2012/07/27

大番狂わせ? 奇跡?



 口内炎もだいぶ治まってきたし、体調もほぼ戻った感じ。おまけにU-23日本代表のお陰で朝から気分も悪くないし、映画でも観に行こうか……と、熱中症対策のペットボトル片手に、夏の太陽を浴びながら新宿へ。「シネマスクエアとうきゅう」で『The Lady アウンサンスーチー 引き裂かれた愛』を観て来た。

その“見応え十分の感動作”の話は後日ゆっくりと……まずは、昨夜のU-23日本代表VSスペイン。

本当にサッカーは何が起るか分からない。まさか、優勝候補のスペインに勝つとは……否、“まさか”どころか、内容的には「完勝」。当然のように、今朝のスポーツ紙の見出しには「大番狂わせ」「グラスゴーの奇跡」等の文字が躍っていた。だが、16年前にアトランタ五輪でブラジルを破った「マイアミの奇跡」とは明らかに別次元での勝利、これを“番狂わせ”“奇跡”と呼んでいいのだろうか?と疑問に思うほど、日本の運動量&速さはスペインを圧倒していたように思う。

特に良かったのが「攻撃的守備」。全体の意識として統一されていたのだろうが、前線から積極的にプレスをかけスペインのパスワークを分断、そのことによって生じたスペインのミスを突き、鋭いカウンターでゴールに迫るという戦術が見事に機能していたように思う。
個々の選手で言えば、攻撃陣では得点をあげた大津はもちろん、永井(運動量とスピードは特筆もの)、清武、東のハードワーク&積極性が光っていた。守備陣ではオーバーエイジ枠で選ばれた麻也(吉田)、徳永の二人が安定していて、ゴール前で決定的なチャンスを作らせなかったし、山口もよく走って相手のチャンスの芽を摘んでいた。(まさに、走り勝ち!)

でも、残念な部分も……確かに、強豪に対して堂々と挑んで得た素晴らしい勝利だったが、相手が1人少ない状況でのもの。しかも、昨夜のスペインは予想に反して攻撃の迫力もスピードもなかったし、後半、決定的なチャンスが幾度もあったのだから、3-0ぐらいで勝って貰わないと困る(得失点差も考えて)。試合終了後、思いのほか興奮&満足感がなかったのは、その所為。もう少し「なでしこ」に見習って、ゴールへの意識を強く持ちフィニッシュの精度を上げて欲しいと思う(特に、清武)

まあ兎も角、最強の相手との初戦を制したことでグループリーグ突破濃厚になったことは喜ばしいことだし、できれば何とかトップ通過を果たしてほしいもの。2位通過だと準々決勝の相手は恐らく、ネイマール、オスカル、ルーカス・モウラなど世界が注視するタレントを擁する「ブラジル」。U-23に限って言えばスペインを凌ぐ「最強軍団」、“何が起るか分からない”といっても勝ち目はかなり薄い。そのためにも次のモロッコ戦に勝利し、トップ通過を確実なものにしてもらいたい。



2012/07/24

イチロー電撃移籍



 昨日、耳鼻科に行って抗生剤を貰ったお陰で喉の痛みは大分緩和されたが、熱の余波なのか、口内炎ができて舌先がヒリヒリする。物を食べると痛いし、当然、酒類も自重しなくてはいけないのでメシの時間が楽しくない。2、3日の我慢だと思うが、この暑さの中、夕食時にビールすら飲めないのは、何とも淋しい気分。
自然治癒を待つしかないか……と諦めかけたが、以前に使っていた「ケナログ」が少し残っているのを思い出し、早速、塗ってみた。柔らかい粘土のように舌先で固まり患部を保護する感じで、やはり効きそう。これなら明日あたりには大分良くなっているはずと、気持ちが少し明るくなった。
口内炎にはケナログ、これ最善。

さて、今日は朝からビッグニュースが飛び込んできた。イチローがマリナーズからヤンキースへ移籍するという。まあ、ヤンキース移籍の話は今に始まったことではないが、それでも「梅ちゃん先生」から「とくダネ!」にチャンネルを変えるくらいの衝撃はあった。
で、良いニュースか悪いニュースかと言うと、イチローにワールドシリーズの優勝リングを勝ち取ってほしいと思っている私にとっては嬉しいニュース。11年間マリナーズにいて、個人としては偉大な記録(10年連続年間200本安打など)を残したが、チームとしてはリーグ優勝もワールドシリーズ進出もゼロ。チームの優勝に貢献したいという思いが、人一倍強いイチローが“新たな刺激を求めて”ヤンキース移籍を望んだのは当然のことだと思うし、ファンの一人としてその決断を支持したい。(もう個人レベルの記録は十分、今後は「優勝への貢献」という別次元での活躍を!)

ただ、記者会見は不思議(&疑問)……前半がマリナーズ主催の「お別れ会見」、後半がヤンキースのジラルディ監督を交えての「入団会見」という、日本ではあまり観た事のないもの。それ故、前半のイチローは妙にカタイ、というか悲しそうで、見ているコチラも緊張しつつ心配になってしまった。マリナーズのファンに惜別の思いを伝えたいという気持ちは分かるが、ヤンキースのチームメートやファンから見れば「ウチらのチームに来るのが嬉しくないの?」という感じではないだろうか。今まで十分にマリナーズに貢献したのだし、もっと胸を張って明るく前向きにファンに別れを告げても良かったのでは……と、少し残念に思う。後半の会見で「ヤンキースに行ったら、ジラルディ監督のように会見上手になりたい」と言っていたように、今後は英語でのスピーチも含め(やはり11年もアメリカにいるわけだし)、もっとアメリカの野球文化に馴染むような会見をしてほしいもの。日本球界はもとよりメジャーの歴史に残るような偉大な選手なのだから、時折見られる禅問答のような受け応えは日本の記者向けで十分だと思う。

ところでレイズの松井は?打率147……う~ん、心配だ。

2012/07/22

明日のために、今日は寝る。



 18日に撮影が終わって(ネーミングのプレゼンも無事終了)、仕事が一段落。以前なら「あ~、終わった!」と心地よい疲労感と開放感に包まれているはずの週末なのだが、妙にスッキリしない。年のせいだと言ってしまえばそれまでだが、内面から新しい力が湧いて来る感じがないのは、先の判らぬ仕事の“間延び感”が微妙に影響しているのかも。おまけに気温の変化が激しいせいか少し身体もダルイ。2、3日前から喉の調子も良くないし、夏風邪の前兆かな?とも思う。(連夜のサッカー観戦による寝不足が原因かも……)

でも、昨日、気が置けない仲間たち(女性3)と西武線・田無駅前のタイ料理店『メースィールアン』でランチをしたせいか(その後、場所を変えて“お茶”)、気分的には回復傾向。いつものメンバーでシンハー・ビールを飲みながら「バッ・タイ」(タイ風やきそば)や生春巻きを楽しくパクついた。デザートの「サークー」(ココナッツミルク&タピオカ)も中々で、これは美味い!安い!と一同大満足の840円。お腹一杯のまま、駅の反対側の喫茶店に移動した。

お茶の話題は、デザイナーの友人が関っているweb仕事の話をメインに、Facebook、映画、テレビ、漫画、いじめ、芸能などなど。
沢尻エリカ復帰作ということで話題の映画『ヘルタースケルター』の話も出たが、私も含めて「岡崎京子」の漫画で十分、「蜷川実花」の映画は“観る気にならない”で一致(美意識だけじゃ映画はダメ)。細田守のアニメ作品『おおかみこどもの雨と雪』は、前作『時をかける少女』『サマー・ウォーズ』とも観たので劇場に足を運ぶつもりだが、これも「面白いだろうとは思うけど、絵がね~……ジブリに遠く及ばないよね~」ということで話が一致。「いっそ、テーマ・脚本は細田で絵はジブリという、合作アニメというか、人材交流はできないものか?」という暴論も飛び出す始末(もちろん出所はワタシ)……まあ、細田監督やスタジオ・ジブリの方からすれば迷惑な話だろうが、お互いの現状を冷静に考えれば“ありえない話”でもないと思うのだが?ということで、これまた意見一致。

てな感じで、親しい仲間のお陰で言語脳が少し活性化され、格好の気分転換になった土曜の“ランチ&お茶会”。今日も体調的にはあまり芳しくないが(昼間も部屋で寝ていた)、明日からは夏の暑さが戻ってくるというし、タモリも寝ずに頑張っているし、しっかり頭と喉の調子を整えて元気に前を向かないと……思っていると、下のテレビからトヨエツの声が聞こえる。とっくに27時間TVは終わったようだ。さっきまで駅の方から聞こえてきた祭囃子の音も鳴り止んだ。

夏本番前の静かな夜……なかなか読み進まない「東京プリズン」も気になるけど、まずは健康第一。プロポリスでうがいして、今日は、早めに寝ようっと。

2012/07/13

生「陽水」!



 昨日(12日)は、「井上陽水LIVE2012 Hello,Goodbye」を観に(聴きに)東京国際フォーラムへ。

開演は午後7時。その前に“東京&有楽町界隈そぞろ歩き”を楽しもうと3時に家を出た。雲行きは怪しかったが、幸いなことに雨は降っていない。

随分新しいビルが増えたなあ……と、丸の内の高層ビル群を眺めながら歩いていたが、足と目は自然に居酒屋やエスニック料理店が立ち並ぶ東京駅のガード下へ向かっていた。

「東京駅」から「有楽町駅」まで、一通り店を物色した後、会場に程近い居酒屋『鍛冶屋文蔵』のドアを開ける。まだ5時前というのに店内は中々の賑わい。店の雰囲気もまあまあで、久しぶりの居酒屋にツレも何やら嬉しそう。四方山話に興じながら、生ビール()とハイボールを1杯ずつ、串焼き5、6本&つまみ2品で軽く〆たが、喉も気分もイイ感じで落ち着いた。
店を出た後は“〆の麺”ということで東京ビル内の『つるとんたん』に寄り「おろしうどん」を一杯。値段(900)の割には舌に響かない味だったが、バイトらしき“ヤンキーヘア&襟立て姐さん”の気合い十分の仕事ぶりに感服。「うどん」はさておき、人を見る目はしっかりしている店のようだ。

で、会場に着いたのは午後6時半。既に場内は8割方「中高年同窓会」といった感じで大盛況……その一員()である私も「“傘がない”は歌うかな?」「ちゃんと声は出るのかね?」などと、勝手な心配をしながら主役の登場を待った。

7時過ぎ、いよいよ開演。オープニングは「東へ西へ」。“色々ツライことは忘れて今日は楽しくやりましょう”というメッセージだろうか、「ガンバレ みんなガンバレ 月は流れて東へ西へ♪」と満員の会場に響き渡る声は張りも伸びも十分で感激&一安心。一気にアップテンポな4曲を披露した後、軽い挨拶トークを交えながら「自分が好きな番組で、自分の曲が流れるというのは嬉しいものです」と語りながら歌った5曲目は「ブラタモリ」の主題歌「MAP」。詞はよく聞き取れないが、相変わらずシュールで自己チューな雰囲気がGood!……以降「なぜか上海」「ジェラシー」「とまどうペリカン」「新しいラプソディー」「最後のニュース」など私の好きな曲を含めて14曲を熱唱。満場の拍手に包まれながら一端ステージを退いた。

その4、5分後、鳴り止まぬ拍手の中、ブルーのシャツに着替えて再登場。アンコールの1曲目「アジアの純真」を勢いよく歌いだした。その瞬間、会場は一気にヒートアップ。老いも若きも続々と席から立ち上がり、次の「氷の世界」で総立ち状態に……だが3曲目「結詞(むすびことば)」のイントロが流れると、瞬時に会場の雰囲気は一変。興奮に沸いた熱い胸を優しく射られるような静寂へ。何となく1曲目から想像していた展開だが、「浅き夢 淡き恋 遠き道 青き空」と続く美しい言葉と旋律に酔いながら「上手いよなあ(歌も流れも)」と思わず声を漏らしてしまった。
そしてラスト曲は「夢の中へ」。再び“手拍子&総立ち”で会場のボルテージが最高潮になったままライヴ終了……「みなさんお元気で。イエーイ!」と何度も「イエーイ!」を連発した後、楽しそうに笑いながら陽水は去っていった。大興奮の会場もみんな満足顔で心底楽しそう。もちろん私も上機嫌で帰路に就いた(結局、「傘がない」は歌われなかったが)。途中に降られた雨も心地よく。

※昨夜のセットリスト
01.東へ西へ/02.感謝知らずの女/03Make-up Shadow04.俺の事務所はCAMP
05MAP06.タイランドファンタジア/07.なぜか上海/08.海へ来なさい/09.夏まつり(弾き語り)10.人生が二度あれば(弾き語り)11Hello,Goodbye(The Beatles)12.リバーサイドホテル/13.ジェラシー/14.とまどうペリカン/15.新しいラプソディー/16.最後のニュース/17.つめたい部屋の世界地図/18.限りない欲望/19.少年時代
アンコール
20.アジアの純真/21.氷の世界/22.結詞/23.夢の中へ



2012/07/08

服選び、「蝉しぐれ」など。



 ここ3週間ほど企画&デザイン案を練っていた仕事(製品パンフレット)の制作プレゼンが先週金曜日(6日)に無事終了。クライアントの反応も上々で、思わぬことに製品のネーミングまで頼まれてしまった。再来週の連休明けにはイメージ撮影も控えているので少々慌しいが、感謝すべき嬉しい話。で、撮影準備を早めに済まそうと、昨日は朝から撮影に使う「ナースウェア」をネット上で品定め。何十点か見た後、デザイン案&製品のパネル色にマッチするシンプルなシルエットの“白いワンピース”に決めた。当然、自宅に配達されるので、家人に怪しまれないよう「オレじゃなくて、撮影でモデルに着てもらうんだよね~」と説明をしながら“買物かご”へ……「撮影が終わったらどうするの?」と聞かれたが、コスプレが趣味の知人もいないし、さて、どうしよう?

ネーミングの方向性も固まって一息ついた夜は、NHKBSプレミアムで3夜連続放映されていた『蝉しぐれ』(20038月放映の再放送)の最終回をじっくり鑑賞。藩の内部抗争に翻弄される下級武士の姿を描いたドラマだが(原作は藤沢周平)、言い換えれば「少年が大人になる物語」……短くも甘やかな少年の日の淡き想いを胸深く沈め、不遇の身を恥じることなく不当な汚名に耐え、己の信じる道を真っすぐに生きようとする主人公・牧文四郎(内野聖陽)の凛々しい姿、そして全編に漂う静謐さと切なく熱い情感に胸を打たれる瑞々しい作品。人生の機微を知り尽くした名手「藤沢周平」ならではの深く美しい言葉も散りばめられ、再放送とはいえ久しぶりに見応え十分のTV時代劇を堪能させてもらった。(市川染五郎主演の映画版も、ぜひ観たいもの)

ところで、番組的にNHKの充実ぶりばかりが目立つ「BS」だが、最近は民放でも楽しみにしている番組がチラホラ……とりあえず二つほど簡単に紹介するが、まず、中村吉右衛門が番組ナビゲーターを務めるBS朝日の『幸福の一皿』(毎週金曜夜8時、サブタイトルは「美味しさの物語」)。もう一つはBSTBSの『吉田類の酒場放浪記』(通常は月曜夜9時から)。前者は、「カツ丼」「天丼」「まぐろ」「オムライス」「餃子」など、日本人のソウルフードとも言える“幸福の一皿”を、料理人の人生に思いを馳せながら追う楽しさ(&未知の「名店」を知る喜びと既知の店の味を思い出す嬉しさ)。後者は、知らない店にブラっと入って飲んでいるような気分になれる楽しさ……特に、私のように久しく「名店」の味や赤提灯の温もりに触れていない方にオススメ。(ちなみに『幸福の一皿』で知りえた「大江戸」の天丼、「赤坂・珉珉」の餃子は、私の中では“必食”級)





2012/07/03

朝ユーロ、昼シネマ



 前夜に録画をしておいて、早朝からユーロ2012を見る(勿論、結果を知らずに)……そんな生活が続いていたが、それも昨日(2日)で終わり。日本代表戦(W杯アジア最終予選)&なでしこVSアメリカも含め、TVでのサッカー観戦に明け暮れた1ヶ月だった。(その間に、『家族のうた』も『リーガル・ハイ』も終わってしまった)

で、昨日の決勝戦はスペインVSイタリア。期せずして“債務国”同士の対決となったが、ギリシアに続いてユーロ危機の象徴となりつつあるスペインが本来のパス回しとプレースピードでゲームを支配し4:0の圧勝(特に2点目。シャビのスルーパスは見事!)。絶対的司令塔ピルロを中心に激戦を勝ち抜いてきたイタリアには気の毒な試合だったが、現在的に世界最強と謳われるチームが、「完璧な試合だった」(MFイニエスタ)と振り返るのだから、負傷退場者により10人での戦いを強いられた上での“完敗”は仕方のないこと。予選リーグからイタリアを応援していた私だが、その攻撃的サッカーの進化に期待するとともに、素直に「無敵艦隊」によるユーロ2連覇の偉業を讃えたいと思う(大会MVPのイニエスタにも拍手)。また同時に、巨額の借金と高い失業率に喘ぐスペイン国民に、束の間とはいえ幸福感に浸れる明るいニュースが届けられたことも喜ばしい。優勝パレードが行われた今日、マドリードの街は数十万人の市民で埋め尽くされたそうだ。(やはりサッカーは素晴らしい!大会中、一部サポーターの暴動&衝突があったのは残念だが)

続いて昨日の“昼シネマ”……途中、池袋・西武のリブロに寄って池井戸潤の新作『ロスジェネの逆襲』を購入。銀座ファイブのB1にあるタイ屋台料理『ティーヌン』でランチを済ませた後、TOHOシネマズシャンテで『少年は残酷な弓を射る』(1430上映開始)を観た。
「深淵な親子関係を描いた、衝撃的でエモーショナルなサスペンス」という触れ込みだが、モンスター級に邪悪なイケメン息子に身も心も追い詰められていく母親の姿を見ていると、サスペンスというよりホラー映画の域。その分、画面に漂う緊張感は半端ではなかった。過去と現在を交錯させながら緩みなく衝撃のラストへ誘う脚本・演出も巧みでストーリー展開&キャスティングも抜かりなし。主演ティルダ・スウィントンの際立つ演技と存在感を含め、映画としての完成度はかなり高いと思う。でも、もう一度観たいか?と聞かれれば、「ノー!」。何度この映画を見ても、“母性愛の欠落”がもたらす母親自身の罪悪感と息子の心の闇に同調できそうもないし、その強烈な負のエネルギーの所在と結末の相関に対して「何も分からないということが分かった」程度の禅問答のような感想しか持てそうにないから……なので、後味も良くないし、作品のレベルに比して個人的満足度はそれほど高くない。要するに“母が子供に自然な愛の絆を感じられなかったら?”という「母性喪失」的なテーマが自分には不可解、というか不向きなのだと思う。


で、余談だが、映画の緊張感もさることながら、私には別の緊張感も……映画が始まる寸前にヨロヨロと斜め前方の席に座った“お婆ちゃん”が、小刻みに手と体を震わせながら映画を観ていたこと(彼女の隣席の女性は、その様子に耐え切れず別の席に移動)。こんなにエグイ映画を観て体に障るんじゃないだろうか?ショックを受けないだろうか?と気になっていたが、“お婆ちゃん”は、エンドロールと同時に席を離れたようだ。果たして楽しめたのだろうか?映画同様、形容しがたい不可解さが残った。