2013/08/09

ポレポレ東中野



という変わった名前の映画館。以前から気になっていたが、一昨日初めて行ってきた。(ポレポレとはスワヒリ語で「ゆっくりゆっくり」という意味らしい)

場所は、大江戸線・東中野駅から歩いて1分、「ポレポレ座」という喫茶店が1階にあるビルの地下……上映時間も迫っていたのでまっすぐ映画館に入ろうと思ったが、「ポレポレ座」の開放的な雰囲気に惹かれてフラッと入店、道草ついでにグイッと一杯、エビスの生を飲みほした。

で、観てきた映画はコレ……




選挙の度にあらわれる「泡沫候補」の知られざる実態に迫った“笑って泣ける”ドキュメンタリー作品『立候補』。
案内チラシには、出演者としてマック赤坂、外山恒一ほか数人の泡沫候補が名を連ねるが、映像は8割方「マック赤坂」さんの姿(選挙活動)を追ったもの。
この国の議会制民主主義を支える選挙システムの危うさ・怪しさを暴き出すかのように、多数派という動かしがたい強大な勢力(権力?)に抗い、一人戦いを挑む彼の真摯な姿勢&奇天烈なパフォーマンに心からエールを送りたくなる作品だ。

外山恒一の「少数派の諸君、選挙でなにかが変わると思ったら大間違いだ。所詮、選挙なんか多数派のお祭りに過ぎない。我々少数派にとって選挙ほどバカバカしいものはない。多数決で決めれば多数派が勝つに決まっているではないか」という演説(政見放送用)も、実質的に破綻しかけている議会制民主主義への痛烈な皮肉として面白かったが、特に印象に残ったのはラストシーン……
201212月の衆院選前日の秋葉原駅前、自民党の街頭演説にマックさんが乱入(と書くと妨害行為のようだが、何処で演説しようが立候補者の自由であり正当な権利の行使)。すると「恥を知れ!」「ゴミ!」「売国奴!」と口汚く罵りつつ追い出そうとする安倍晋三・日の丸親衛隊、中には携帯をマック氏に向け自分の中指を突き立てて写メを取る者もいる。
そうした侮蔑的な態度に怒りを抑えきれず「言いたいことがあるなら、ひとりでこの壇上に上がって意見しろよ」「一人で闘ってみろよ!」と父の活動を庇いながら叫ぶマック氏のご子息の姿が胸を打つ。
と同時に、その背中に浴びせられる圧倒的多数の怒号と、彼が振り返った先に翻る異様な数の日の丸が暗澹とした未来の象徴のように思え、背筋が寒くなるのを感じた。

以上、映画も刺激的だったが、「ポレポレ東中野」も魅力的。明日(10日)からは、7日の朝日・夕刊でも紹介されていた沖縄を舞台にしたドキュメンタリー映画『標的の村』が上映される。

暑さ厳しき折、皆様くれぐれもご自愛のほど。

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