前夜に録画をしておいて、早朝からユーロ2012を見る(勿論、結果を知らずに)……そんな生活が続いていたが、それも昨日(2日)で終わり。日本代表戦(W杯アジア最終予選)&なでしこVSアメリカも含め、TVでのサッカー観戦に明け暮れた1ヶ月だった。(その間に、『家族のうた』も『リーガル・ハイ』も終わってしまった)
で、昨日の決勝戦はスペインVSイタリア。期せずして“債務国”同士の対決となったが、ギリシアに続いてユーロ危機の象徴となりつつあるスペインが本来のパス回しとプレースピードでゲームを支配し4:0の圧勝(特に2点目。シャビのスルーパスは見事!)。絶対的司令塔ピルロを中心に激戦を勝ち抜いてきたイタリアには気の毒な試合だったが、現在的に世界最強と謳われるチームが、「完璧な試合だった」(MFイニエスタ)と振り返るのだから、負傷退場者により10人での戦いを強いられた上での“完敗”は仕方のないこと。予選リーグからイタリアを応援していた私だが、その攻撃的サッカーの進化に期待するとともに、素直に「無敵艦隊」によるユーロ2連覇の偉業を讃えたいと思う(大会MVPのイニエスタにも拍手)。また同時に、巨額の借金と高い失業率に喘ぐスペイン国民に、束の間とはいえ幸福感に浸れる明るいニュースが届けられたことも喜ばしい。優勝パレードが行われた今日、マドリードの街は数十万人の市民で埋め尽くされたそうだ。(やはりサッカーは素晴らしい!大会中、一部サポーターの暴動&衝突があったのは残念だが)
続いて昨日の“昼シネマ”……途中、池袋・西武のリブロに寄って池井戸潤の新作『ロスジェネの逆襲』を購入。銀座ファイブのB1にあるタイ屋台料理『ティーヌン』でランチを済ませた後、TOHOシネマズシャンテで『少年は残酷な弓を射る』(14:30上映開始)を観た。
「深淵な親子関係を描いた、衝撃的でエモーショナルなサスペンス」という触れ込みだが、モンスター級に邪悪なイケメン息子に身も心も追い詰められていく母親の姿を見ていると、サスペンスというよりホラー映画の域。その分、画面に漂う緊張感は半端ではなかった。過去と現在を交錯させながら緩みなく衝撃のラストへ誘う脚本・演出も巧みでストーリー展開&キャスティングも抜かりなし。主演ティルダ・スウィントンの際立つ演技と存在感を含め、映画としての完成度はかなり高いと思う。でも、もう一度観たいか?と聞かれれば、「ノー!」。何度この映画を見ても、“母性愛の欠落”がもたらす母親自身の罪悪感と息子の心の闇に同調できそうもないし、その強烈な負のエネルギーの所在と結末の相関に対して「何も分からないということが分かった」程度の禅問答のような感想しか持てそうにないから……なので、後味も良くないし、作品のレベルに比して個人的満足度はそれほど高くない。要するに“母が子供に自然な愛の絆を感じられなかったら?”という「母性喪失」的なテーマが自分には不可解、というか不向きなのだと思う。
で、余談だが、映画の緊張感もさることながら、私には別の緊張感も……映画が始まる寸前にヨロヨロと斜め前方の席に座った“お婆ちゃん”が、小刻みに手と体を震わせながら映画を観ていたこと(彼女の隣席の女性は、その様子に耐え切れず別の席に移動)。こんなにエグイ映画を観て体に障るんじゃないだろうか?ショックを受けないだろうか?と気になっていたが、“お婆ちゃん”は、エンドロールと同時に席を離れたようだ。果たして楽しめたのだろうか?映画同様、形容しがたい不可解さが残った。
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