2021/11/24

吉祥寺で『スウィート・シング』からの「いせや」


先週の金曜、2年ぶりに吉祥寺へ。

アップリンクで、米インディーズ映画『スウィート・シング』(2020年製作、アメリカ)を観てきた。

 


主人公は姉ビリーと弟ニコ……極貧暮らしで学校にも行けず、頼れる大人もいない二人が(初老の父アダムは酒狂い、家を出て行った母イヴは男狂い)、ある日出会った少年マリクと共に逃走と冒険の旅に出る…という話。時折カラーが入るモノクロの映像で、子供たち3人の逃避行が生き生きと美しく描かれる。ビリー・ホリディ、ブライアン・イーノ、シガー・ロス、ヴァン・モリソンなど、流れる音楽が実にイイ。

《逃げろ!ロクでもない大人たちから。逃げろ!その瞳の輝きを奪おうとする行き詰まりの世界から。逃げろ!どんな手を使ってでも、逃げろ! 走って、走って、たどり着いた先がまたしても酷い大人たちの世界であったとしても、今はただ振り向かず逃げろ!いつかどこかに、幸せな瞬間は必ず待っていてくれるから……》そんな声がスクリーンの彼方から聞こえてくるような映画だった。

監督は米インディーズのアイコンとして名高いアレクサンダー・ロックウェル。主人公の姉弟にはロックウェル監督の実の娘ラナと息子のニコ。母親イヴを実際のパートナーであるカリン・パーソンズ、父親アダムをアカデミー助演女優賞受賞作『ミナリ』の名脇役ウィル・パットンが演じている。

ちなみにタイトル「スウィート・シング」は、北アイルランド出身のロックシンガー、ヴァン・モリソンの名盤「アストラル・ウィークス」に収録された1曲『SWEET THING』からとったもの。映画の中で主人公ビリー(監督の娘で15歳のラナ)がその歌を口ずさむシーンも、その声の美しさと共に印象的だった。(詞がまたイイんだよね~)


心浮き立つ あの道を歩き 

生け垣を跳び越えよう

澄み切った水で 渇きを癒して

波間に浮かぶ 連絡船を眺めよう

いつもより青い海は 明日の空を映してる

もう2度と年をとったりしない

あの庭を歩き 話し続けるんだ

愛しい君よ 愛しい君 …スウィート・シング

https://www.youtube.com/watch?v=1XGLoUmeNHg (ヴァン・モリソン)


映画の後は、「いせや」でランチ替わりの焼売&焼き鳥2本(当然ハイボール付き!)。いい映画を観た後のちょい飲み……実に気分良し。

 


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