連休明けの4日から取り掛かったコピー(ラジオCM用)も程なく書き終え先週末に提出、即OKの返事。クライアントの評判も上々とのことで、まずはメデタシ。気分的に軽くなった土曜日(8日)は新宿に出かけ、武蔵野館で『誰よりも狙われた男』(監督アントン・コルベイン/製作2013年、米英独合作)
スパイ小説の名手ジョン・ル・カレの同名小説を映画化、今年2月に46歳の若さで急逝した名優フィリップ・シーモア・ホフマンの遺作となった作品……舞台はドイツの港湾都市フランクフルト、登場するのはドイツの諜報部員たち(および介入するCIA)。P.S.ホフマンはそのテロ対策チームのボス「ギュンター・バッハマン」を演じる。
監督アントン・コルベインは、本作の映画化を決めた理由をこう述べている。
「現在、(アメリカが関わる様々な戦争・紛争が)対テロ戦争だと叫ばれる中、9・11後の世界はアメリカだけでなく世界中の状況を大きく変えてしまった。この物語でひかれたのは、どれだけ(対テロ戦争の影響が)我々の日常生活に反映され、簡単に人を判断し、全てを白か黒かではっきり見ているというところだ。この映画は白か黒かではなく、様々なグレーの部分が中間にあり、(それを尊重し、簡単に善悪を決めない)非常に人間味豊かな物語なのだ。(だが)多くのアメリカ人はそのような見解を持たない。彼らは常に“正しいか間違っているか”瞬時に決めるのだ。私にとって、このように私たちの日常生活に影響を与える仕事をすることこそ重要だと感じていたんだ」
「現在、(アメリカが関わる様々な戦争・紛争が)対テロ戦争だと叫ばれる中、9・11後の世界はアメリカだけでなく世界中の状況を大きく変えてしまった。この物語でひかれたのは、どれだけ(対テロ戦争の影響が)我々の日常生活に反映され、簡単に人を判断し、全てを白か黒かではっきり見ているというところだ。この映画は白か黒かではなく、様々なグレーの部分が中間にあり、(それを尊重し、簡単に善悪を決めない)非常に人間味豊かな物語なのだ。(だが)多くのアメリカ人はそのような見解を持たない。彼らは常に“正しいか間違っているか”瞬時に決めるのだ。私にとって、このように私たちの日常生活に影響を与える仕事をすることこそ重要だと感じていたんだ」
……なるほど。映画の中でイスラム過激派として国際指名手配されていた密入国者イッサを巡るアメリカとヨーロッパの対立(本作の場合は、白黒を速断するアメリカVSグレーの部分を尊重するドイツ)、誰もが別の目論見と考えを持ちながらもそれを隠し、「世界の平和のため」と、異口同音に自分たちの諜報活動を正当化するあたりが、この映画のキモということか。(平和の為に軍隊が必要、平和の為に集団的自衛権が必要、平和を守ってもらうためにアメリカと一緒に戦う……そんな矛盾と詭弁の中で私たちも生きている)
そんなことを思いつつスリリングな心理戦に目を凝らす2時間余り…P.S.ホフマンの圧倒的な存在感、その渋い個性と迫真の演技にシビレながら、「そういうことね!」とタイトルの意味が腑に落ちるラスト。「バッハマン」が車のフロントガラスの向こうに消えていく、その完璧なフレーミングが、P.S.ホフマンの突然の死を表しているようにも思えて切なく胸に残る。(酒と煙草と孤独。哀愁漂う後姿を私たちの目に焼き付け、彼は、スクリーンからもこの世界からも消えてしまった。改めて合掌)
そして、エンドロールに流れた曲は、トム・ウェイツの「Hoist That Rag」……う~ん、とことん渋い!
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