2015/07/12

2か月間の映画メモ②(劇場鑑賞分)



『龍三と七人の子分たち』『駆込み女と駆出し男』『ビリギャル』……劇場で観た邦画の中では、江戸幕府公認の縁切り寺(尼寺・東慶寺)を舞台に、訳あり女たちの人生の再出発を描いた時代劇『駆込み女と駆出し男』(監督:原田真人/原作:井上ひさし)が、予想以上に面白く、一押し。(“小屋”は、3本とも近くのTジョイ)
周到に練られた脚本、アーリーモダンな江戸情緒(&北鎌倉の風情)を醸し出す丁寧なカメラワーク、そして文句なしのキャスティング(大泉洋、満島ひかり、堤真一、樹木希林、山崎努などなど)……中でも、確かな演技力でキラリと光る存在感を見せてくれたのは「戸田恵梨香」。「こんなにいい女優だった?」と、感心しながら心地よい後味に浸った。

「金無し、先無し、怖いもの無し!ジジイが最高!!」「俺たちに明日なんかいらない!!」という宣伝コピーに惹かれて観に行った『龍三と七人の子分たち』(監督・脚本:北野武)は、「痛快・爽快・大笑い」の期待に反して、小笑いの単発ギャグを全編に散りばめた(だけの)コメディ映画。「元ヤクザの老人たちVS詐欺グループ」という興味をそそる筋立てはあっても、単発ギャグを見せたいがためにシーンを繋いでいくような撮り方なので、ストーリーは二の次。題材も役者陣も魅力的なのに、途中からは映画を楽しむというより、さして面白くも新しくもないコント劇に付き合されている気分に……。(それでも、テンポよく流れればソコソコ楽しめたと思うのだが、後半は作り手自身が飽きっちゃったか、バテバテになったかのようにグダグダ)

ツービートも、ビートたけしも、北野武も好きだっただけに“残念!”の度合いも高く、「これでは、ジジイも元気になれんわ!」と、強引にまとめたラストにガッカリしながらの帰り道。そろそろ良い脚本家とタッグを組むなりしないと「世界のキタノ」的にマズイんじゃないだろうか?と余計な心配までしてしまった。(『アウトレイジ』を観た時も、コレをよくカンヌに持って行けたなあ……と、思ったけど)

続いて「えっ、そんなの観たんスか?」と、POG仲間が集まった席で少し驚かれた『ビリギャル』。(私もまったく観るつもりはなかったが…)
5月の連休最後の6日、近くのTジョイで『龍三と七人の子分たち』を観ようと出かけた所、上映開始20分前で既に空席なし。次の回まで待つには時間がかかり過ぎるし、かといって、このまま何も観ずに帰るのも忍びない。というわけで急遽、丁度1時間後に鑑賞できるこの映画を観ることになった次第……でも、観て損はなし。「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げ慶應大学に現役合格した」という典型的な成り上がりストーリーなのだが、もう一人の主役と言ってもいい予備校教師・坪田(伊藤淳史)の姿を通じて、『奇跡のレッスン』(NHK BS1)を思い起こすような「夢を支える一流の指導者」のあるべき姿を見せてくれるところが今日的で面白く、思いのほか楽しめた。
なので、笑いと涙のレベルがさほど高くなくても、“どうせ、アイドル映画”とバカにするようなものではない。(主演の有村架純は普通にカワイイし)
ただ、トータルに見れば明らかにテレビ向きの話。「映画にしなくても、TVドラマでいいんじゃないの?」と言われれば、「だよねー」と素直に同意したい。

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