2021/12/24

『東洋の魔女』「篁牛人」、そして神保町。


今日はイブだが、何気にハードで楽しい一日だった今週の火曜(21日)の話……

8時半に家を出て、まずは渋谷へ。ユーロスペースでドキュメンタリー映画『東洋の魔女』を鑑賞。

「東洋の魔女」とは、もちろん1964東京五輪で金メダルに輝いた女子バレーボール日本代表チームのこと。(1961年の世界選手権でソ連を破るまでは「東洋の台風」と呼ばれていたらしい)

で、タイトルからして当然、「日紡貝塚&鬼の大松(のスパルタ指導)」「市川昆の東京オリンピック」「日本の戦後復興」等々、幾度となく観たような映像が流されるだろうし、何も今さら……という気がしないでもなかったが、何故に興味を惹かれたかといえば、このドキュメンタリーがフランス人の監督(ジュリアン・ファロ)によるフランスの映画だったという、その一点。

バレーボールがフランスで人気のスポーツだとも思えないし(ラグビーやサッカーなら分かるが)、まして50年以上前の東京五輪&「東洋の魔女」にヨーロッパのドキュメンタリー監督が惹かれる理由が謎だったわけだが、映画を観て納得。

「東洋の魔女」=「アタックNo.1」だったわけね……

(フランスでもポピュラーなアニメとして知られている「アタックNo.1」が、「東洋の魔女」、とりわけ魔女たちの「常識を超えた過酷な訓練」に影響されて作られた作品ということに監督ジュリアン・ファロ曰く「私の神経路が反応した」とのこと)

というわけで、日紡貝塚女子バレーボール・チームの元メンバーたちのインタビューを軸に、「日本の戦後復興と魔女たちの活躍」が実写とアニメ映像で描かれるドキュメンタリー映画『東洋の魔女』。

その感想といっても、「アタックNo.1」の主題歌〈アタック アタック ナンバーワン♪〉が、いつまでも耳に残る、ちょっとシュールなドキュメンタリーだったなあ…という程度で特に強く心に残ることもなかったが、映画を通じて「鬼の大松」の知られざる一面を知ることがてきたのは収穫。ちょっとした驚きでもあった。

(「鬼の大松」こと大松博文監督は、今なお「史上最悪の作戦」として語り継がれるインパール作戦に40人の部隊を率いる少尉として従軍。部下を一人も死なせず、共に奇跡の生還を果たしたという。元メンバーの女性たちからも「やわらかい叱り方をする人」「彼にするならこんな人がいいなあと思っていた」あるいは「父のように慕っていた」という意外な言葉が……当時私たちが抱いていた“鬼”のイメージも、メディアによって作られた部分が大きかった。ということか)

映画終了後、渋谷から銀座線で虎ノ門へ。

ホテルオークラ併設の美術館「大倉集古館」で、特別展「篁牛人 ~昭和水墨画壇の鬼才~」を鑑賞。


《孤独と酒を最良の友とした異色の水墨画家・篁牛人(19011984)。特定の師につくことも美術団体に属すこともなく、芸術に至上の価値を置く自由奔放な生きざまを貫いた孤高の画家であった牛人は、「渇筆」という技法(渇いた筆などで麻紙に刷り込むように墨を定着させる)によって、独自の水墨画の世界を開拓した。大胆さと繊細さを併せ持つ渇筆は、細くたおやかな筆線と共存し、中間色層が極端に少ない白と黒の画面の中で、デフォルメされた特異な形態表現が不思議な緊張感をみなぎらせる。本展では、牛人の画業を三章に分けて構成し、水墨画の大作を中心として、初期の図案制作に関連する作品なども含め、水墨画の鬼才・篁牛人の世界をあまさず紹介する》

という案内文を事前に読んだだけで、あまり知らない画家。ささっと気楽に見てくるか……と入ったのだが、その絵に視線を投げた瞬間「わっ、すげえ!」と、思わず声が出るほどの圧倒的な迫力。大胆にデフォルメされた動物、人物が紙面狭しと躍動する様は、ちょっと大袈裟に言えば、日本のピカソここにあり!という感じ。(あとで知ったがキュビズムや藤田嗣治の影響を強く受けた画家のようだ)

友人のY君に「なかなか良かったよ」と勧められて足を運んだのだが、期待以上。観て良かった!の美術展だった。(出口で「風神雷神」と「蚊龍」のポストカード購入)


その後、地下鉄で虎ノ門から神保町へ。

午後2時からの忘年会の会場「揚子江菜館」に向かった。

メンバーは、長年の仕事仲間のJINさんとデザイナーのフェアリー(ことO林さん)&私。久しく一緒に仕事をすることもなく、ほぼ2年ぶりの再会だが、コロナに感染することもなく変わらず元気な様子。美味しい中華に舌鼓を打ちながら、酒もすすみ、会話も弾み、あっという間に楽しい時が過ぎていった。

「じゃあ珈琲でも…」と場所を変え、神保町にオフィスがあるJINさんの案内で、日本で最初にウインナーコーヒーを出した店として有名な喫茶店「ラドリオ」へ。

濃厚なホイップクリームが特徴のウインナーコーヒーは、さすがの美味さ。当然ながら、ここでも会話は弾み、小一時間ほど。再会を期して店を出た。

(みんな、また来年、会おうね!)

 

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