2011/11/16

一斉の怒号の中で……日本VS北朝鮮


昨日、22年ぶりに平壌で行われた歴史的な一戦。日本代表の敵地初勝利を期待していたが、国歌斉唱も一斉の怒号にかき消される異様な雰囲気の中、相手の激しい圧力に屈してチャンスらしいチャンスも作れず敗戦を喫した。

正直、スターティングメンバーを見た時から、この面子では厳しいだろうなあ……というイヤな予感はあった。攻撃の主力である香川、遠藤を温存、レギュラーと言えるのは、岡崎、今野、長谷部の3人だけ。最終予選を前に控え組を冷静に試したいというザックの意図は理解できるが、目が血走るほど必死の形相で臨む“捨て身の相手”に立ち向かうには、どう見てもコマ不足。パスは繋がらず、キープも出来ず、ボールを奪っても直ぐにプレスをかけられ前に進めない……控え組のメンタル&フィジカル面の弱さも浮き彫りになった。残念だが、セルジオ越後の“つぶやき”どおり「ベストメンバーでなければこの程度」なのが現状の日本代表の姿かもしれない。

改めて、本田、長友、遠藤、香川といった高いレベルの“個の力”の必要性、その存在の大きさを確認した試合でもあった。

それにしても、観戦後の虚無感というか得体の知れない寂しさはなんだろう?

サッカーの歓びが、悪しき政治体制と過剰なナショナリズムに奪われたような気がするせいだろうか、それとも怒りと憎しみが込められた激しい闘争心に、憎しみを持たない自由な個の闘志が粉砕された虚しさなのだろうか。

「日本打破!」の歓喜に沸く平壌の映像を見ながら、拉致問題の解決も含め、この国の代表と自由でフェアな雰囲気の中でサッカーを楽しめるようになるのは、いつの日なのだろうと妙な感慨にふけってしまった。

一糸乱れぬ“日本憎しの怒号”が波濤のようにピッチを襲う光景を見る限り、今のまま経済制裁を加えるだけでは、共に歩ける道も共にサッカーで競える日も遥か遠い気がするのだが……


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