2024/12/29

勝手にコトノハ映画賞2024①


●最優秀作品賞(甲乙つけがたい2作品)

『ホールド・オーバーズ 置いてけぼりのホリディ』(監督:アレクサンダー・ペイン/製作:2023年、アメリカ)

観終わった後の何とも言えぬ心地よさ。長く記憶に残るであろう珠玉のヒューマンドラマ。

 

『ソウルの春』(監督:キム・ソンス/製作2023年、韓国)」

[韓国映画、恐るべし]を改めて実感させられる必見の軍事サスペンス&極上エンタメ作品。歴史の闇を明るみに引きずり出す“映画の力”をまざまざと見せつけられた思い。(こういう映画が年間1位の動員数を獲得する国・韓国……やはり日本とは「民主主義」の在り様が違うようだ)


優秀作品賞

『密輸1970』(監督:リュ・スンワン/製作:2023年、韓国)

最強の「海女映画」ここにあり!の傑作。韓流的70年代サウンドも心地よく響いた。

 

『オッペンハイマー』(監督:クリストファー・ノーラン/製作2023年、アメリカ)

「原爆の父」オッペンハイマーの自伝的映画(数奇な運命に翻弄される稀代の科学者の姿をキリアン・マーフィーが見事に演じている)。被爆国・日本での上映に際して反対運動も起こったが、私的には「日本人こそ観るべき映画」だと思った。

 

『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(監督:アレックス・ガーランド/製作2024年、アメリカ)

「アメリカで19の州が離脱し、テキサスとカルフォルニアの西武勢力vs政府軍の内戦が起こっている」という、観る者には「ただそれだけしかわからない」状態で物語は進んでいく(「何故?」という問いは胸に残したまま)……後は、戦場さながら銃撃戦の只中に(マジで怖い!)。時折、低い視線で映される野の花や草の美しさに少しだけ心を癒されるが、それすら哀しく思えてくる。

というわけで、恐怖と緊張感に縛られ、時折ため息もつきながら鑑賞し終えた一本。衝撃度(&疲労度)で言えば、今年一番の作品かもしれない。

(「この映画はフィクションではあるけれど、50%は実際に起きていることだと思っている」と、監督自身が語っているように、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていくアメリカの様&得体の知れない「レイシスト」の冷酷な行為等、今まさに、世界で、身近で、起きていること。切に戦争の終結を願うが、どうすりゃいいのさ、この世界?!)

 

『アイアンクロー』(監督:ショー・アーキン/製作2023年、アメリカ)

プロレス好きでなくても、多分、同世代の男なら大抵の人は、その得意技「鉄の爪=アイアンクロー」と共に、名前くらいは耳にしたことのあるアメリカの伝説的プロレスラー「フリッツ・フォン・エリック」。その彼を父に持ち、プロレスの道を歩むようになった兄弟の実話をベースに描いたドラマ。

で、父としての「フリッツ・フォン・エリック」はどうかと言うと、今でいう「毒親」そのもの(しかも超ド級)。世界王者になれなかった自分の代わりに息子たちを「王者」に仕立て上げようと自己流のスパルタ教育を施すのだが、そのスパルタ(というか洗脳)が仇となり、息子たちが次々に死んでいく……(あまりの悲劇に、アメリカでは「エリック家の呪い」と言われていたそうだ)

もう、観ていて腹が立つやら痛ましいやらで仕方なかったが、「毒親」の酷さと「洗脳」故に反抗できない息子たちの不憫さが微妙に相まって、スクリーンに釘付け。「毒親崩壊」の結末を見届け、最後はホッと安堵の息を吐きながら、映画館を後にしたように思う。(得体の知れない磁力すら感じる強烈な一本)

 

 

 

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