見上げたくなるような、不思議な爽快感に包まれる今年一番のドキュメンタリーだった。(「国家権力の横暴さを無化せしめる魔法を見せてくれる映画である」とは、映画監督・原一男さんの言葉)







2022/10/20

10月の雑感&メモ①


2日(日)

歌手の長渕剛が9月に北海道で行ったライブで「この北海道という街はその昔、開拓民たちが一生懸命開拓した街だ。お願いだからこの自然に満ち満ちたこの土地を、外国人に売らないでほしい」と訴え、ネット上で話題になっている。(自民党の片山さつきも早速「素晴らしいと思います」と長渕を持ち上げながら「敵は狡猾ですが、国民の共感があれば戦えます」と、反中国を煽るかのような便乗ツイート

というわけで、「なんでまた、あの長渕が?しかも土地取引とあまり関係ないファン(庶民)の前で?」と、少し首を傾げながらそのライブ映像(短縮版)を覗いてみたのだが、いきなりドン引き。彼の熱い叫びに合わせて一斉に日の丸の小旗が振られる様は、まるで「愛国者集会」。感極まって泣いている若者もいる。(「外国人が日本の土地を買うとその国の領土になる」と本気で思っている人が結構いるのかも?)

“おー順子~君の名を呼べば僕はかなしいよ~♪”なんてヤワな歌を歌っていた人間が(当時、そのヤワな歌も長渕も決して嫌いじゃなかったが…)、いつの間にか筋骨隆々、いかつい容貌の「国士」になっていたという事に長い月日の流れを感じつつ、その気色悪い光景に少し茶々を入れたくなった。

「ところで、その外国人には売ってはいけない自然に満ち満ちた土地が、どうして日本人(=和人)のものになったのかについては考えないの?」

で、この件、特に気になるのは、北海道の土地を買っているのが主に中国人投資家だから、普通の商取引を侵略であるかのように警戒、敵視しているのではないだろうか?という点。ここ数年SNS等を通じて愛国主義者=差別主義者という図を散々見せられてきた一人としては、今回の長渕剛や世良公則が発する薄っぺらな「愛国心」が民族差別や偏見を煽る新たな火種にならなければいいな、と願うのみ。

(そもそも「外国人は日本の不動産を買うな」なんて、バブル期にロックフェラーセンター―やコロンビア映画、MLBの球団(マリナーズ)等の“アメリカの魂”を買い漁った 我が国の行いを振り返れば、一体、どの口が?という話。とどのつまり、その当時の国力を日本が失い、今や安く買い叩かれる側に回ったというだけのこと。土地どころか国中全てのモノを叩き売り状態にした安倍政権とその後継者たちを批判せず、海外勢力の経済活動に八つ当たりしても仕方ないと思うけどね)

3日(月)

朝、出がけに向かいの家のTさんとばったり。こんな会話を交わした。

「お出かけ?」「ええ、仕事です」「どの辺まで行ってるの?」「今日は駅向こうの1台を済ませてから東長崎ですけど……体もきつくなってきたんで、そろそろリタイアかな?と」「えっ、まだ60…?」「イヤイヤ、もう70ですよ」「そうなの!?お孫さんは?」「まだですね…まあ特に望んでいるわけでもないですけど」「そう、いいね。おじいちゃん、おばあちゃんにならなくてすむんだ」「そうです…かね?(笑)」(ちなみにTさんは80半ば。人当たりのいいユーモラスな人だが、時折「もう、生きているのに飽きちゃった」とか「長く生きすぎたよ」とか、返す言葉に困るようなことを自嘲気味かつ寂し気に口走る。老いて男一人。やはりキツイよなあ…と思う)

午後2時、仕事を終え帰宅。ツレは阿佐ヶ谷のヨガ教室へ。録画していた映画『ヒトラー最後の12日』を見てから晩飯の用意。「肉豆腐」を作る。

4日(火)

朝、テレビをつけていたら、いきなり「Jアラート」。毎度おなじみ〈アメリカさん振り向いて!〉の「北朝鮮」なのに、「ミサイル発射、ミサイル発射」「地下に避難してください」が何度も繰り返され、まるで戦時下。あまりのしつこさ、バカバカしさに即テレビを消したが、あとで知ったところでは全テレビ局がJアラートを40分も続けたとのこと。で、ミサイルは当たり前のように日本上空を通過し太平洋へ落ちたそうだが(「日本上空を通過」といってもほぼ宇宙空間!)……これで「地下に避難しろ」って、我が政府は一体どこまでバカなのか?(要するに戦争危機を煽っての軍事予算拡大策。そんな低劣な政府に乗せられて半数以上の国民が「防衛費増額」に賛成しているとか……もう、どっと溜息)

※養老孟司氏推薦『SDGsの大嘘』(池田清彦/宝島社新書)読了。(「地獄への道は善意で敷き詰められている」とはヨーロッパの諺。《SDGsはこの典型例になっているように思う》という序文から始まる一気読み必至の優れ本。帯にはこんな言葉が…〈SDGsはグローバル資本主義を続けたい欧州の免罪符〉〈実はエコではない「太陽光発電」と「風力発電」〉等々)

5日(水)

我が友、デザイナーのウエちゃんから嬉しいプレゼント(Tシャツとタオル)が届いた。「線が固くてジャンクっぽいのですがデモ用に(笑)」とのメッセージあり。感謝!

 


 

2022/09/28

9.27「国会前」


永田町に着いたのが13時40分。友人のO夫妻と落ちあい「国会前」へ。

既にメインステージの正門前は凄い人だかりで近づくのが難しく、私たち4人は道路を挟んで反対側の歩道に陣取った。(もちろんそこもかなりの人だかり)

午後2時に抗議集会スタート。初めに主催者の方から「今日の参加者15000人!」と発表があり、大歓声&大拍手……一呼吸置き、「今日は午後休をとってかけつけた」という女性の声に合わせて「弔意の強制許さない」「安倍政治を美化するな」「政治とカルトの癒着を正せ」など、シュプレヒコールが鳴り響いた。

その後、国会議員(社民党・福島瑞穂、立憲民主党・近藤昭一、共産党・志位和夫、れいわ新選組・櫛淵万里)や前法政大学学長・田中優子さん、高千穂大学・五野井郁夫教授、ミャンマー国軍の国葬参加に反対する在日ビルマ市民労働組合会長ミン・スイさん等がマイクを握り、その連帯と抗議の声に呼応し会場は一段とヒートアップ。私たちも「そうだ、そうだ!」と、マスク着用のままコロナ禍も忘れて声を張り上げた。

で、ちょっとしたサプライズだったのが、フォークシンガー小室等さんの登場(高校時代、今は亡き友人の家でよく聴いた、ああ懐かしの「六文銭」…)。『死んだ男の残したものは』(作詞・谷川俊太郎、作曲・武満徹)他、全4曲の熱唱に、国会前はまるで「小室等コンサート会場」と化したかのよう。昔と変わらぬその心震わす歌声に集会の熱気が鎮まり、若干たそがれた雰囲気にはなったが、思いがけず「小室等、健在なり」を確認することができた“老老男女”の嬉しそうな、懐かしそうな顔・顔・顔……私も亡き友を思い出しながら、束の間の感傷に浸った。

そして午後4時過ぎ、再度のシュプレヒコールで締めて集会終了。長時間のスタンディンにより重だるくなった足に“喝”をいれながら地下鉄・永田町駅へ。(その後、神保町の中華料理店で打ち上げ。午後8時過ぎ「じゃあ、また!」とO君夫妻と別れ、帰路に就いた)

さて余談。私がコピーを書いて義兄がデザインした「抗議プレート」だが、見知らぬ男性にスマホで撮られ「SNSにあげていいですか?」と聞かれたり(もちろんOK!)、若い女性に“グー”ポーズで挨拶されたり、素敵な高齢女性から「絶対、残しておいた方がいいわよ」と強く推されるなど思いがけず注目の的。報道のカメラマンにもニヤリと微笑みながらレンズを向けられ、「してやったり!」な気分だった。



2022/09/27

アベノ国葬


反対派が賛成派を上回っているにもかかわらず、今日(27日)午後2時から強行される「故安倍晋三国葬儀」。私はもちろん反対派(「大嫌いな安倍晋三だから」というわけではなく、「誰であろうと国葬は反対」という反対派)

何故か?と言えば、国葬は民主主義と相いれないというか(中大・宮間教授いわく「大日本帝国の遺物」)、そもそも「法の下での平等」という憲法の平等原則に反するものだから、というのが主たる理由。

また「国民に喪に服すように求めない」と、いくら政府が言ったところで、「現状追認」「長いものには巻かれろ」的な精神が根深くはびこる日本社会。職場や学校などで黙祷などを求められる可能性もあり「内心の自由」を侵害する恐れも大いにある。(そもそも「国葬」は反対派も巻き込む国家イベント。「喪に服すことを求めない」なら「内閣葬」もしくは「自民党葬」で十分。わざわざ多額の税金を使って国葬にする必要なし!って話)

というわけで、今日は「国葬反対・国会前集会」に友人共々4人で抗議の意思を示しに行くのだが(参加コンセプトは「頑張ろう!」「楽しもう!」)、そのために用意した抗議プレートは2枚(仕様:段ボール板、デザイン:義兄の鉄ちゃん)。コピーはこんな感じ。

1枚目(表面コピー)

アベノ酷葬、国の恥!

「法治国家」の名が泣くぜ!!

(裏面)

さあ次は、「ど壺内閣」葬ろう!

2枚目(表面)

見ざる・聞かざる・岸田でござる!

(裏面)

ああ、税金がモッタイナイ!!


では、行ってきます。

2022/09/12

雑感色々②(鹿児島の印象)


新型コロナ「第7波」が急拡大する中、自民党政権とカルト教団のズブズブな関係が日々メディアを賑わした8月もあっという間に終わり、早9月半ば。

この間、私は…といえば、“悪夢のような安倍政権”によってもたらされた分断及びこの国の衰退と荒廃を憂いつつ、相も変わらず仕事(写真機メンテ)と読書&韓ドラの日々(最近のオススメは『私たちのブルース』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』『模範家族』等。ちなみに映画は月4、5本ペース)。                      東京新聞、週刊文春の購読も欠かさず、頭の中はそれなりに忙しいのだが、読む・観る意欲は衰えないものの“書く意欲”は低下の一途。加えて最近は、証明写真機内パソコンの一斉交換(Windows710へ)という超ハードで厄介な作業に追われ、なかなかブログに気が向かわず、未だ夏休みの宿題をやり残したようなモヤモヤした気分で日々を送っている。(早いもので写真機メンテの仕事も既に4年目。大分慣れてはきたが元々苦手な機械いじり…ストレスを自覚する度合いも増し体力的にかなり厳しくなってきた感じ。そろそろ辞める潮時かも、と思っている)

というわけで、2カ月遅れの「雑感色々②」…

かなり“遠い記憶”になりつつあるが、5月中旬に仲間6人で行った「鹿児島」(レンタカーで知覧・指宿・霧島を巡る23日の旅)の印象を幾つか。

「知覧特攻平和会館」

4年前に訪ねた「広島平和記念資料館」同様、以前から「一度は観ておかないと」と思っていた所(陸軍・神風特攻隊隊員の遺影・遺書、絶筆などを中心に収集・展示されている)。

戦争時の映像を含め、約1時間の見学だったが、「ノーモア・ヒロシマ」を強く感じさせてくれた「広島」とは、同じ「平和」を謳ってはいるが似て非なるもの。(遺族や関係者の反発、右翼団体の妨害等を恐れ?)「なるべく解説をしない展示を心がけた」そうだが、展示されている隊員たちの遺書には上官の検閲が入っていること、特攻が事実上の強制だったことなど、最低限伝えるべきことはあるだろうに……と、その展示姿勢に首を傾げざるを得なかった。

(結果、本音とも言えない自己犠牲の精神だけがクローズアップされ、国家に殉じた崇高な死であったかのような印象を与えることになり、若い世代からはこんなメッセージも送られたという。「自分にはできないことをしたすごい人たち」「国を守ろうという使命感を感じた」)

で、出口へ向かう道すがら、その敷地内に石原慎太郎が2007年に建立した“特攻の母”鳥濱トメさんの慰霊碑を発見。知覧を舞台に自ら製作を手掛けた「俺は、君のためにこそ死にゆく」という映画のつながりらしいが、そこに書かれた言葉(「短い青春を懸命に生き抜き散っていった云々」)もさることながら、一政治家(当時、石原氏は東京都知事)の名前が入った慰霊碑が平然と「平和会館」の中に建っていることへの強烈な違和感。「知覧特攻平和会館」が、「日本からの視点のみが説明されており、より多様な視点から世界的な重要性を説明することが望まれる」として、記憶遺産登録申請を却下したユネスコ及び海外メディアから評価を得られないのも至極当然に思えた。

ちなみに、会館から約1キロ、街の中心部を流れる荒川沿いに「富屋食堂」と書かれた民間の資料館があり(残念ながら、私たちが訪れた時は「休館日」。見学は叶わなかった)、そこには軍に渡した遺書とは別に隊員たちが憲兵や上官の目を盗み、食堂の女将鳥浜トメさんらに託した手紙が保存されているそうだ。

「全体主義の国家は最後には敗れる」「明日は自由主義者が一人この世から去っていきます」……二度と、そんな国にしてはいけない。

●「さつま味」

旅の初日、夕食兼飲み会で利用した指宿市内にある郷土料理店(宿は朝食のみで予約)。店に入った途端、老舗の寿司屋のような立派なカウンター(冷蔵ケースにはずらり海鮮ネタ)と、その奥に居並ぶ年配の板前さんたちの姿に「思いのほかすごい店に来ちゃったかも」と期待値バク上がり。予約の際に頼んでおいた「さつま揚げ(熱々!)」と「きびなご」をつまみ、まずはビールで「お疲れ~!」。その後、黒豚の味噌煮、錦江湾で獲れた新鮮な魚介など、美味しい肴に舌鼓を打ちながら、焼酎、焼酎、また焼酎……途中、追加注文をするたびに、何かと面白いことを口走るウイットに富んだ女性スタッフさん(我々と同世代だろうか?)も話の輪に入り、ゲラゲラ、バクバク、楽しい一夜を過ごした。

というわけで、初めての土地、鹿児島・指宿で出会った店の心地よさ! 頼まれもしないのに、こんなコピーが頭に浮かんだ。「さつまの味は、人間味

※今回の旅で最も印象に残ったのは、この「さつま味」に代表される鹿児島の“味”。1日目の昼食『焼肉の白石 中山店』(コスパ最高!)、2日目の『黒豚の館』(本場の黒豚ロースとんかつ絶品!)。本当に大満足の“うまい旅”だった。

「桜島」

旅行に出る前、行きつけの整体院の若いドクター(鹿児島出身)から“オススメ情報”を仕入れていたが、その際、彼がこんな話をしてくれた。「桜島が煙を上げていると、おー今日も元気に生きてるなあ…と、何故か安心するんですよ。逆におとなしいとマグマを溜め込んでいるんじゃないかと若干不安になりますね」「当然、爆発は怖いですけど、相手は桜島ですから……例え大被害を受けようと“桜島なら仕方ない”と、みんな思ってますよ。鹿児島の人間は」……なるほど。「桜島で暮らす、桜島と共に暮らす」というのは、そういうことなのかも。

長きに渡り恐れられながらも、県人の誇りとして慕われてきた「桜島」。旅の2日目、私たちも遠目ながら微かに噴煙を上げるその“元気な姿”に遭遇。一同「おーっ!」と歓声を上げながら、恐らく最初で最後の出会いとなる世界有数の活火山の姿に、暫し見入った。

●「開聞岳」

「薩摩富士」の異名をとり、「日本百名山」にも数えられている「開聞岳」……南薩摩を車で回る今回の旅で最も“目に入った”のがこの山。とにかく行く先々でその円錐形のなだらかな姿を眺めることができ、当地の人同様、私たちにとっても旅のシンボル的存在になった。(遠目に見ても「けっこう低い山だなあ」と思ったが、やはり1000m以下。「百名山」でも最も低い山とのこと)

その他、蒲生八幡神社境内に聳え立つ巨木、樹齢千年を超える「蒲生の大楠」、霧島の自然の中に、様々なアート作品を配置した野外美術館「霧島アートの森」、鹿児島を代表する観光名所で、桜島を望む広大な庭園「仙厳園 薩摩藩島津家別邸」などが印象に残った。



P.S.

国葬反対デモ…831日の「国会前」にも参加したが、国葬当日の927日「国会前」に友人夫妻&ツレと共に参加予定。自作の抗議プレート(コピーはもちろん自分。デザインは義兄の鉄ちゃんに依頼)を掲げて声を張り上げるつもり。          (デモ終了後は神保町あたりで一杯!かな?)

最後に…面白いものを発見!

https://www.youtube.com/watch?v=N7MlY56Gj3Y

哲学者サッカー「ドイツ VS ギリシャ」

(「マルクスはオフサイドを主張」で、思わず吹いた)

2022/07/13

雑感色々①


安倍元首相死亡

78日。憲法を無視した強引な法改正、自殺者まで出した公文書の隠蔽・改竄、数えきれないほどの虚偽答弁、「桜を見る会」における違法行為等々、民主主義を破壊(無効化)し続けながら悲願である憲法改正を実現せんがために権力の中枢に居座り続けた政治家が、直接的な暴力で民主主義を破壊するテロリズムによって死んだ。何という皮肉だろう……と、若干空虚かつ哀れな気分で事件映像を眺め、続報を待っていたところ、 徐々にいくつかのメディアを通じて「安倍元首相の政治信条に対する恨みでない」「特定の宗教団体に恨みがあり、元首相がこの団体と近しい関係にあると思い狙った」「母親がその団体にのめりこみ、多額の寄付をするなどして家庭崩壊に追い込まれた」という犯行動機らしいものが伝わってきた。

ん?ちょっと待てよ……その供述が本当なら「政治テロ」という類の事件ではなく、単なる私憤による凶行。何ら政治的目的の無い(言わば)「元首相殺人事件」であって、「民主主義への挑戦」などという次元の話にはならないのでは?……と、思ったのだが、その翌日(9日)の東京新聞1面の中見出しも「許さぬ。民主主義の破壊」。(散々「数の暴力」を行使してきた自民党の連中まで「民主主義への挑戦だ」などと、相変わらずのご都合主義!)

凶器が拳銃、しかも選挙応援演説中に起きた出来事だけに、各メディア挙ってそういう論調になるのは仕方ない部分もあるが、それでは事件の本質を見誤ってしまうことになる。まずは冷静に頭を切り替え、今回の事件のきっかけになった(らしい)反共宗教団体・統一教会と安倍元首相及び自民党の関係(票とカネ)を明らかにするのが先決。国民が知らないまま、政治とカルトが深い関わりを持って結びついているとしたら、それこそが「民主主義の危機」なのだから。(と言ったところで、報道の自由度ランキング世界67位。すっかり政権と一体化してしまったメディアに「真相究明」を期待するのは無理でしょうが)

※案の定、政権とメディア(特にテレビ!)にとって大事なのは、真相究明より安倍元首相の美化・神格化。そのためのストーリーに「統一教会との関わり」という事実は邪魔のようで、「(容疑者は)安倍元首相と統一教会の間に深い関わりがあると“勝手に思い込み”」とか「容疑者の妄想に加担してはいけない」とか、挙句の果ては「世界平和というイデオロギーに賛同する政治家はたくさんいる」などと、反共主義およびカルト的な家庭論に支配された宗教団体の「平和運動」を、一般的・普遍的な平和運動と同列に並べ、何の問題もないかのような言説を、エセ評論家や御用ジャーナリストを通して垂れ流しているだけ。で、自民党とメディアによって祭り上げられた“偉大な政治家”安倍晋三に「最高位の勲章授与」って、もう開いた口が……

(この分では「国葬」なんてことも、あるのかね? 戦後は吉田茂と昭和天皇のみ。安倍晋三と昭和天皇が、まさかの同列?ますます悼む気持ちが失せてきた)

 参院選(710日)

選挙日といえば、午後8時から午前0時頃まで、ひたすらテレビにかじりつき“一喜一憂”……が、定番だったのだが、「安倍晋三殺人事件」から「選挙特番」に至るまで、右へ倣えの報道姿勢がうすら寒く(最早、ロシア並みだね、日本のメディアは)、予想通りの「自民圧勝」を確認した後、どの局の「特番」も観ることなく、早々と床に就き『特捜部Q』を読みながらウトウト……翌朝、山本太郎の当選を知った。

というわけで、全体的な結果については言わずもがなだが、こと東京選挙区に限って言えば与野党半々で、ほぼ思い通り。戦力的にも、自民の2人(ビーチバレー・朝日、おニャン子・生稲)は単なる採決要員だが、野党の3人(蓮舫、山添拓、山本太郎)は、いずれも党の主力として論旨明快、舌鋒鋭く戦える人たち。その点ではいい選挙になったと思う。

その他“良かった!”と安堵したのは、福島みずほ、辻元清美、福山哲郎、田村智子、そして沖縄の伊波さん、「れいわ」の天畠さんと水道橋博士の当選。(私自身は「れいわ推し」なので、比例も「れいわ」に投票したが、もう一票の権利があるならば「福島みずほ」に入れたかった)

 

 

2022/04/21

友からの手紙


先日、岩手・大船度在住の友人から手紙が届いた。

(「会いたいね」「そうだね、いつか、きっと」などと年賀状でのやり取りだけは絶やさず続けていたが、もう30年以上、彼とは会っていない)

知り合ったのは20代最初の夏頃(彼是50年の付き合い)。高校時代の友人から「面白い男がいる」と紹介されたのだが、その際の印象は最悪。暗に「君と親しくなる気はないよ」という意思を伝えるかのように敵意のこもった眼差しを向け、口を開けば嫌味と皮肉のオンパレード……「とても付き合えるヤツじゃない」と思っていたのだが、あにはからんや、何度か会い、呑み、言葉を交わすうちに、当時の私が胸襟を開くことのできる数少ない友人の一人になった。(思えば、その皮肉と嫌味は優しさの裏返し。鋭さと無邪気さを、若干タレ目の両眼に湛え、いつも静かに微笑んでいるような大人っぽい男だったが、好みの小説や笑いのツボは一緒。性格は全く似ていなくても、感性や価値観は似たところがあったのかもしれない。同姓同士ということもあり、いつの間にか互いを「ミツルちゃん」「マサヒロちゃん」と名前で呼び合う仲になった。大学卒業後、故郷の岩手・大船度に帰った彼の家を訪ねたのは、いつ頃だったろうか…)

そんな彼からの手紙……なんだろう?と手に取ると、かなり厚い。「返信不要」という意味なのか、封筒の裏に名前はあったが、住所は書かれていなかった。(その時点で、イヤな予感はしていた)

開封して、すぐに愕然。「充ちゃんへ」と書かれた便箋(5枚)には、書くことすら苦しそうに、震える文字が連なっていた。

充ちゃんへ

君がこの手紙を手に取るということは、私はすでにこの世におりません。去年11月初旬咳が出たので行きつけのクリニックに行き、中々咳が止まらないのでレントゲン、そしてCTを撮った所、医者が言い放った言葉が、“ガンだ!”の一言でした(定期健診も受けているのにお前は何をしているんだ!)

岩手医大で診てもらったところ進行性の肺ガンでステージⅣで、すでに脳、骨、その他いくつかの臓器に転移しているとのことでした。早速医大で抗ガン剤治療が開始されました。

(中略)

効果とは一切関係なく、私の場合抗ガン剤の効果はほとんど有りませんでした。

苦しみ抜いても効果がないとは、45ヶ月に渡って続けて来た抗ガン剤治療を続けても意味が無いことです。私が選んだ道は緩和ケアです。

緩和ケアとは抗ガン剤の投与を一切止め、体の痛み、吐気、食欲不振、精神的不安定さを取り除くといった方法です(死期は早まるかもしれませんが?)

私にとって一番重要なことは、“私は私である”ということです。最後まで自分が自分のまま静かに最期を迎えたいということです。

ただ一つ心残りは、去年一月それまで介護してた母が亡くなって時間が出来たので、前々から勉強していた中小企業診断士の試験を受け一次試験は去年8月に合格し、さあ二次試験を今年と思っていた矢先に今回の出来ごとです。

何故、この資格と思われるかもしれません。

田舎は貧しい(日本は?)。貧しい上に格差の拡大、差別等数え上げれば切りがありません。そんな世界に小さな風穴を開けることでも出来ればとの思いからです。(少しカッコつけ過ぎ!?)

日本(世界)はどうなっているのだろう?

ジェンダー、SDGsいずれも新たな考え方みたいに言っているけど、20年も前から言われていることで、何を今さらという想いです。

(中略)

今、政治的、社会的最大の問題は何か? 地球温暖化・環境破壊が進んでいることではないでしょうか?

れいわ新選組が打ち出しているグリーンニューデール政策は資本主義(経済成長)を前提としたニューデール政策なのではないでしょうか?

温暖化・環境破壊の解決策は?

グレタが言う資本主義社会のシステム(経済成長)を変える(資本主義を止める)ことではないでしょうか?

(それを)解ってても今の生活を変えることなく人類は破滅の道を辿るのでしょうか?

(中略)

君はリスベット・サランデル(ミレニアム)を知ってるだろうか?(すでに知っているかもしれませんが)

今まで北欧サスペンスを読んできました(警察小説が中心)ヴァランダーシリーズ、特捜部Q、カミーユシリーズ(ルメートル)、ぺレス警部(アン・クリーヴス。私の最も好きな女流作家)、ラージュケプレルなど好きな作家が多いです。

去年、読む本がなくなにげなく、ホコリを被った本の中から偶然ミレニアムを手に取って読みました。十数年前の本ですが衝撃が走りました。これほどの本は今まで出会ったことがない。

今はジェンダーなんてくそくらえ!と思っているサランデル(もしそういう女性が存在するなら)に会ってみたい。

今の私にはほとんど体に力が入りません。

書く力も残ってません。

この辺で筆を置くこととします。どうか元気で。

最後にルメートルではないけど

天国でまた会おう!    


以上。もしこのブログを今は疎遠になっている昔の仲間が読んでいてくれたら、これを彼の最期の言葉、意思として受けとってほしい。

ミステリーが大好きで、常にユーモアを忘れず、一人故郷で暮らす今も昔と変わらず貧しい人や苦しんでいる人に眼を向け、心を砕き、よりよい世界のために何をすればいいのかを考え続けていた真摯で優しい男のことを忘れないでほしい。と思う。

生涯独身を貫いた「マサヒロちゃん」……最期はどなたが看取ってくれたのだろう。(自分の死を自分で知らせるなんて、そんな韓ドラみたいなこと、お茶目で律儀で、心優しい皮肉屋の君以外に一体誰ができるというのか!)

手紙を受け取って数日経つ今も、ざわざわした心のままにぼんやり君のことを考えている。

「また、会おう」「いつか、きっと!」なんて、言ってる場合じゃなかったね(いま無性に会いたくても時すでに遅し。どうしようないや。やっぱり会える時に会わないと!私を含め同姓代の仲間は、いつ死んでもおかしくない年だもの)

毎年、賀状で「オススメ本」を知らせてくれた君の最期の「オススメ」…『ミレニアム』は、必ず読むよ。多分それまで「どうぞ安らかに」なんて言えない(だって、死ぬ間際まで不条理な世界を憂い、戦い、私に問いかけたくれた君に対して「安らかに」なんて、何だか失礼な気がしてさ)。

君が「会いたい」と言っていた「リスベット・サランデル」に、ちゃんと私も会ってから、改めて何某かの言葉を持って、君の死を弔いたいと思う。合掌。

3月に咲き、4月を待たずあっという間に散った今年の桜……桜は散ってから咲くまでの一年間の気候によって、その年の花の質が決まるそうで、「今年の桜は質が悪い」と、桜守の佐野源右衛門さんが言っていた(桜にも「気候変動」の影響が…)。年々桜の季節が味気なくなるのは年のせいばかりじゃないのかも。

久しぶりの更新が少し重い感じになってしまいましたが、どうぞ皆さんご自愛のほど。



2022/03/03

2月のメモ②


220日(日)

北京五輪閉幕。

習近平とバッハのツーショットなど見たくもなかったが、「チャン・イーモウ演出」につられて、つい見入ってしまった開会式(いい意味で中国らしくない幻想的で美しい式典。聖火リレーの最終走者にウイグル族の女性を起用するという、あざとい政治的演出もあったが、高い技術力を世界に印象づけることができ、イメージ戦略的には成功だったように思う)。

そして、ロシアによるウクライナ侵攻の懸念が高まる中、見る気も失せた閉会式……

期間中、いくつかの競技も見たが、その中で印象に残ったのはスノーボード(「国」じゃなく、自由な「個」が高く宙を舞っている感じがとても気持ち良かった)とフィギュアスケート。平野歩夢と羽生結弦の技量&センスはちょっと次元が違う気がした。  (羽生くん、礼儀正しいのは良いとして、国旗やオリンピック旗にそこまで丁寧に頭を下げなくても…とは思うけど)

222日(火)

猫の日。今年は2022年ということで、「スーパー猫の日」と言うらしく、朝から地上波も衛星も猫・猫・猫(特にBSテレ東は朝から晩まで“猫づくし”)……もちろん、猫好きとして悪い気分にはならないが、「ネコノミクス(経済効果2兆円?)」などと持ち上げられ、ブーム化する(させられる)現状はかなり異様。流行り廃りで飼われたり捨てられたりするのでは、猫も犬もたまったものではない。現に「猫ブーム」といわれる今でさえ、年間約20,000頭もの猫が殺処分されているわけで……(もしブームに乗って「飼いたい」と思うならペットショップなど行かずに、保護猫を!)

ちなみに我が家の「ジャック」も元・保護猫。本人(本猫)が望んだわけでもないのに知らない家に連れてこられ、ハンガーストライキ状態の時もあったが、今では毎朝6時近くになると枕元に来て「ニャーニャー」餌を催促する日々。

時折、ホントに猫なのか?的な仕草で笑わせてくれたり、テーブルの上のティーポットを落としてびっくりしたり怒られたり、「いい仔だね~」と岩合さん口調のジジイに撫でられたりしながら、ゴロゴロ・スヤスヤ「猫ブーム」など素知らぬ顔で生きている。

223日(水)

確定申告のため、東村山にある「青色申告会」の事務所へ。今年も支払う税金はゼロ。当然、還付金もゼロ。

225日(金)

とうとう戦争が始まった……「ロシア、ウクライナ侵攻」

ロシアの侵攻については「旧ソ連時代の意識のままに“帝国復活”をめざして」とか「ウクライナのNATO加盟を阻止したいがため」とか様々な論評があり、正確なところは私にはわからないが、どんな理由を掲げようが「侵略」であることに変わりはないし、何より戦争は絶対悪。命じたプーチンが度し難いほど愚かな政治指導者であることは言うまでもないが(まして核兵器使用を仄めかすなど、狂っている!としか言いようが…)、プーチンの侵攻を止められないどころか、逆に煽り続けたバイデン及び米メディアも「愚か者」の誹りを免れるものではない、と思う。

さらに言えば、ここぞとばかりにいきり立って「今のままでは日本がウクライナになる」「9条で日本が守れるか」「核武装をするべきだ」などと、アホ!としか思えないような世界認識と国防論で危機を煽る日本の政治家や評論家及び彼らを重用するメディアは、それに輪をかけたような恥ずべき愚か者。というほかない。

ロシアの撤退と戦争の早期終結を願いつつ、再度、吉本さんの言葉を噛みしめたいと思う。

《(前略)しかし、文明や科学が発達していく一方で、人間の愚かしさもまた、とめどなく大きくなっていると言っていいかもしれません。

そのいい例が、各国で競うように開発している核兵器です。すでに、アメリカもロシアも相当な数の核兵器を持っています。中国やフランスも、ある程度の数を保有しており、インドとパキスタンも争っています。さらに、北朝鮮は核保有を宣言しました。僕に言わせれば、これはばかな競争です。これは、もしかすると、ひょんな拍子に人間の歴史をふっ飛ばしてしまう事態が起きないとも言えません。可能性はあると思います。

人間の寿命や文明の発達、感覚を鋭敏にするための装置の機能向上は、僕らの考える領域でもないし、僕らがどうとかできるものではありません。でも、核兵器競争みたいなことだけはよせと言いたい。もちろん、日本もそんなものはつくらず、平和だけを積極的に主張するという態勢をとれということです。建設的な利口さはそれしかありません。

僕らが口をはさむ事柄でもないのですが、それぞれの国の指導的な人たちは、そういうばかな競争をしないで、どんどん廃棄する競争をすればいい。それにはまず、核兵器をたくさん持っているところから捨てていけば、ほかは右にならえをしていくのです。持っている国が悪いのですから、初めに持っている国が捨てない限りは、いつまでたってもなくならないでしょう。

しかし、いまの核拡散防止条約というのは、そういう仕組みになっていません。核兵器を減らせばいいという規定だけがあって、アメリカやロシアの核を捨てて少なくしろという規定はないのです。だから捨てないのです。それどころか、みんなが真似をする。日本にも真似しようというやつがいるくらいで、冗談じゃありません。それこそ本当に人類のばかさ加減を一番表しているものです。

日本には不戦条項が憲法にあるのだから、積極的に、遠慮なしに主張したらいいと思います。もちろん、そういうことは僕らの領分ではなくて、政治家がやるべきことで、国際的にもやるべきことですが、あまりやっているようにみえません。

「ひょっとしたら全滅だ」というところに競い合っていこうとしているのを、日本が真似することはないし、また、そんなものをいいと言う必要はないのです。核兵器を持つことについては、どちらの国が悪い、どちらの陣営がイイではなくて、全部悪いんだというのが正しいと思います》『真贋』(講談社/2007年)P26-27より。


《戦争を知らない世代の人たちは、いかにも日本だけが侵略戦争をやって、向こうは正義の戦争だったなんて信じている人も多いですが、戦争だから双方で殺し合いをしているわけです。前の戦争で負けた国ということで、日本人は恐縮していますが、そんなことで恐縮することはないと思います。でも、だからといって、きちんと戦争ができるように自衛隊を自衛軍にする、憲法九条を見直すといったことに力をいれるのはやめにしろと言いたいのです。

どうしていまの日本人は、戦争放棄といういい憲法を持っているのにもかかわらず、核拡散防止条約をちょっと変えてもらいたいと言うことすら躊躇しているのか。日本人はもともとおとなしいということはもちろんあると思いますが、内心は、日本が世界で孤立するのが怖いのだと思うのです。それが、いまの世代の人に感じる一番の弱点だと思います。それは何の弱点かというと、逆説的な言い方をすれば、戦争を体験しなかった人の弱点だと思います。

国家は建前上何らの理由も立たないことに反対してよその国を圧迫することや、脅かすことはできないということは自明のことだと僕らは思っていますが、戦争体験のない、いまの若い人たちはそういうことを理解できないのだと思います。僕らの世代は戦中、戦後のある時期、飢えて、なけなしの衣類や家財道具とお米とを交換して細々と食いつないだという経験がありますから、何が起ころうともあまり怖くないのです。こういう主張をしても、たとえどんなことがあろうと、僕を干乾しにすることはできない、という強い確信があると言いますか、何をしてでも食べていけるという自信があるからかもしれません。

まず戦争というものをなくすために何ができるか、もう少し真剣に考えてみるべきだと思います。》『真贋』P99-100より

2022/02/28

2月のメモ①


212日(土)

「ブースター接種」の予約日。(1回目と2回目は「ファイザー」だったが、今回は「モデルナ」を選択。交互接種の方が抗体価は高まるというデータもあるようだし、予約も取れやすかった)

10時ちょい過ぎ、自宅から歩いて15分ほどの接種会場(福祉会館)に到着。「モデルナのみ」の会場だったせいか、高齢者の多い地域なのに、同じ時間帯の予約者は私を含めて10人程度(やはり交互接種を不安に思う人が多いようだ)、待ち時間もなくあっという間に接種を終えた。夕方以降、左上腕部の痛みと若干の倦怠感あり。

213日(日)

朝から少し寒気がして「副反応かな?」と思っていたら、午後になって“きっちり”発熱(37度超)。倦怠感も増してきたので、ツレが用意していた解熱剤を飲み晩飯の時間まで2時間ほど床に就いた。(起きた後は熱も下がり倦怠感も解消……やはりブースター接種、とりわけ「モデルナ」は副反応が出やすいと言われていたが、「その通り」のようだ)

※翌日(14日)も上腕部の痛みは続いたが、熱もなく体調回復。(14日に接種を終えたカミさんも15日に発熱。回復は早かったが「モデルナ侮れず」の5日間だった)

218日(金)

2日連続で仕事をした後の金曜日、ちょっとした開放感に包まれて“遠出”……「新宿シネマカリテ」でノルウェー発の青春音楽ロードムービー『ロスバンド』(監督:クリスティアン・ロー/製作2018年、ノルウェー・スウェーデン合作)を鑑賞。(その感想は後日改めて)

映画の後は、喫茶「らんぶる」でランチ&読書……2月に入って、急に吉本さんの本が読みたくなり(石原慎太郎逝去の報がきっかけ)、何冊か本棚から引っ張り出して特に興味を惹かれた箇所を重点的に再読中。今日もその中の一冊『「ならずもの国家」異論』(光文社/2004年発刊)を手に家を出た。

で、その本の中で、改めて考えさせられた「国家の原則とは何か」という一節を紹介。

《では、国家とは何か。幻想の共同体です。ところが日本人は、確固とした実体のようにおもいこんでいるのです。比喩的にいえば、国家は国民のすべてを足もとまで包み込んでいる袋みたいにおもっている。たしかに国籍を変えたり、よその国に旅行したりすることはできます。でも、国家という袋からは出られないとおもってきたわけです。こういう概念は極めてアジア的です。西欧的な概念とはまったくちがいます。

西欧で国家とは何だといえば、政府のことです。人間は社会をつくってじっさいの生活を行う。国家とはそうした社会の上に聳えている共同の幻想だと考えているわけです。だから彼らは、国民全体をすっぽり包んでいる袋のように国家をイメージすることはない。

いってみれば、国家はぼくらがじっさいに生活している社会より小さくて、しかも社会とは分離した概念だとみなしているわけです。国家が至上概念になって、ぼくらの生活を隅から隅まで規定するなんて考えない。むしろ市民社会のほうが国家や「公」より大きいんだという感覚をもっている。ここが日本と西欧の大きなちがいです。(中略)

「武力攻撃事態法」「改正自衛隊法」「改正安全保障会議設置法」の有事三法や盗聴法が国会を通過して、次は徴兵制かなどと危惧する声があります。徴兵制を敷くかどうかは大問題ですが、日本国憲法では衆参両院の総議員の三分の二以上の賛成があれば国会が国民に憲法の改正案を示す、そして国民投票で有権者の過半数が賛成すれば憲法改正ができる。だからそうなれば、徴兵制も敷かれます。でも徴兵がいやだったら、徴兵に応じなければいいんです。それは罰せられるかもしれませんが、それさえ覚悟していれば徴兵を拒否して逃げまわればいい。

国家が守るべき憲法とか法律は国家が守ればいいわけです。あるいは国家の召使いである官僚が守ればいい。国民一般が守るべき理由はすこしもありません。それは個人の問題です。

先ほど指摘したように、国家は国民すべてを包み込む袋ではないというのが大原則です。こうした基本的なことはきちんと押さえておいたほうがいいとおもいます。そこがわかっていれば変に間違うことはありません。

個人として憲法に違反するとしても、そんなことは一向にかまわないわけです。それに似たようなことは、みんなふだんからいくらでもやっているわけです。たとえば税金はできるだけすくなくなるようにごまかして申告するとか、そんなことはみんな知っているのですから、いまさら忠義面をしても意味はありません。》

 帰途、池袋西武の三省堂に立ち寄り「うむっ!?」と惹かれた4冊を購入。

『韓国カルチャー 隣人の素顔と現在』(伊東順子/集英社新書)、『インド残酷物語 世界一たくましい民』(池亀彩/集英社新書)、『わが昭和史』(吉本隆明/ビジネス社)、『夜の果てへの旅』(セリーヌ/中公文庫)

※『韓国カルチャー』と『インド残酷物語』は既に読了。(2冊とも「知らない世界への扉を開いてくれる」超オススメの面白本!)