断続的に降る雨の影響で利用者も少なめだった昨日。
午後2時近く、いつものように各ブロックを巡回していたら、後ろの方から「Yさ~ん」と私を呼ぶ女性の声が聞こえた。
振り向くと、お互いを名前で呼び合う数少ない親しい利用者の一人、Sさんだった。
Sさんは御年73歳。病気で自宅療養中のご主人とピアノ教室を営まれている娘さんとの3人家族(&ペットの“ピーターラビット”が数匹)……人生の先輩にこう言っては失礼かもしれないが、純真な少女がそのまま年をとったような、心に何の垣根も感じられない、気さくで素直で、とても可愛らしい方だ。
先週お会いした時は、「もう、ショックで……悲しくて、淋しくて……生きていく気力もなくなった」と、かなり落ち込んでいたが(聞けば、最近、家族ぐるみでお付き合いをしていた30年来の大親友を亡くされたとか。“大親友”は一人暮らしの男性で、長く糖尿病を患っていたらしい。「私がもっと食事とか甘いモノの食べ過ぎとか注意してあげればよかった」と、駐輪場の片隅で、その方との思い出の写真を私に見せてくれながら、一時、Sさんは涙を流し悲嘆に暮れていた)、昨日は、少し笑顔が戻った感じ。
で、仕事も暇だったので、ちょっと立ち話……
「この前、久しぶりにNさん(私の同僚)と会ったんだけど、別人のように太っていてびっくり。お腹がすごく出ちゃって……炭水化物ばかり食べているせいだって言っていたけど大丈夫かしら」
「え~、そうですか……彼とは(勤務シフトの関係で)1ヶ月半くらい会ってないので分からないけど、“炭水化物ばかり”じゃダメですよね……ひょっとして、ほとんど主食だけで済ませて食費を切り詰めているのかも。経済的に苦しくて煙草をやめたって話も聞いたし」(数か月前まで、他の現場と掛け持ちで働いていたNさんだが、持病を考慮して仕事を減らし、今はこの駐輪場だけ)
「あ~、そうかもしれない。年金ももらってないそうだし……でも、奥さんが働いていらっしゃるでしょ。それでも厳しいのかしら?」
「う~ん、ここの給料は小遣い程度であまり家計の足しにならないし、厳しいでしょうね……」
「う~ん、ここの給料は小遣い程度であまり家計の足しにならないし、厳しいでしょうね……」
と、Nさんの窮状を察しつつ、梅雨空に言葉を投げたところで、急にSさん話題転換。
「そうそう、それでね、彼に、この前Yさん(私)に話を聞いてもらって、励ましてもらったって話したの。そしたらね、Yさんのことをすごい力持ちだって、言ってたわよ」
「えっ?力持ち……ですか?私が?」(Nさんの前で重い物を持ち上げた記憶なし)
「そう、すごく元気でパワー?パワフル?な人だって」
「あ~、パワフルって言ってましたか……実は、そうでもないんですけどね~、けっこうヤワで……でも、そう見えるのなら、嬉しいですけど」
「見えるわよ。私だっていつも元気をもらっているもの」
「そうそう、それでね、彼に、この前Yさん(私)に話を聞いてもらって、励ましてもらったって話したの。そしたらね、Yさんのことをすごい力持ちだって、言ってたわよ」
「えっ?力持ち……ですか?私が?」(Nさんの前で重い物を持ち上げた記憶なし)
「そう、すごく元気でパワー?パワフル?な人だって」
「あ~、パワフルって言ってましたか……実は、そうでもないんですけどね~、けっこうヤワで……でも、そう見えるのなら、嬉しいですけど」
「見えるわよ。私だっていつも元気をもらっているもの」
「それはもともとSさんが元気な方だからですよ。それに私もSさんと話していると気持ちが和らぎますから、お互い様ということじゃないですか」
「とにかく、空元気でも何でもいいんで、お互い元気を出して生きていきましょうよ。何か辛いことがあってもこうして話ができるんですから」
「うんうん、そうよね。元気を出さなきゃね……これからもよろしくね」
「はい、こちらこそ。次の日曜(17日)は、久しぶりにNさんと私が一緒にいる日なので、あまり暑くなかったら、また気晴らしにでも寄ってください」
「ありがとう……じゃあ、また今度」
と、ジメジメした暑さの中、駐輪場に何となく心地よい風が流れ、丁度晴れ間がさした所で、Sさんは自転車に跨り、いつもの優しい笑顔を浮かべて帰って行った。
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