2017/04/10

ちょっと嬉しいニュース(&「男の本質…」)




10数年前、厚労省の仕事で「里親制度」の周知用ポスターを制作したことがある。(8社コンペで採用されたものだが、「WEB啓発ポスター資料館」で注目ポスターとして紹介されるなど、かなり評判が良かったようで長期にわたり活用されていた)

以来、テレビから「里親…」という言葉が流れてくると自然に耳が傾くし、里親関連の新聞記事にも必ず目が行くようになった。

で、先日。「日本初、男性カップルの里親誕生」というニュースが大きな話題を集めたのは周知の事。

私も、「経済的に安定し子どもに愛情を持って育てられるなら、LGBT(性的マイノリティー)かどうかは関係ない」と述べ、これまでの慣習を打ち破り、制度に風穴を開けてくれた大阪市長の判断に拍手を送りつつ、以前に観た映画『チョコレートドーナツ』の3人の姿が、不意にまぶたに浮かび、心温まる思いがした。
(『チョコレートドーナツ』は、1970年代アメリカの実話を基に、母親に見捨てられたダウン症の少年と一緒に暮らすため、司法や周囲の偏見と闘う男性カップルの姿を描いた作品。ラストで主人公ルディが熱唱する「アイ・シャル・ビー・リリースト(I Shall Be Released)」がとても印象的だった)

それからすぐ後、今度は、若かりし日の吉本(隆明)さんに太宰治が言った言葉が脳裏をかすめた。

「おまえ、男の本質はなんだか知っているか」
「いや、わかりません」
「それは、マザーシップってことだよ」……

家父長制度的な発想で殊更「男らしさ」を求め求められた社会は、女性に対する偏見や差別を生みだす大きな原因にもなってきたが、私のように「男らしさ」が身につかず、幼くして父を失くしたせいか、どことなく「父性」の欠落を感じている人間にとっても息苦しいもの。
太宰の苦悩の重さから生まれた、その言葉の深さをはかり知ることはできないが、吉本さんの著作を通じてこのエピソードに触れた時、心が少し解放されたような気がしたものだ。

「男の本質はマザーシップ」

「男性カップルの里親誕生」という心なごむニュースが、「里親制度」及びLGBTへの理解を深め、あらゆる偏見と差別をなくすきっかけになればと願いつつ、残された人生、私も「本質」を少しでも具現化する生き方ができればなあ……と思った次第。

まずは、黒猫ジャックの「母」であること……かな?(違うか!)

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