2013/08/03

東アジア杯 雑感



サッカーの話の前に、韓国代表サポーター「Red Devils(赤い悪魔)」が掲げた「歴史を忘却した民族に未来はない」という横断幕の件。

応援時の政治的な主張を禁じる国際サッカー連盟(FIFA)の規定に違反する可能性があるということで、日本サッカー協会が主催の東アジア連盟に抗議文を提出したそうだが、韓国内でも政治的主張を強める「赤い悪魔」の活動に対する批判の声が噴出しており、協会の抗議は「スポーツの政治化(戦争化)」を防ぐ上でも当然のことだと思う。
ただ、それに関連して下村文科相が「国の民度が問われる」と民族感情を逆なでするような発言をしたのは、官房長官の言に倣えば「誠に遺憾」なこと。連盟の裁定に問題の決着を委ねた日本サッカー協会にとっても迷惑な話だろうし、個人的にも「政治家の出る幕じゃない、すっこんでろ!」と一喝したいくらいの余計な横ヤリだ。
恐らく下村氏は、スポーツの“政治化”が問題視されていることが全く分かっていないか、自分が政治家(しかも内閣の構成員)であることを忘れているのだろう。でなければ、殊更お互いの対立を煽るような2chレベルの反応を公の場で示すはずがない。

で、彼が言う「民度」についてだが、他国の民度を問う前に、ぜひ日本のサッカー関連のスレッドを読んでいただきたいもの。韓国や中国に対して差別用語丸出しで口汚くののしる愛国者(?)がゴロゴロいて、その嘆かわしいほどの“民度の低さ”に唖然とするはず(そういう人たちが下村発言を持ち上げ、さらに韓国に対する攻撃的言辞を強めているという悪循環)。国を代表する政治家なら、まず自国の民度を客観的に見つめ、排外主義的発言の氾濫を冷静に諌めるのが先ではないかと思う。

また、韓国が一貫して問題視する「旭日旗」に関しても、政府が「旭日旗の意匠が日本国内で現在もよく使用されている。特定の信念や軍国主義の主張には当たらないと考えている」という見解をまとめたようだが、それで誰が納得し、何が解決されるのか?
現実的に韓国内では「旭日旗=軍旗=日本帝国主義の象徴」と捉えられているわけだから、日韓戦で日本人のサポーターか観客が日の丸ではなく敢えて“軍旗”を掲げれば、それは反日感情を煽る政治的パフォーマンスであるのは明らかであり、横断幕に抗議すると同時に旭日旗掲揚の自粛に努めるのが「民度の高い国」のやるべきことではないだろうか。その上で「お互い相手が嫌がることはやめよう」と様々なルートを通じて呼びかけるのが、スポーツの政治化を防ぎお互いの友好関係を築くための基本的態度だと思うのだが……

というわけで、私は韓国であれ日本であれ、サッカーの場で政治的主張を繰り返したり、お互いの民族感情を傷つける言葉を平気で浴びせたり、対戦相手に対するリスペクトの姿勢を持たない人たちを「サッカーファン」だとは思っていない。今後も、そうした偏狭的かつ挑発的な主張や行動によって、サッカーの楽しみを奪われることだけはご免こうむりたい。


さて、本題の「東アジア杯」……(前振りが長すぎたので本題は短めに)
宿敵韓国を倒しての初優勝という結果は立派だったが、3試合ともクオリティ的には低レベル。このメンバーがインターナショナルな大会で活躍できるかと言えば、かなり疑問符がつく。

例えば、一躍ヒーローとなった柿谷曜一郎……その非凡なセンスとポテンシャルに疑いの余地はないが、海外組を含めた代表の1トップに求められる質(ポストプレー、フォアチェック、空中戦の強さ)を考えれば「当確」とは言えず、運動量とフィジカルの面での少し心もとない感じ。タイプ的にもセンターフォワードというより、セカンドトップかウイング、もしくはトップ下の選手という気がする。
と言って代表の2列目は最も人材が多く厳しい激戦区。近い将来、海外のビッグクラブでの活躍も望める才能豊かな選手だろうが、現時点で本田、岡崎、香川の3人+清武を押しのけるだけの実力と魅力は持ち得ていないように思う。同様にオーストラリア戦で鮮烈なゴールを決めた「斉藤学」も2列目の選手ゆえの厳しさがある。切れ味鋭いドリブルは確かに魅力だが、スーパーサブ的な役割を担う同タイプの海外組「乾貴士」と比べてどうか?今のところ実績と運動量込みの“二択”であればイヌイに軍配をあげたい。

で、私の一押し“新戦力”はオーストラリア戦の1トップ「豊田陽平」。ポストプレーの安定感、空中戦の強さ、運動量、フィジカル……どれをとっても期待値は高く、現在の代表1トップ前田遼一と比べても甲乙つけがたい魅力的なセンターフォワードだと思う。(私的にはハーフナー・マイクより、断然、豊田陽平!)

他では、大会MVPのボランチ・山口蛍、オーストラリア戦2ゴールの大迫勇也、センス溢れるMF山田大記(本田が欠けた際の有力トップ下候補)、対人の強さ&安定した守備力を示した徳永悠平(長友が不調の際の有力サイドバック候補)などが好印象。

814日のキリンカップで、南米の強豪「ウルグアイ」を相手にどんなプレーをするのか、海外組とのコンビネーションを含めてもう一度じっくり彼らを見てみたい。(特に、豊田と柿谷に熱視線!)


0 件のコメント:

コメントを投稿