庄野真代の歌ではないが《割れてしまえ地球なんか!》と、分厚い空に声をぶつけたくなる様な連日の猛暑。皆さま元気でお過ごしでしょうか。(私自身は特に変わりなし。日々体力の衰えは感じますが年相応に元気で過ごしています)
というわけで、久しぶりのブログ更新……あまり旬な話題ではありませんが、まずは、7月7日に行われた東京都知事選について。
(年の所為か「集中して一気に書く」というのがけっこうキツイ。必然アップするのに時間がかかるし、時間がかかれば書いた内容も古くなる。という悪循環で徐々に「書く気も失せてくる」わけですが、変わらず本は読んでいるし、映画も韓ドラも「虎に翼」も観ている。おまけに8月からは初めてのボランティア活動もスタート……以前ほど、筆は進まなくなりましたが、書きたい事があるうちは続けたいと思っています。今後とも宜しく)
◎都知事選1(小池百合子強し!)
N党が仕掛けた「掲示板ジャック」、ある候補者による“ほぼ全裸”ポスター掲出、聴くに&見るに耐えない政見放送など、「(良識も常識も真摯な姿勢も“悪意・冷笑・金儲け”の渦の中に巻き込まれるような)メチャクチャな世の中になっちゃったなあ」と、改めて「底の抜けた日本」を感じさせられた17日間の選挙戦は7月7日、大方の予想通り「現知事・小池百合子」の圧勝で幕を閉じた。
(「ぜひ、この人を!」と積極的に推せる候補者が見当たらない中、私自身の投票方針は「戦略的一択」。「反自民・反小池都政」及び人権&護憲という観点から蓮舫さんに一票を投じた。但し、彼女も旧民主党政権の中枢にいた一人。経済政策的には「緊縮財政派」の印象が強く、新自由主義を是とする他候補と大差なし。政治家としての真摯な姿勢及び人間性はどの候補者よりも信頼できるが、大胆な改革はあまり期待できないだろうなあ。と思いつつの一票)
で、この結果……小池都政の終焉を願った身としてはもちろん喜ぶことはできないが、あまりの大差負け&次点も逃すという惨敗に「ここまで負けるとはなぁ…笑っちゃうしかないね」と、若干寂しくテレビの前で脱力。
(にしても、学歴詐称・電通及び三井との癒着等、あれだけ疑惑が取り沙汰され、自ら答弁の場に立たない傲慢な都政運営を問題視されてもこの強さ。しかも、女性票のダントツの多さ!)
私には“あれだけ怪しい”小池百合子を選んだ女性たちの理由がよく分からないが、少し目線を小池氏側に寄せれば、その選挙戦の姿は「正義を振りかざす政治的マッチョな男たちに叩かれても(“小池やめろ!”コールに演説を遮られても)、騒がず怒らず、微笑みながら余裕で受け流す老練で頼れる政治家」と見えなくもない。言い換えれば「学歴社会・男性社会の中でしたたかに生きる術・出世する術を身につけ、己を偽ってでもひたすらトップの座を目指し、次代の女性たちに道を切り開いた稀有な人物」……そう捉えると、女性たちの圧倒的支持も頷けなくはない。
(といって、私自身は、レイシスト的発言が多く歴史修正主義体質の小池氏を人間的にも政治家としても好きにはなれないし、今後も「反小池」に変わりはない。
兎に角、アメリカ大統領選を見ても分かるように、選挙は生ものであり感情的なもの。「正しさ」だけで人を動かすことはできないし、現状に対する正当な抗議や怒りが必ずしも票につながるわけではない。その逆に「緑のタヌキ」などという揶揄や「やめろ!嘘つき!」等の野次・怒声には鋭く反応し、顔をしかめる人が多いと聞く。改めて、センシティブな女性票を舐めてはいけないなあ…と思った)
◎都知事選2(「蓮舫」選挙戦&選挙後)
一方、負けた蓮舫さんの選挙戦はといえば(私は街頭演説の動画を逐一見ていた)、“ひとり街宣”のきっかけとなった区長選の勝者、杉並区長・岸本聡子さんを始め、様々な分野で活躍する女性たち及び市民活動家や立憲・共産・社民の女性議員たちが次々に車上に立ち、かなりな盛り上がりを見せた序盤は文句なし。「これはひょっとするかも?」と思ったが、後半、リベラル陣営からも「オワコン」と呼ばれる旧民主党・現立民の古株議員たちの登場によって一気に失速した感じ(「オール都民」で戦うはずが、野田佳彦、枝野幸男、長妻昭等が異口同音に小池批判&自民党批判を展開する様は、まるで「立民演説会」。動画を見ながら「野田、早くやめろ!」と声が出そうになったほど)。せっかく党を離れて、一人のリベラルな政治家として立ち上がったのに、これでは旧民主党のネガティブなイメージが増幅するだけで私のようなリベラル&無党派層の支持も遠のく。「これではなあ…」と敗北を予感した。
(選挙後、「共産党と組んだことが敗因」などと、相変わらず共産アレルギーの連合会長や国民民主の玉木などが言っているが、それは彼らの単なる思惑。個人的には「蓮舫(の応援)」よりも今後の政局及び代表戦を睨んで、連合に忖度しつつ立民と自身の存在感をアピールしたい「オワコン」連中が、共産を含めた幅広いリベラルの結集を促すどころかぶち壊したのが敗北の一因になったように思う)
で、そんな私が憤り心底イヤになったのは選挙後。「権力から遠い者&負けた側は容赦なく叩け」とばかりに、蓮舫氏が3位で敗れた事をあざ笑うかのような連日の「蓮舫バッシング」……安全な場所から差別的な言葉を浴びせ続けるSNSの匿名連中はもとより、「あまり人気のない蓮舫ならからかっても、何を言ってもイイ」風に、「2位じゃダメなんですか」という民主党政権時代の彼女の発言を未だに揶揄して流し傷つけるテレビ局、新聞社。「生理的に(蓮舫氏を)嫌いな人が多い」などと偏見に満ちた発言を知った風にほざく低劣なコメンテーター&芸能人。
一体、彼女がどんな悪い事をしたというのだろう。単に一人の政治家として政府と都政の腐敗を追及し、力及ばず負けただけではないか(しかも叩いている側には何も言わず、名誉棄損レベルの言辞で叩かれている側には「冷静になれ」というアホらしいほど歪んだ感覚)。彼女が批判した小池都政の中身には一切触れず、彼女の個性でしかない「出自」「服装」「容姿」「言い方」を叩く、非難するという、その邪悪なエネルギーの半分でも疑惑まみれの小池百合子や自民党(とりわけマイナカード利権に群がる連中の意のまま保険証廃止をごり押し、反論・疑問・質問を一切無視する河野太郎デジタル相!)に向けてみろよ!と文句の一つも言いたくなる。ホント何なんだろうね、この国は!?
(「蓮舫叩きはリベラルな政治家への見せしめ」と誰かが呟いていたが、当たらずと雖も遠からず。しかしこれほどリベラルな政治家、考え方・主張が嫌われ、揶揄われる国になるとはなあ……ということで一言。そんなにリベラルが嫌いならまず一番にやるべきは、自分が支持する党の党名変更を要求することではないだろうか。
《自由民主党=リベラル・デモクラティック・パーティー》のままだと、諸外国から「自由と民主主義を党是に、社会的公正や多様性を重んじる」進歩的な党だと勘違いされちゃって、色々辻褄合わせに困ると思いますが…?)
◎都知事選3(3位は石丸伸二?!)
選挙戦が始まる前から、小池・蓮舫・石丸の三つ巴に争いになるというのが大方の予想。早くから「蓮舫一択」と決めていた自分も新顔・石丸伸二の存在は気になっていた。で、「経済と地方自治のプロ」を自称する彼の人となりを知るべく安芸高田市長時代の動画(市議会での質疑応答、けっこう話題になった「恥を知れ、恥を」等)を何本か見たのだが、「(その中身はともかく)話が上手いなあ。若い人たちとの距離も感じさせないし…」と、少しばかり感心したのは、漫画・鬼滅の刃のエピソードを取り入れながら「かっこいい大人になってください」というお得意の言葉(その決め台詞、私的には気色悪い)で締めくくる「新成人へのメッセージ」一本のみ。他は「話にならない」ほど酷かった。
例えば市議会での答弁。極めて分かりやすい質問に関して(しかも事前に質問文を読み、答弁を準備する日数も与えられているのに)理解できないのか、理解する気がないのか分からないが、まったく答えようとせず、あらぬ方向に話を引っ張り意味不明な事を言う。あるいは質問に対して質問で返す(都知事選後にも見られた姿)。必然、会話が成り立たず、「そんなこと聞いてないよ」「何を言っているの?」という戸惑いの言葉が飛び交う議場になる(こんな質疑応答でも議場内が激しい野次や怒声に包まれたりしない「安芸高田市議会」の懐の深さに只々感心)…そんな光景も石丸支持者には“孤軍奮闘”の様に見えるのかもしれないが、市政のトップがこれほど会話能力・コミュニケーション能力が乏しくては、あらゆる物事が停滞することは必定。安芸高田市はよく我慢したなあ…と思う。
というわけで、私的には「都知事にしてはいけない候補一番手」だったが、何と蓮舫さんを30万票以上上回っての2位……(「本も新聞も読まない」らしい20代~50代の支持が圧倒的だった!ようだ)
「石丸現象は、日本人全体の知性の劣化と、幼稚化の結果であり、それは今後も拡大していくことは間違いない」と、ネットの記事に書かれていたが、残念ながら同意。このイヤな流れ、70代の私たちには止めようがないのかもしれない。
P.S.
7月27日、パリオリンピック開会式……
のっけから凄かった。フランス革命を想起させる映像が流れた後、ギロチンにかかったマリー・アントワネット(の生首)が革命歌「Ah, ça ira !(ア!サ・イラ)」を歌いだし、ヘビメタバンド「GOJIRA(ゴジラ)が歌に合わせて激しくギターを奏でる……そして真っ赤に染まるパリの街並み、画面に浮かぶ「LIBERTÉ(リベルテ=自由)」の文字。その《フランス革命、全力肯定!》とでも言うべき攻めた演出に、自ら自由を勝ち取った市民革命の歴史を持たない国に住む一人として、若干の羨ましさを覚えつつ「さすがだなあ~」と唸ってしまった。
(その他……ピンクの羽根のレディーガガも圧巻だったが、何といっても、ラストを飾ったセリーヌ・ディオン!「愛の讃歌」のあまりの素晴らしさに胸が震え、時間が止まった)