一昨夜、遠藤賢司の訃報を聞いた。享年70歳。
彼の歌を初めて聴いたのは19歳頃。当時仲の良かった女の子の家に遊びに行った際、彼女がプレーヤーで「カレーライス」をかけてくれたのがその名を知るきっかけだった。
部屋の壁には、映画の宣伝用ポスターだろうか、同い年の「ピーター(池畑慎之介)」の妖しく鋭い目が何かを射抜くように貼られていた。
君も猫も僕も
みんな好きだよ カレーライスが
君はトントン じゃがいもにんじん切って
涙を浮かべて たまねぎを切って
涙を浮かべて たまねぎを切って
バカだな バカだな ついでに自分の手も切って
僕は座ってギターを弾いてるよ
カレーライス
猫はうるさくつきまとって 私にも早くくれにゃーて
とても良い匂いだな 僕は寝ころんでTVを見てる
誰かがお腹を切っちゃったって とっても痛いだろうにね
カレーライス
君と猫はちょっと甘いのが好きで 僕はうんと辛いのが好き
カレーライス カレーライス
当時「社会派フォーク」「四畳半フォーク」などと呼ばれ流行っていたフォークソングに馴染んでいた私にとって、感性の鋭さで一目も二目も置いていた彼女のセレクトはハードルが高く、どう反応していいのか分からないまま「へえー…不思議な歌だね」とか「こういのうが好きなの」とか、どうでもいい事を呟きながら、ただ時が過ぎるのを待っていた気がする。(「カレーライス」が三島由紀夫の割腹自殺の日のことを日常の一風景として歌った曲だというのは、後に知ったこと)
それから40余年。あの頃の彼女の感性に追いつけたかどうかは分からないが、「カレーライス」は時折口ずさむほど私の心にも近い歌になった。
いま思えば、懐かしい青春の一時期、間違いなく「遠藤賢司」は、自分を表す言葉も、行くあてもない私たちの傍にいた。そのことをいつまでも忘れずにいたいと思う。
彼に似合う言葉ではないだろうが……どうぞ、安らかに。
※今夜は新宿「鼎」で、高校時代の女友達二人との飲み会あり。
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