2017/09/02

ハリルに感謝



一昨日、サッカー日本代表が宿敵オーストラリアを破り、見事ロシアへの出場権を勝ち取ってくれた。

本当に嬉しい夜になったが、実は試合のだいぶ前から少し気分が悪かった。(というより怒っていた)
何故かというと、一部メディア(特に日刊スポーツ)が「負けか引き分けなら、ハリル解任」を声高に叫んでいたから。

大事な大一番の前にして、日本代表を力強く後押しするでもなく、単に数字(部数)を取りたいがために嘘とねつ造を重ねて無理筋の“解任キャンペーン”を展開して足を引っ張り続けるメディアに、サッカーや日本代表を語る資格などあるはずもないのだが、それを真に受ける人々が多くいるのも困ったもの。

愛する家族をフランスに残し、母国ボスニア・ヘルツェゴビナからも遠く離れた極東の国(しかもサッカー強国とは言えない日本)を大仕事の舞台として選んでくれた名将に対するリスペクトも忘れているようでは、日本サッカーが世界の舞台で旋風を巻き起こすことなど夢のまた夢。彼らは一体、何を目指そうとしているのだろう。サッカーのどんな未来を望んでいるのだろう。
(「アギーレ八百長疑惑」の時も、日刊スポーツは半年近くほぼ毎日「アギーレ八百長」という記事を更新。世論を操作して徐々に監督への不信を作っていって解任へと追い込んだ前科がある。結局アギーレは無実であり捜査は打ち切られたわけだが、その「無実」のニュースに関してはほとんど知らんぷり……アギーレは今でも日本代表に深い関心と愛情を持って的確なアドバイスを送ってくれているというのに)

というわけで、一人勝手に試合とは別の所で熱くなっていたのだが、そんな事前の“怒り”が吹き飛ぶような、あまりに見事なハリル采配。(見たか!日刊、セルジオ、武田修宏、その他もろもろ)
「オーストラリアを自分のチームのようによく知っている」と語っていた指揮官が選んだのは相手の良さを徹底的に潰した上で攻撃に展開する“ハイプレス&カウンター戦術”、トップ下を置かない4・3・3。最前線はタメが作れて体を張れるストライカーの大迫、ウイングにスピードのある乾と浅野、インサイドハーフはフィジカルが強くボール奪取力のある井手口と山口、アンカーに長谷部(SBDFは予想通り、酒井宏樹、長友、吉田、昌子)……という布陣。一か月前に誰がこのスターティング・メンバーを予測できただろう。(しかも、この大一番の開始時に本田も香川も岡崎もいないことを)。

中でもそのプレーに驚かされたのは、豊富な運動量と奪取力で守備の安定感と攻撃の推進力をもたらし、ワールドクラス級の鮮やかなゴールまで決めてしまった井手口陽介・21歳(ガンバ大阪)。オーストラリア戦における精神的支柱がキャプテン長谷部だとすれば、ハリルが選んだシステムの支柱は間違いなく彼だった。(風貌・雰囲気は小ぶりな中田英寿、プレースタイルはかつての日本代表・稲本潤一に似ているが、それを超える逸材だと思う)

もちろん、サイドを駆け上がり何度もチャンスメークしながら、守備でも必死に体を張ってくれた酒井・長友の両SBの働きぶりも文句なし。破壊力のある相手FWを徹底マークして仕事をさせなかった吉田・昌子のDF陣も強さと安定感があり安心して見ていられた。(おかげで川島が目立たなかったけど)

以上。筋金入りのリアリスト「ハリルホジッチ」が策士としての力を存分に発揮してW杯出場を決めてくれたオーストラリア戦だったが、チームの命運をかけた大一番で仕事が出来るというのが名将としての証。その期待に応えた選手たちも立派だったが、まずはハリルに感謝したい。

そして、彼の緻密なチーム作りによって戦力の底上げが図られ、来年にかけてますます競争が激化する日本代表……今はまだ、W杯代表メンバー(23名)に誰が選ばれるのか全く予想ができないという何とも嬉しいこの状況。これこそ私を含め多くのファンが望んでいたチームの姿ではないだろうか。ハリルが導くロシアが本当に楽しみになってきた。アレ!ニッポン!

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