先週の木・金、東京から遠く離れた三重の山村にある“ユートピアをめざす活動体”の中の施設で、天国へ旅立つ友を送ってから一週間近く、時折ふと太宰の短編のタイトルが頭に浮かぶ。
「彼は昔の彼ならず」(He is not what he was)……
別に、亡き友の生き方や性格が変わったわけではないが、「無所有一体の理想郷」を求めて“心の研鑽”を続けていた彼と、生き難くも捨てがたい憂き世を生きる自分との“心の距離”が、あまりに遠く感じられたせいだろうと思う。(言い換えれば、“彼と俺は昔の彼と俺ならず”か)
その距離感の上に、場の空気に感じた縮めがたい温度差も重なり、この間、寂しさや悲しみとは少し異なる漠とした疲労感に捉われ、「心、此処に在らず」状態が続いていたわけだが、そろそろ自分の日常に戻らなくては……と思い、久しぶりにツレと大泉のTジョイへ。
カンヌで審査員賞を受賞した映画『そして父になる』を観てきた。
仕事と家庭、生み(血縁)と育て……映画を観たからと言って、今さら改めて考え直すことも、論じることもないが、日常の普遍的テーマに寄り添い、緩みのないストーリー展開をベースに、シリアスとユーモアをじっくりと醸し出す演出は、さすが「是枝クオリティ」。東京と地方に住む2つの家族の世界観の差をリアルに描きながら、丹念にその差を縮め、親としてお互いの思いを共有していく細やかなカメラワークが光った。(俳優陣では、子役の二人とリリー・フランキーがグー!)
さて今夜は、楽しみにしていた「リーガルハイ」が再スタート!
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