2012/08/19

「桐島」とは何者か?




終戦(敗戦)記念日の15日、NHKの深夜番組「20min. (特攻隊“マンガ少年”の戦争」を録画しようと思ったら、先週まで問題なく動いていた「DVDレコーダー」がウンともスンとも言わず、早々に諦め不貞寝。翌朝、メーカーに電話で状況を説明したところ、どうやら内部の部品が壊れたらしく「修理には税込で25千円程かかる」とのこと。新品の「ブルーレイレコーダー」が3万円台で買えるご時勢、ナニその修理代?……というわけで、一昨日(17は新品を求めて池袋西口のビッグカメラへ。で、折角“ブクロ”に出たのに、買い物だけでは味気ないと、「シネ・リーブル池袋」で上映中の『桐島、部活やめるってよ』監督・吉田大八を観た。

ソコソコ評判の“学園モノ”しかも夏休み中ということで、開演前のフロアは女子高生のグループや若い男女で溢れんばかり。その熱気に気圧されたわけでもないだろうが、平日の映画館を賑わすはずの、オバサン・オジサンの姿が「あれっ?」と思うくらい少なかった。まあ、タイトル的にも“若向き”だし、熱くて甘酸っぱい青春などから遠く離れた方々の触手が動かないのも当然か……と、私の期待度もさほど高くはなかったが、これが予想外の面白さ!

で、その内容だが……表層的なモテ度によって形成された“学園生活ヒエラルキー”の最上層にいるスポーツ万能モテモテイケメン(らしい)「桐島」が、親友や彼女に知らせることもなく突然部活を辞め、数日間登校もせず連絡を断ったことによって生じる“上層・中層の混乱”を軸に展開される「社会派青春ムービー」といった感じ。まず設定が面白い。タイトルが臭わす主役は「桐島」だが、名前が飛び交うだけで「桐島」は最後まで画面に姿を現さない。つまり、「桐島」は目に見えない“既存の価値観”の象徴として学園に存在(君臨?)するだけ。その日常の価値観が急に失われた時、「上層」と「下層」の心的立場は逆転し、学園生活のヒエラルキーそのものが崩れる(無価値になる)ということを、この作品は「下層」に位置する“映画おたく神木隆之介”のささやかな抵抗を描きつつ示唆してくれる。言い換えるならば《「おたく」の勝利、「リア充」の敗北》……それは、「既存の価値観」に依拠することで組織の上層・中層に留まろうとする多数の人々と、その様なヒエラルキーの危さに無自覚な日本社会への警鐘であると同時に、地位や経済力ではなく「自分の価値観」に拠って生きることの幸せ&豊かさ、その「個性」が形作る未来の社会を信じたいという、切実な希望のようにも感じられた。高橋優の主題歌「陽はまた昇る」も映画の余韻にぴったりハマって、心に響く

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