2021/12/11

12月頭の(かなり長い)メモ②


123日(金)

先月末、同じ沿線に住む旧知の友人N君から「池袋線つながりで、二人でささやかな年末飲み会でもしますか?」という誘いのメールがあり、この日、所沢で会うことに。

待ち合わせの時間は1350分……その前に、自動車免許返納及び運転経歴証明書の申請手続きを行うため石神井警察署へ。(路頭に迷ったときの“命綱”と思って取った資格だったが、結局、50年間、車とも運転とも全く縁のないまま無事返納)

手続きを済ませ、石神井公園駅前のドトール経由で(コーヒー&読書)、所沢駅に着いたのは1時間以上早い12時半頃。約30年ぶりの所沢ということで、時間つぶしを兼ねて西口「プロぺ商店街」を、ぶらり散策。(所沢のメインストリートらしく、約300mの道沿いに居酒屋、料理店、カラオケ店、献血ルーム、クリニック、薬局、スポーツジム、金融機関などがひしめいており、中々の活気)。

その後、20209月にグランドオープンした駅ナカ商業施設「グランエミオ」へ。

正直、「所詮、所沢の駅ナカ。大したことはない(はず)」と、甘く見ていたが、入ってびっくりの大空間&開放感。

エスカレータを上がれば、BOOK&CAFÉスタイルの立派な本屋がドーンと目の前に(在庫冊数18万冊とか)。そこを起点にさらに奥のフロアへ進んでいくと、グルメ好きが喜びそうなカフェやレストランが適度に並び(中でも気になったのは、4種類のエビスが味わえるビヤバー「YEBISU BAR」)、これはもう、わざわざ池袋に出る必要がなくなったなあ。と思えるほどの充実ぶり。(これで近くに映画館があれば何も言う事なし、なのだが……う~ん、残念!)

というわけで、2年ぶりにN君と会った途端の会話は…「いやー、久しぶり!…しかし、所沢、変わったね~ 驚いちゃった」「そうなんだよ、すごいだろ。西武はとにかく土地もってるからなあ…平気でこんなの作れちゃうんだよね」という感じ。

お互いの無事を喜びつつ、“二人忘年会”の場所「百味」(所沢プロぺ店)に向かった。

この店、BS TBSの人気番組『吉田類の酒場放浪記』で取り上げられたこともあり、酒場ファンの間で「所沢を代表する大衆居酒屋」として、つとに有名のよう。創業は昭和40年…ということだが、コロナ禍の折、20205月に惜しまれつつ閉店。したのだが、再スタートを願う多くのファンの声に応え202012月、新オーナーのもと、装いはそのままに大復活オープンを果たしたそうだ。

私は「食べログ」の評価を見て予約を入れたわけだが、そんな話を聞かされると、初めての店なのに馴染みの客のように情が湧き、さらに期待度アップ……それに違わず、表の看板には「本日、ボトル半額」という嬉しすぎる告知あり(聞けば、毎週金曜日は“フライデースペシャル”と称して、全てのボトルが半額になるとか)。

「ラッキー!焼酎、ボトルで頼まなきゃ」「おいおい、そんなに飲めるかよ!?」「いや、だって、二人で5杯も飲めば、十分、元が取れるでしょ!」と、語り(笑い)合いながら階段を降り入店。

 


2時というのに、かなり賑わっている店内を見渡しつつ席につき、まずはビールで乾杯…と思ったら、N君「ビールは飲まない」とのことで、即、芋焼酎「一刻者」をボトル&お湯付きでオーダー。豊富なメニューの中から、煮込み、焼き鳥10本などを選んで、再会を祝した。

それから延々4時間……ひたすら飲み、食い、話し続け、気が付けばボトルは空。追加で注文した肴(刺身の盛り合わせ、鍋料理など)もすべて食べつくし、酔っ払いの爺二人、「じゃあ、また来年の春に!」と上機嫌で帰路に就いたわけだが(「百味」の料金。〆て、一人3500円という安さ!)……

で、4時間も二人でどんな話をしていたかというと、

1964東京五輪(市川昆監督の『東京オリンピック』は「やはり名作。凄かった!」、リーフェンシュタールの『オリンピア』が参考になったのかも?…というような話から始まり、「あの映画の真の主役は誰だったか? 」というN君の問いに行き着いた。「う~ん?アベベ?チャスラフスカかな?」と答えあぐねていた所、彼曰く「美智子さん」とのこと。それだけ多くの場面に当時の皇太子妃の姿があったという。なるほど。高度経済成長の象徴、華族制度がなくなりみんなが平等になった自由の象徴が「美智子さん」であり、五輪の主役にふさわしかった、ということか)

朝鮮戦争とマッカーサーと平和四原則(話の出どころはN君がいま読んでいるという、ディヴィッド・ハルバースタム著『朝鮮戦争』…これが頗る面白い本のようで、「朝鮮戦争の最終的なターゲットは“日本”……つまり、朝鮮戦争はソ連と金日成が日本攻撃の足場を確保する準備だった」という話。日本では朝鮮戦争と言えば「朝鮮特需」…というだけで、あまり知られていませんが)

ゴジラVS警視庁30年ほど前「広告制作会社」時代に提案し、即、却下された警視庁のリクルート用パンフの企画案だが……随分昔からN君えらくお気に入りの様子で、未だ「もし出来ていたら日本の警察もなかなかのもんだぞ。と、アメリカも驚いたと思うよ」などと、楽しそうに絶賛してくれる。正直、自分としてはそこまで褒められるほどのもんじゃない、とは思うが、この企画のおかげで30年経っても二人で笑い合えるのは幸せなこと。やはり“持つべきものは友”)

日大・田中前理事長(先月末、日大・田中英寿理事長が所得税法違反の疑いで逮捕されたが、話にでたのはその脱税の件ではなく、50年以上も前の「日大闘争」と田中前理事長の関係……当時日大には、「関東軍」と呼ばれる“プロのヤクザ”のような集団(柔道部や相撲部、空手部などの体育会系の学生とそのOB)がいて、日本刀やハンマーを手に学生たちに襲いかかるなど、全共闘つぶしの急先鋒として大学側に重宝されていたわけだが、その「関東軍」を率いていたのが、日大相撲部で学生横綱にもなった「田中英寿」その人。68年当時は経済学部の4年生だったらしいが、“全共闘つぶし”後も大学に居座り、権力の座にのし上がっていった…というわけ。要するにあの頃の“番犬たち”が今の日大を牛耳っているという皮肉。「そういえば、あれだけいた左翼は一体どこへ消えてしまったんだろう?」と、お互い昔を思い出して、少しため息)

などなど。(もっと色々あるけど、きりがない)

P.S.

帰りがけ、N君から自身が書いた雑誌論文のコピー2点を頂く。タイトルは《戦後労使関係史余滴「京浜小唄」》と《最低賃金制の回顧》……もともと労働経済学者である彼。年相応に老いた今も頭脳は衰えることなく某大学名誉教授という肩書で、度々雑誌に論文を発表しているようだ。

(気の置けない仲間の一人なのだが、彼と飲むときは常に楽しく学んでいるような気分。身近な先生というか、賢い兄貴というか……また会う日まで、お互い、元気で! と、切に思う)

 

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