ジム・ジャームッシュ監督のドキュメンタリー『ギミー・デンジャー』、湊かなえ原作の『望郷』、名作「ヨコハマメリー」の中村高寛監督が8年の歳月をかけた長編ドキュメンタリー『禅と骨』。
そして、多分、私たちが過ごしたあの頃を振り返らずにはいられない『三里塚のイカロス』、クジラ漁で有名な和歌山県太地町を取材したドキュメンタリー『おクジラさま ふたつの正義』、心臓移植をテーマにしたフランス&ベルギー映画『あさがくるまえに』、新鋭・澤田サンダー監督の商業デビュー作『ひかりのたび』などなど。(さらに今週末からは注目の『ユリゴコロ』も始まる)
そして、多分、私たちが過ごしたあの頃を振り返らずにはいられない『三里塚のイカロス』、クジラ漁で有名な和歌山県太地町を取材したドキュメンタリー『おクジラさま ふたつの正義』、心臓移植をテーマにしたフランス&ベルギー映画『あさがくるまえに』、新鋭・澤田サンダー監督の商業デビュー作『ひかりのたび』などなど。(さらに今週末からは注目の『ユリゴコロ』も始まる)
子どもと親たちの夏休みが終わり、9月も半ばを過ぎて、時間に融通の利くコアな映画ファン(つまり、私を含むシニア世代?)を狙っていたかのように、そそられる作品が目白押し。
さて、どれから観に行こうか……と、昨日は珍しく迷ってしまったが、まずは『ヨコハマメリー』に敬意を表して『禅と骨』を観に行くことに。ミニ・シアター「ポレポレ東中野」も久しぶりだ。
『禅と骨』は、2012年に映画の完成を待たずに93歳で亡くなった京都嵐山・天竜寺の“碧い眼の禅僧”ヘンリ・ミトワさん(1918年、横浜でアメリカ人の父と新橋の芸者だった母の間に生まれた日系アメリカ人)とその家族の人生を追ったドキュメンタリー。
上映開始は13時。早目に家を出てチケットを購入した後、1階のカフェ「ポレポレ坐」で軽くランチをとりながら1時間。残り20頁ほどだった『自由を盗んだ少年 北朝鮮悪童日記』(著者:金革キムヒョク)を読み終え、心置きなくビル地下のシアターへ。上映前のフロアは中高年男女を中心にかなりの混雑だった。
上映15分前に入場。館内には「骨まで愛して」の渋い歌声が流れていた。歌はその後、童謡「赤い靴」から「京都慕情」(苦しめないで ああ責めないで~♪)へと移り、妙な懐かしさに包まれる中、予告編に続いて本編がスタート。冒頭、横浜・山下公園に立つ「赤い靴はいてた女の子」の銅像が映し出された。
そして2時間超……「禅」よりも、とことん「骨」を感じさせられる最終章《虹立つところ》を経て、横山剣が歌う「骨まで愛して」がゾクッと胸に染み渡るエンドロールまで。ドラマとアニメを交えて描かれる“愛×情”物語にどっぷり浸って気分はハイ↑。
(ナレーションは仲村トオル。音楽は元ゴールデン・カップスのエディ藩、クレイジーケンバンド・横山剣をはじめ、大西順子、岸野雄一、野宮真貴、コモエスタ八重樫らが担当し、随所に醸し出されるハマっぽさ。ヘンリの青年時代を再現するドラマパートはウエンツ瑛士、余貴美子、永瀬正敏、利重剛、緒川たまき、佐野史郎など、なかなかのキャスティングで見応えあり)
その“映画酔い”のような興奮は帰り際まで冷めやらず、次回の上映を待つ人たちに「いや~、すごく面白かったよ~!ゆっくり楽しんでね~!」と片っ端から声をかけたくなったほど。(もちろん、口には出さないが)
純粋でありながらどこか胡散臭く、少し哀れに思うくらい滑稽かつ奔放で、「悟り」の世界とは生涯無縁だったように思える“禅僧ヘンリ・ミトワ”。その強烈な個性とカオスな人生にすっかり魅せられてしまった。(次女の静さんも、父に負けず劣らずの強烈キャラ)
以上。今年観たドキュメンタリー映画の中では断トツの面白さ。超おすすめの一本!
※待ち時間に読了した『自由を盗んだ少年』は、食糧危機により餓死者が100万人を超えたと言われる1990年代の北朝鮮で、幾度となく生死の境をさまよいながら「コッチェビ(放浪者、路上生活者)」として生きぬき、18歳の時に決死の覚悟で脱北。韓国に渡り大学院で北朝鮮学を研究するまでに至った青年の半生を綴った手記。
社会主義を標榜していても、北朝鮮はキューバなどとは全く違って「出身成分」(嫌な言葉だ)による徹底的な身分差別が行われている階級社会。あの国で生きることの難しさと、下層の人たちの貧困の凄まじさを改めて思い知らされた。(ミサイルなんか飛ばしている場合じゃない!)
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