春本番……というより、ここ数日、初夏のような暖かさ。近所の公園も花見の人たちで賑わっていたが、やはり「桜」と言えば4月初旬。あまりにも早すぎる「満開」に気圧され、心がついていかない。何気に、こんな切ない歌まで思い出してしまった。
愛と死のアンビヴァレンツ落下する花 恥じらいのヘルメット脱ぐ(福島泰樹歌集より)
今年は、花吹雪が舞う中で桜を想う春になりそうだ。
さて、先週の話……水曜(25日)の午後、代理店のJさんから制作コンペ勝利の知らせあり。
制作物としては“小物”の域に入る、たかがA4 4Pのパンフだが、コンペ以外の仕事が少ない状況下、勝つのと負けるのでは大違い。これで少し弾みがつくとイイなあ……と、超久しぶりの「勝利」に、ホッと胸をなでおろした。
というわけで、すこし気がゆるんだ翌日(26日)は、映画鑑賞。新宿武蔵野館で『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(製作/イギリス、アメリカ)を観てきた。
上映開始は13時35分。館内はほぼ満員(相変わらず中高年の姿が目立つ……映画の途中、女性が発した大音響のくしゃみに思わずのけ反る)。
サブタイトルにある「エニグマ」とは、第2次世界大戦時、解読不可能とされたナチス・ドイツの軍事用暗号システム。で、「天才数学者」(本作の主人公)は、そのエニグマを解き明かし、ナチスの攻勢に追いつめられていたイギリスを窮地から救った「アラン・チューリング」。後にデジタルコンピュータの基礎理論構築に貢献し「人工知能の父」とも呼ばれた数学者だ。(コンピュータサイエンスのノーベル賞と言われる「チューリング賞」の名も、彼の名にちなんでいるとのこと)
では、何故、それほどの功績がありながら「アラン・チューリング」の名は、あまり世の中に知られていないのだろう?……本作は、戦争の終結に多大な影響を及ぼした「エニグマ解読」の全容と、解読に挑んだチームの人間模様を描きながら、その渦中にいた“非情で合理的”な天才「アラン・チューリング」の人物像に深く迫るもの。
天賦の才に恵まれ、歴史的偉業を成しながら、「ゲイ」であるが故に自分が救った国によって裁かれ、死に追い込まれた“異能の変人”……その深い愛の在処と不遇の人生を、主演ベネディクト・カンバーバッチの熱演と共にじっくりと味あわせてもらった。
(世事に疎く、非情で合理的な男が、実は、少年期に芽生えた愛を、深く胸底に秘めて生き続けた男でもあったというアンビバレンツな心の在り方。その切なさに触れる映画とも言えそうだ)
(世事に疎く、非情で合理的な男が、実は、少年期に芽生えた愛を、深く胸底に秘めて生き続けた男でもあったというアンビバレンツな心の在り方。その切なさに触れる映画とも言えそうだ)
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