●最優秀作品賞(甲乙つけがたい2作品)
『ホールド・オーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(監督:アレクサンダー・ペイン/製作:2023年、アメリカ)
観終わった後の何とも言えぬ心地よさ。長く記憶に残るであろう珠玉のヒューマンドラマ。『ソウルの春』(監督:キム・ソンス/製作2023年、韓国)」
●優秀作品賞
『密輸1970』(監督:リュ・スンワン/製作:2023年、韓国)
『オッペンハイマー』(監督:クリストファー・ノーラン/製作2023年、アメリカ)
「原爆の父」オッペンハイマーの自伝的映画(数奇な運命に翻弄される稀代の科学者の姿をキリアン・マーフィーが見事に演じている)。被爆国・日本での上映に際して反対運動も起こったが、私的には「日本人こそ観るべき映画」だと思った。
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(監督:アレックス・ガーランド/製作2024年、アメリカ)
というわけで、恐怖と緊張感に縛られ、時折ため息もつきながら鑑賞し終えた一本。衝撃度(&疲労度)で言えば、今年一番の作品かもしれない。
(「この映画はフィクションではあるけれど、50%は実際に起きていることだと思っている」と、監督自身が語っているように、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていくアメリカの様&得体の知れない「レイシスト」の冷酷な行為等、今まさに、世界で、身近で、起きていること。切に戦争の終結を願うが、どうすりゃいいのさ、この世界?!)
『アイアンクロー』(監督:ショー・アーキン/製作2023年、アメリカ)
プロレス好きでなくても、多分、同世代の男なら大抵の人は、その得意技「鉄の爪=アイアンクロー」と共に、名前くらいは耳にしたことのあるアメリカの伝説的プロレスラー「フリッツ・フォン・エリック」。その彼を父に持ち、プロレスの道を歩むようになった兄弟の実話をベースに描いたドラマ。
で、父としての「フリッツ・フォン・エリック」はどうかと言うと、今でいう「毒親」そのもの(しかも超ド級)。世界王者になれなかった自分の代わりに息子たちを「王者」に仕立て上げようと自己流のスパルタ教育を施すのだが、そのスパルタ(というか洗脳)が仇となり、息子たちが次々に死んでいく……(あまりの悲劇に、アメリカでは「エリック家の呪い」と言われていたそうだ)
もう、観ていて腹が立つやら痛ましいやらで仕方なかったが、「毒親」の酷さと「洗脳」故に反抗できない息子たちの不憫さが微妙に相まって、スクリーンに釘付け。「毒親崩壊」の結末を見届け、最後はホッと安堵の息を吐きながら、映画館を後にしたように思う。(得体の知れない磁力すら感じる強烈な一本)
0 件のコメント:
コメントを投稿