という糸井重里さんのインタビュー記事が、25日の朝刊に載っていた。
そのコメントの理由は、「自分が薦めたい商品ならいい。でも、もっと改善できるはず、なんて思ってしまうと、納得して商品を語れない」「よいキャッチコピーを作るのと売れる商品を作るのは別で、よくない商品をキャッチコピーで売るようなことはしたくない」というもの。
私のように長年マジメに(?)コピーライターをやってきた人間なら、誰もが思っているようなことで、何を今さら……という気はするが、言い分自体は同感で何の文句もない。(もちろん、糸井さんの現状に関しても)
それに加え、彼がバリバリ書いていた頃とは広告制作の状況も大きく異なる。当時は「広告は商品を輝かせるための裏方ではあるが、同時にアートである」という観点で、制作に関わる者はそれぞれの立場で真剣に取り組んでいたし、広告自体も販売する商品と同等の価値を持つものとして大切にされていたはず。それゆえクリエイティブ界のスターも次々に生まれ、競うように刺激的で面白い広告が数多く作られたわけだが、糸井さんのような一人のスターが引っ張るのではなく、マーケティング主導の「集団作業」によるスピーディで廉価な広告作りが普通になっている現在の広告業界において、お金も時間もかかる(もちろん、体力・精神力も)「アート性の追求」など無用の長物。必然、クリエイティブ畑の連中に元気がなくなり業界も衰退……テレビCM以外、制作物自体が話題になることもほとんどなくなり、客観的かつ実感的に、コピーライターという肩書きの影響力も失われてしまった。当然そのあたりも「コピーライターやめました」の一因になっているように思う。
だから尚更、糸井さんほどの大スターなら、人気コピーライターとして引く手あまたの時(と言うか広告業界が疲弊する前)に堂々と言い放って欲しかった。
虚業から独自の実業を創り上げて成功を収めた人間に、こんな厳しい時に大っぴらにそんなことを言われてもね~……というのが、大方の現役コピーライターの偽らざる気持ちではないだろうか。
虚業から独自の実業を創り上げて成功を収めた人間に、こんな厳しい時に大っぴらにそんなことを言われてもね~……というのが、大方の現役コピーライターの偽らざる気持ちではないだろうか。
で、わたしですが……「よくない商品をコピーで売るようなことはしたくない」けど、たとえ仕事が無くてもアタマが働く限り「コピーライターやめません」。
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