2012/04/05

時計を止めて


春の嵐が来る前に、駅前のTUTAYAで借りたDVD『探偵はBARにいる』……昨年9月に劇場公開された映画だが、同じ東映作品で大ヒットした劇場版『相棒』の製作スタッフが再結集して手掛けたものだとか。ならばハズレの不安はない。レビューの評価も高かったので、前から見たいと思っていた。

主役は大泉洋、ハードボイルドに付き物の“運命の女”には小雪。で、舞台は札幌の歓楽街ススキノ、探偵の“事務所”はオーセンティックなBARのカウンター……とくれば、どうしても業界人的に某ウィスキー・メーカーの“仕掛け”を想像してしまうが、勿論そんなあざとい落ちはない。かといって謎解きや結末に目新しさがあるわけでもなく、小技と小物を効かせて通の客をくすぐるベタな探偵モノ。でも、そのアナログな感じがたまらない。そして薫り立つ昭和テイスト……『三丁目の夕日』のようなステロタイプの「昭和」とは一味違う情緒とウィットが全編に息づいていた。

私自身、いきなり冒頭の「カルメン・マキ」の弾き語りシーンで胸がじんわり熱くなった後も、懐かしさ込みでラストまでゾクゾクしっ放し……そして、エンディングでジャックスの名曲「時計を止めて」(カルメン・マキのカバー)が流れて完全にノックアウト。久しぶりに“哀愁・情念・緊張感”の三本柱がビシッと胸前に立つ上質の和製ハードボイルドを楽しませてもらった。また、70年代後半の「遊戯シリーズ」(主演・松田優作)を思い起こさせるような気合いの入った小粋な東映魂を再び感じられたことも、かつての東映ファンとしては嬉しい限り。

では、今日の締めに、やはりこの歌。しびれます。



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