2014/09/23

余談(前回「マグリット」の流れで…)



ところで、いつから広告やグラフィックがつまらなくなったのか? ソフトバンクのお父さん犬が茶の間の人気者になった頃からだろうか?CM自体は革新的だったと思うが) 佐藤可士和がもてはやされるようになったあたりか?(ユニクロのマークにしろ、明学大のブランディングにしろ、どこがいいのかさっぱり分からん) それとももっとずっと以前からか……その辺は定かではないが、いつの間にか「マーケティング」が「クリエイティブ」の上に立って仕切り、「とにかく金をかけずに、商品寄りで分かりやすく」とクライアントが言い出し、「イメージ」より「ストーリー」&「即効性・廉価感」が常に優先されるようになり、街にはベタなコピーと毒にも薬にもならないビジュアルが溢れ、金のかからない版権フリーの写真やイラストが氾濫。広告表現における「イメージ」の衰退と共に、力のあるイラストレーターやカメラマンの仕事は激減し、巷のデザイナーの仕事もルーチンに変わってしまった。(もちろん、広告コピーも疲弊中)

一方、CMはどうか? 「ソフトバンクみたいなCMを作ってよ」と数多のクライアントが異口同音に言っているのかどうか知らないが、トヨタ、ダイハツ、ダイワハウスなどなど、有名タレントを惜しげもなく(金に糸目もつけず?)使ってストーリーを組み立てる手法は、いずこも同じ秋の夕暮れ……商品と企業広告を合体させたトヨタの「ReBORN」などは、ソフトバンクの「ホワイト家族」を手がけたプランナーとクリエイティブチームが作っているのだから何をか言わんや、我が世の春。まさに大手代理店専属クリエーターの独り勝ち状態だ。
私的には、挿入歌「黄昏のビギン」以外、まったく好きな所はないので、「何がReBORNだよ!」と悪態をついて即、チャンネルを変えたくなるが、不思議に好感度は高いらしい。(rebornは、トヨタと日本と過去の英雄の転生をつなぐ言葉。「トヨタも生まれ変わりたい」というのは分かるが、転生した英雄に改革を期待する・語らせるっていうのが、そもそも古いコンセプト。CM自体をrebornしてほしいくらい)

でも、紙媒体(新聞広告やポスター)よりは、まだテレビCMの方が元気に見えるし、もちろん中には「オッ、面白いじゃん!」と唸らせてくれるものもある。例えば、サントリーの「BOSS(宇宙人ジョーンズシリーズ)や、中居クンと「電車おじさん」の掛け合いが笑える「ヒューマントラスト」など。(「BOSSCMも「ReBORN」と同じプランナーが手掛けたものなので、あまり誉めたくはないが)
そしてもうひとつ、好感度はさほど高くはないだろうが(むしろ、低いか!?)、「美容整形なんて、端から胡散臭いと思われているんだから、逆に堂々と正面突破で“胡散臭くても幸せな生き方”や楽しんでいる姿を見せてやろうぜ」みたいな強烈な個性とバイタリティを感じるYES!「高須クリニック」のカオスなCM。(普通の視聴者には「ナニこれ?」とウケなくても、「整形」を一歩手前で躊躇っている女性たちには「思いのまま、もっと、自由に生きようよ」と肩を押してくれるメッセージに思えるはず。つまり、自分の存在全肯定のYES!なのだ)

そういうCMを見ると、イミフに見えて考えが深いなあ、訴求力あるなあ……と、素直に評価したくなるが、自分がそういうものに「関わりたい・作りたい」と思わなくなったのは、広告制作に対する情熱が年と共に薄れてきたからだろう。(まだ、いいコピーを書きたい!とは思うけど)

……というわけで、広告における「イメージの衰退(=想像力の衰退)」を嘆きながら、CMの好き嫌いみたいな、まとまりのない話になってしまったが、「余談」なのでお許しあれ。

では、また。

明日からは、デザイナーのUEちゃんに頼まれたロゴマークの「コンセプト作り」に集中。彼岸明けの金曜日は墓参りの予定。

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