もう十日も前の話。(このところ気分的に忙しく、ブログの更新が遅れ気味)
その日は雨が降っていたが、久しぶりに銀座へ。
松屋銀座7階の展覧会&ギャラリーをチラッと覗いた後、「天龍」で餃子ライスを食べ、その足で「和光」裏のシネスイッチ銀座にIN。イギリス映画『パレードへようこそ』を観てきた。
まずは、前置き抜きに、“大当たり!”の一言。のっけから血が騒ぎ、笑いの渦に巻き込まれ、やがてジ~ンと胸が熱くなる……何とも気持ちよく愛おしくなる映画だった。(特に、若い頃、労働運動に足を突っ込んだ経験を持つ私のような人間にとっては)
舞台は、1984年、サッチャー政権下の不況にあえぐイギリス。サッチャーが発表した炭鉱閉鎖案に抗議し、何カ月にも渡ってストライキを続ける炭鉱労働者とその家族たちを助けようと、ロンドンの同性愛者たちが支援団体「LGSM」(Lesbians & Gays Support Miners)を作るところから物語が始まる。(「彼らの敵はサッチャーと警官。僕らと同じだ」……と、シンプルな発想で支援団体設立に動き出す青年マークの若さが眩しい、清々しい)
しかし、全国炭坑組合に何度電話しても、「同性愛者」であることを理由に寄付の申し出はガン無視。ところが、ひょんな勘違いで唯一受け入れてくれる炭坑が現れ、寄付金のお礼としてその炭鉱町から招待を受けた彼らは、ミニバスに乗ってウェールズの奥地へと繰り出すのだが――というお話。(知られざる実話を基に作られた映画ということにも驚かされたが、撮影も実話の舞台となった町で行われたらしく、2度びっくり)
この作品について監督マシュー・ウォーチャスはこう言っている。
「(LGSMと炭坑組合は)ともに政治的志向のある団体だけれど、心に迫ってくるのは彼らのヒューマニティだ。僕が編集作業中に理解したのは、両極にある人々が障害を乗り越えてユーモラスに関係を築いていくというのが古典的なロマンティックコメディと同じだということ。異なるのは、ふたりの個人ではなくふたつの団体あるいはコミュニティの関係を扱っていること、原動力がロマンティックな恋愛でなく慈悲の心であることだ。そのせいで多分、社会という概念がふと心に浮かんだのだと思う。社会と呼ばれるものはやはり存在すると思ったんだ」
原題は『Pride』……ゲイと炭坑夫という対極にあるような人々の連帯を柱に、ウェールズの地域色&英国庶民の反骨精神(ジョンブル魂)&ゲイと一般人の葛藤を、フィル・コリンズ、カルチャー・クラブなど懐かしのヒットナンバーに乗せ、シリアスかつユーモラスに描いた快作。まさに原題通り、偏見や摩擦を振り払って築き上げた深い友情と、決して失うことのない人間としての誇りが、30年の時を超え見事にスクリーンに投影されていた。
で、映画を観た後、「マーガレット・ファッキン・サッチャー」の呼び名にならって、私もストライキ&パレードに参加した気分でこう叫びたくなった。
シンゾー・ファッキン・アベ!
以上、「勝手にコトノハ映画賞2015」、暫定「最優秀賞」決定です。
以上、「勝手にコトノハ映画賞2015」、暫定「最優秀賞」決定です。
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