11月2日(水):新宿ピカデリー、上映開始15時30分。レディースデイにも係らず、席の埋まり具合は2割程度だろうか。テレビのニュースでも度々取り上げられていた割には、映画ファンの関心度はあまり高くないようだ。
東日本大震災から約8ヶ月……震災・復興・原発への人々の関心が薄れているというのではなく、ドキュメンタリー映画に対する取っ付き難さがあるのだと思う。でも、それを振り払えば、自ら被災しながらも復興に力を尽くす人々の姿を追った懸命なカメラワークの成果を観ることができる。
本作は、東日本大震災により甚大な被害を受けた福島・いわき市の大型レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」(旧・常磐ハワイアンセンター)が、今年10月1日の部分オープンに漕ぎ着けるまでの日々を、ダンシングチーム(フラダンサーたち)の活動を中心にドキュメンタリーフィルムに納めたもの。(若干、編集の粗っぽさは感じられるが、厳しい撮影環境下、製作から公開までのスケジュールもタイトだったのだろう)
再開に向けた46年ぶりの全国キャラバン。焼け付く人工芝のグラウンドや雨に濡れたステージで裸足のまま笑顔で踊るフラダンサーたち。その逞しさが美しい。いつ来るとも分からない“出番”に備えて日々トレーニングに励むファイヤーダンサーの姿も印象的だ。そしてホテルのスタッフ、そのホテルを避難所にしていた被災者の方々、フラダンサーの家族……“絆”という言葉が頻繁に使われることには少し抵抗を感じるが、ここには“絆”と言うほかない人と人を結ぶ強い思いがある。“一山一家”の精神、未だこの地に衰えずとでも言うべきか。
昭和41年の誕生から46年を経て、再び、いわき市の復興のシンボルとなった現代のフラガールたち。その“笑顔を届ける活動”にエールを送りたい。
ナレーターは、2006年に公開され大ヒットした映画『フラガール』での熱演により女優賞を総なめにした蒼井優。音楽も『フラガール』同様、ジェイク・シマブクロ。ウクレレの優しく穏やかな響きが、5年の時を超え、新たな感動と涙を誘う。
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