2017/09/17

本物中の本物(セルゲイ・ポルーニン)




ちょっと間が空いてしまったが…先々週の木曜(7日)、新宿「シネマカリテ」でドキュメンタリー映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』を観てきた。(11回限りの上映ということもあり、館内はかなりの混雑。早目にチケットを買っておいて正解)

セルゲイ・ポルーニンは2009年、史上最年少の19歳で世界の最高峰、英ロイヤル・バレエ団のトップ(プリンシパル)に上り詰めた天才だが、その早熟さが災いしたのか、次第にレッスンをさぼり夜遊びに明け暮れるようになり、ドラッグ使用を赤裸々に話すなど壊れはじめ、ついには全身をタトゥーで覆い2012年に電撃退団。以来「反逆者」「空を舞う堕天使」などと呼ばれ、映画の撮影当初はスキャンダルの渦中に置かれていたようだ。

で、その“世界一優雅な野獣”の半生を辿った本作だが……

正直、セルゲイ・ポルーニンが踊る場面を除けば特に胸に迫る言葉も劇的なドラマもなく、彼の葛藤や反逆の理由も意味もよく分からない(伝わらない)至って凡庸なドキュメンタリー映画と言った感じ。(途中、あまりに流れが緩慢で眠気に襲われてしまったほど)

対象の内面の変化にじっくり寄り添うべきはずのカメラが映し出すのは、抜きん出たダンスの才能はあっても、方向性の定まらない飽きっぽい少しやんちゃな性格の若者と、それに戸惑う家族&彼の才能の凄さを語る仲間や恩師の姿だけ。“優雅な野獣”の心に秘められているはずのドラマには中々近づけない(どこが野獣?どこが反逆者?)。
そして、探そうとしても求めるドラマを見つけ出せない焦り・苛立ち?からだろうか、自分からは動かないセルゲイ・ポルーニンを動かす(踊らせる)ために、製作側は『Take me to Church』という音楽と有名なカメラマン(デビッド・ラシャペル)をセットで用意(いわゆる“仕掛け”だが、ドキュメンタリー映画では禁じ手のはず)。そのダンスを編集しYou Tubeで世界中に向けて配信、爆発的な反響を呼び映画も大ヒットとなったわけで……ずっるーい!!の一言。

なので、ドキュメンタリー映画としては★一つの評価もできないが、『Take me to Church』で見せてくれたセルゲイ・ポルーニンのダンスは、バレエにさほど興味のない私のような人間をも唸らせる素晴らしさ。


まさに本物中の本物。「ヌレエフの再来」と言われるのも納得だ。(といっても『愛と哀しみのボレロ』でヌレエフをモデルに踊ったジョルジュ・ドンを知っているだけで、ヌレエフのダンスを観たことはないが)


11日~12日は7度目の明石(「営業案内パンフ」制作の打合せのため、“たたき台”となるデザイン&コピー案を持ってクライアントの本社へ)。ホームページ制作、リクルート用映像制作(現在1回目の試写を好評の内に終え、スタジオでの最終音入れは926日)に続いて3件目の仕事だが、その会社の経営コンサルタントで親しい友人のY君や制作スタッフとの“飲み会”も含め、最早“第二の故郷”と呼んでもいいほど楽しく密度の濃い時間を過ごす町になってしまった。

で、8度目は今月の25日(前泊)~26日、再び「営業案内」の詰めの打合せ。当然、その後は取材・撮影も控えているし、嬉しいことに今しばらく明石から離れられそうもない。

 

 

0 件のコメント:

コメントを投稿