2012/05/27

馬敗れて草原あり



 激戦の余韻を漂わせるターフを見つめながら、ふと寺山修司のエッセイのタイトルが頭に浮かんだ。

競走馬にとって生涯ただ一度、3歳の春だけ出走が許されるレース……2012年のダービーを制した“最も幸運な馬”は「ディープブリランテ」。馬名が示すように、あのディープインパクトの仔どもだ。“ブリランテ”はイタリア語で「輝く」「きらめく」という意味。

晴れてダービージョッキーとなった岩田康誠は、3歳馬の頂点を極めた愛馬の背を撫でながら、馬上で伏して泣いていた。(この時点で、自分が応援していた馬のことは、どうでもよくなってしまった)

これぞダービー……良かったなあ、岩田!と、テレビ画面に向かって声をかけたくなるほど、胸に沁みる美しい光景だった。

やはり“ただ一度のもの”が私は好きだ。

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