7月中旬にして、連日の猛暑!
あまりの暑さで外出するのも気後れするが、こんな時に限って“観るべきもの”の予定はぎっしり。一昨日(11日)は、コンペ仕事の合間を縫って、刺さるような陽射しの中「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」に行ってきた。(木曜は美術館の休館日だが、朝日新聞デジタルの“ご招待内覧会”ということで特別鑑賞……私とツレは、福岡の友人が送ってくれた“当選チケット”を手にしてのラッキー鑑賞)
副都心線が東急東横線・みなとみらい線との相互直通運転で「元町・中華街」まで伸びてから初めての“横浜”。西武池袋線沿線に住む私でも、家から1時間半程(乗換え1回)で最寄り駅「みなとみらい」に着くことができ「えらく便利になったなあ」と思ったが、人の流れを含め駅自体が大きく様変わりしていてびっくり。どうやら6月末に駅から直結する大規模商業施設「MARK IS みなとみらい」がグランドオープンした影響のようだ。
めざす「横浜美術館」も、その「マークイズみなとみらい」の1階出口の真正面にあるとのこと。それならば昼メシのためにわざわざクソ暑い外に出る必要はない。
「なんか“ソラマチ”みたいだなあ」と、“キレイ”という以外に珍しくも面白くもないショッピングモールをエスカレータ越しに眺めつつ(何故、こうも似たような商業施設がアチコチにできるのか?)、4 階のレストランフロアに向かい“洋食界の巨匠の味”と看板で謳われていた「浅草キッチン大宮」で鑑賞前のランチタイム(午後1時過ぎに15分待ちで入店。私が食べたエビ牡蠣フライは味・量ともに平均点。値段込で落第点)……その後は、腹ごなしのブラブラ歩きもせずに、入場時間(14時~14時半)に合わせて美術館に入った。
「休館日の特別鑑賞」とは言え館内は既に入場待ちの長い列。ん?どこかの敬老会か!?と圧倒的な数の中高年男女の姿に、一瞬腰が引き気味になったがそれはお互い様。イヤホンガイドを付けた中年女性の「うわっ、水谷豊に挨拶されちゃった!」とはしゃぐ声を頭の中で軽く振り払って展示室へ……(音声ガイドのナビゲーターは相棒の右京さん)
ちなみにこの展覧会は全4章構成。第1章「17-18世紀 古典主義、ロココ」、第2章「19世紀前半 新古典主義、ロマン主義、自然主義」、第3章「19世紀後半 印象主義、ポスト印象主義」、第4章「20世紀 フォーヴィスム、キュビスム、エコール・ド・パリ」と時代と共に分かれており、主催者一押しのメインビジュアルは印象派時代の最高の肖像画とも評されるルノワールの『ジャンヌ・サマリーの肖像』。(ルノワールのもやっとした甘ったるい感じが嫌いな私でも、観ていてシャキッと華やぐ気分になる作品)
で、早速“第1章”から観はじめたが、第3展示室の出口あたりでイヤな光景に遭遇……壁に寄りかかりながら手にした紙に何やらメモを書いていた70前後の男性が、「ボードをお貸ししましょうか?」と親切に語りかけた女性の係員に対して「いらねえよ!」と威圧的なひと言。「失礼しました。申し訳ありませんでした」と謝る係員に、今度は「紙はあるか?」と偉そうな態度でメモ用紙(?)を要求。「申し訳ございません。用意しておりません」と答えると、またまた「ちゃんと用意しておけよ、バカ」と超無礼な捨て台詞。
タダで観ている謙虚さはないのか?!と、その態度の悪さに見かねて余程注意しようと思ったが、騒ぎが大きくなっては穏便に事を収めようとしている係員にも迷惑だろうし、名画鑑賞どころではなくなるので喉から出かかった言葉を抑えてじっと我慢。
すべて観終った後でツレが「ちょっとした事ですぐキレたり、矢鱈に威張るオヤジが多すぎ!」と憤慨していたが、その通り。会社でソコソコの地位に就き、部下を思い、仕事を愛し、酒場で天下国家を論じてきたであろう男たちが、リタイアして地域社会に帰った途端にこんなざまでは、何のための“第二の人生”か?!……と、他人事ながら腹立たしく淋しい気分になってしまった。
というわけで、芸術鑑賞の場に相応しくない居丈高な“招待客”の存在により興醒めしてしまったが、展覧会自体は要領よくコンパクトにまとめられていて好印象。特に人物画の変遷など分かりやすく十分に楽しめるものだった。私が印象に残った作品は以下の通り。
ウジェーヌ・ドラクロワ『難破して』……厳しい自然、儚く漂う人生。
ルイジ・ロワール『夜明けのパリ』……初めて名前を知った画家。雰囲気絶品。
クロード・モネ『陽だまりのライラック』……やはり「マネ」より「モネ」。
ポール・セザンヌ『パイプをくわえた男』……瞬時で感じる、キュビスムの予感。
フェルナン・レジェ『建設労働者たち』……私的一押し。ダイナミック&リズミカル。
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