テレビ局が自局の“報道番組制作現場のダメさ”を隠さず撮影した『さよならテレビ』(東海テレビ制作/2018年9月2日放映)が話題になっているらしく、その一部が「ビジネス・ジャーナル」(文・明石昇二郎)で紹介されていた。
【シーン♯1】
局の社員ではない外部スタッフのベテラン記者(49歳)が、ニュース番組で「共謀罪」法案の特集を担当することになった。彼は、NHKが同法案を「テロ等準備罪」と呼ぶ一方、民放他局の中には「共謀罪」と呼んでいる局があることについて、『さよならテレビ』のカメラに向かってこう語っていた。
「共謀罪という言葉を使わないメディアは、批判する気がまったくないという。権力の監視よりも、権力を支えるほうを選んでいるっていうことですよね。恥ずかしいけど」
だからベテラン記者氏は、特集のナレーション原稿に「共謀罪」と書いた。するとデスクから「テロ等準備罪」と直されてしまう。ベテラン記者氏は『さよならテレビ』のカメラに原稿を見せながら、
「ここを直していただいたんですけど」
と、恥ずかしそうに呟く。
(当作品は全国に先駆け「あいちトリエンナーレ2019」で上映される模様。ぜひ「ポレポレ東中野」でも上映してほしい)
要するに「お前たちが生きることは許してやる。但し、俺たちのやることに口出しするな、政治にも興味を持つな」という現・安倍政権や経団連の一貫した態度に、報道メディアが率先して従い、政権を支える側にまわっているのが今の日本だということ。捏造・偽装・改竄・隠蔽…何をやらかしても内閣支持率が下がらないわけだ。(事情通の話によると、TBSとテレビ朝日の内部では政権の問題を報道しようとする現場と、政権に忖度する経営側とのせめぎ合いが続いているが、現場の抵抗は「ギリギリのところにきている」そうだ)
山本太郎を代表とする「れいわ新選組」が、「比例特定枠」に難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の舩後靖彦(ふなごやすひこ)氏と重度障碍者の木村英子氏を入れて、票数に関わらず「障がい当事者を国会に送り込もう!」という歴史的な選挙戦を展開しているが、新聞は片隅で報じるだけで、テレビはまったく無視。(わずか3カ月で個人の寄付金2億5千万超!そのことだけでも、報道する意義があるはずなのに)
太郎君をはじめ候補者10人(ほとんどが「当事者」かつ「問題に長年、取り組んできたスペシャリスト」)の声を聞けば、政治的無関心層の票を一気に喰らい尽くすぐらいのインパクトは起こせると思うのだが、多くの人がその存在を「政見放送」以外で知る機会すら得られないのは、何とも歯痒いこと。(ツイッターの拡散率は断トツらしいけど…)
というわけで、支持者自らが「山本太郎とれいわ新選組」を広く世の中の人に知ってもらう活動を行うほかなし。私も既に数十枚の選挙ハガキを友人・知人に送り、自宅の駐輪スペース横の壁には4連のポスターを貼り終えたが、「れいわ新選組」がどんな政策を掲げ、どのように政治を変えようとしているのかは「街宣」を見る(&聴く)のが一番。以下のアドレスから、「候補者」の熱い声を、ぜひ!
(私の一押しは、「歩く蟹工船」「貧困のデパート」「れいわの最終兵器」など、様々な呼ばれ方をしている「てるちゃん」こと「渡辺てる子」さん。心からの言葉を持っている人は強い!)
【候補者のプロフィール】
ふなご やすひこ
難病ALS当事者
全身麻痺ギタリスト/介護サービス事業会社・副社長
「強みは、障害者だから気付けるものがある」、出馬理由は「私の信条は人に尽くすことだからだ」
木村 英子
重度障害者
全国公的介護保障要求者組合・書記長/全都在宅障害者保障を考える会・代表/自立ステーションつばさ・事務局長
「障害者が生きられる社会は、誰にとっても生きやすい社会であると信じ、日々それを実現するために闘かっています。」
はすいけ透
元 東京電力社員/元 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会事務局長
「東京電力で32年間原子力関連業務に従事した経験から、原発現場の実態を伝えるとともに、福島第一原発事故を当事者目線で分析、考察。原子力の廃止を訴える」
やすとみ歩
「女性装」で知られる経済学者。東京大学東洋文化研究所教授
「子どもを守るということを、政治の原則にしよう!」
《「富国強兵」というスローガンが、未だに我々の社会の指導原理となっている事態は受け入れられません。戦後日本では「強兵」をカッコに入れて、「富国」を「経済発展」と言い換えてきましたが、実質的には同じことです。そして、安倍政権は「強兵」をカッコに入れるのをやめる努力を積み重ねてきました。憲法が改正されれば、「富国強兵」は再度復活することでしょう。国民国家が世界を破滅させかねいない状態でこのような変革を推し進めるのは、非常に危険です。今こそ、「富国強兵」に替わるあたらしい理念を政治の原則とせねばなりません。それは「子どもを守る」だ、と私は考えます。》
三井よしふみ
元セブンイレブンオーナー/元コンビニ加盟店ユニオン執行副委員長
「日本のコンビニフランチャイズは、現代の蟹工船。人手不足が加速し、次々と体調を崩すオーナーたちをこれ以上放置できない。早急に他国には存在し、日本だけが持っていないフランチャイズ規制法を制定し、加盟店が幸せに働ける業界にしたく立ち上がりました。」
野原ヨシマサ
沖縄創価学会壮年部員
「これだけ世の中が悪くなった根本的な原因は、キャスティングボードを握っている公明党と創価学会の変節にあります。解決のためには創価を変革し原点に戻す以外にありません。ファシズム前夜の様相を呈している現今の社会を変革するため、またこの世から不幸と悲惨をなくすため、山本太郎をリーダーとする「れいわ新選組」の仲間たちと力をあわせ頑張っていきたい。」「選挙の際には、絶対に公明党に投票してはいけませんよ。ここ東京で私は(公明党)代表のなっちゃん(山口なつお)とガチンコ勝負でいきます。」
辻村ちひろ
環境保護NGO職員
「人と自然がもう一度ちゃんと付き合う、 正しい持続可能な付き合い方、そういう社会を創りませんか」「日本一個分の暮らしを目指そう。世界の子どもたちの涙の上に成り立つこの繁栄、そういうものをもうやめよう」「都会の人たちの利便性のために、地域を犠牲にする、弱い人たちを犠牲にする、そういう社会を変えよう」
大西つねき
元J.P.モルガン銀行資金部為替ディーラー
「巨大な搾取構造と化した現代の金融資本主義を根本的に変えるために立ちあがった」
「全ての問題の根源は、お金の発行の仕組みにある。政府の借金を税金で返してはならない」「税制に哲学を取り戻し、社会の骨格を作る」「不労所得を一掃し、若者にチャンスを取り戻す」
渡辺てる子
元派遣労働者・元ホームレスのシングルマザー
女性労働問題研究会運営委員/レイバーネット日本運営委員
「働く私たちに、必死に毎日を生きる私たちに、「自己責任だ」として政策の怠慢や無作為行為を容認してしまう政治をなんとしても変えたい。「生きてきて良かった」と思える日本をつくりたい」
「花札のおじさん(トランプ)からポンコツ飛行機を買わされて、誰が得するんだっ!」
「我々が、当事者が、ド庶民が、働く者が、貧乏人が、今の日本を変えなくて誰が変える?お金がなくたって言いたいことは言えますよ。ホームレスやってた私だってできるんです!」
(どういう結果になろうが自公政権が変わるわけではないが、与党が議席を減らせば、政権は消費税や改憲などの政策を見直さざるを得なくなる。そのための一票を「山本太郎」に!)
P.S.
特に経済デモクラシー(右か左かではなく、上か下か。ボトムアップの経済への転換)を唱えながら「消費増税凍結」では、あまりに弱腰。「消費税廃止・減税」を掲げる山本太郎に比べ、インパクトに欠けるのは歴然。また、「令和デモクラシー」と称された政策全般も、どちらかと言えば“未来志向”で「意識髙い系」には好まれるだろうが、“今を変えたい”貧困層や無党派層及び若者や(消極的)自民支持層をも取り込むような強いメッセージ性を感じず、2年前と同じような期待を集めるのは難しいと思う。(石垣のり子、打越さく良、亀石倫子、山岸一生などなど、魅力的な候補者は多いのだが…)