2013/07/20

「恵比寿」で、ビル・カニンガム&ニューヨーク



2週間ほど前の土曜日(6日)、恵比寿にある東京都写真美術館で観た映画『ビル・カニンガム&ニューヨーク』。(諸々の用事で追われている間に書きそびれてしまった)

《ファッションとの恋に落ちたカワイーイ楽天オヤジ、カメラと自転車で人生の孤独を走りぬけてゆく。このドキュメンタリーはみーんなを幸せにする。ブラジャー(おっと間違いた)ブラボー!ビル》と、その宣伝チラシの中で写真家・荒木経惟が語っていたが、その端的かつ彼らしい紹介コメントに、さすが天才アラーキー!と拍手。
私もブラジャー……おっと“ブラボー!ビル”と心の中で何度も叫びながら、ニューヨークの街角で50年以上も毎日ファッショントレンドを撮影し、ニューヨーク・タイムズの人気コラムを担当する名物フォトグラファー「ビル・カニンガム」(御年82歳)のアートスピリット&カッコいい人生に見入り惚れこんでしまった。

で、何がイイって、まず彼の撮影スタイルがいい。ファッショントレンドを追い続けているのに、自身が着ているのは何時も同じ青い作業着(清掃員の制服だそうだ)。雨の日は破れた箇所にガムテープが貼ってある黒いポンチョ……「どうせ仕事で破けるのに、高い服を買うのはもったいない」と当前のように笑顔でのたまう。

生き方のスタイルもまたイイ。カーネギー・ホールの上にあるスタジオアパートに50年以上も一人で住み、寝るのは今までに撮影した全ネガフィルムが入ったキャビネットの上の小さな簡易ベッド。キッチンもトイレもクローゼットもない。とにかく写真第一、仕事第一、膨大な数のネガをしまうスペースがあればいいらしい。
また、デビュー当初から付き合いのあるファッション誌の編集長に、自分のテーマで何ページでも特集を組ませてもらっているのだが、そのギャラとして差し出される小切手を「自由の方が大事、これは譲れない」と目の前で必ず引き裂いてしまう。「金をもらわなければ口出しされない。すべてに通ずる鍵だ」……という彼らしい潔さがたまらない。当然、仕事に対する姿勢もクール。パーティ取材では「ニューヨーク・タイムズの取材であり、飲み食いじゃない。ニューヨーク・タイムズの看板は汚せない」と、水一杯も口にしない。

そして発する言葉がことごとくシビレる……

「街へ出て自分の目で見る。街に身を置き、ストリートが語りかけてくるのを待つんだ。近道などあるもんか」(街角で写真を撮りながら)

「引っ越し先の候補地はキッチン、バス、トイレ付きらしい。でも、そんなの要らないよ、街へ出て写真が撮れればいい。こんなことで人生の邪魔はさせない」(カーネギー・ホールの改装工事により、立ち退きを余儀なくされている中で)

「仕事とは恋愛できないが、心から仕事が楽しかった」「欲望はあっても、それは自分で制御できること」(「なぜ、結婚しなかったのか?」と恋愛や結婚について尋ねられた際に)

「仕事じゃなく喜びだ。私は働いていません、好きなことをするだけです」
「昔から変わらない一つの真実があります。美を追い求める者は、必ずや美を見出す」(2008年、フランス文化省から芸術文化勲章を受勲した際のパーティで)

以上、ビル・カニンガム語録より……今年は、ドキュメンタリー映画の当たり年だなあ。

さて、明日は参議院選挙。東京は無所属の候補者に、比例は政党名じゃなく候補者名で投票しようと思っているが、既に“自公圧勝”の構図が見えているのでテレビの選挙特番は全く見る気なし、それよりサッカー、東アジアカップの中国戦!(特番のお陰で、『半沢直樹』もお休み)……でも、その前に投票に出かけた足でTジョイへ。ジブリの『風立ちぬ』を観なくては!



0 件のコメント:

コメントを投稿