2013/12/01

帰り来ぬ青春


一昨日の夜8時過ぎ、40年来の友の死を告げる電話あり。

旧知の友は高校の同級生。今は年に数回会って楽しく語り合う飲み仲間の一人、つい最近も高校のクラス会で会ったばかりだ。
その時は至極元気そうだったのに、ナゼ?と知らせてくれた友人に尋ねたら、心臓発作による突然死とのこと……絶句と溜息が交錯し、しばし、思考停止。

そのまま見るともなくテレビのニュース番組に目を向けていたら、デビュー45周年記念コンサート(日比谷野音)を控えた“フォークの神様”岡林信康のインタビュー映像に続いて、そのリハーサル風景が流れた。久しぶりに聴く『君に捧げるラブソング』。ふいに胸が熱くなった。

高校時代……彼は見るからに真面目で精神的安定感漂う優しく穏やかな生徒。人生投げやり気味の私とは真逆の正しい道を歩んでいる印象だったが、何故か馬が合い、一緒にいるのが楽しく心地よかった。

当時、吉祥寺にあった彼の家にも誘われるままよく遊びに行った。そこは、彼の温厚な性格が頷けるような裕福で文化的な空間……自らサイフォンで淹れてくれた“ブルーマウンテン”を飲みながら(初めて知った本格コーヒーの味)、フォーク、ジャズ、シャンソン、ボサノバなどたくさんのレコードが整然と置かれている部屋で、彼のベッドに腰掛けながら六文銭、泉谷しげる、遠藤賢司など流行りのフォークや、ビル・エバンス、セロニアス・モンク、ジョン・コルトレーンなどのジャズ・ナンバー、そして、心に沁みるシャンソンを聴きながら少し痛く切なくも甘やかな青春のひと時を過ごさせてもらった。

明日の夕方、訣れの場に行くが、いま、彼に伝えたいのは、本当に、精神的に世話になったという感謝の思い。

二人でよく聴いた思い出の曲を、天国に旅立つ彼の元へ届けたい。

ジルベール・ベコー「そして今は」

シャルル・アズナブール「帰り来ぬ青春」




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