8月に入ると、近くのシネコンの上映ラインナップもすっかり夏休みモード。アニメやエンタメ中心になりイマイチ食指が動かない。
必然、硬派(?)の映画ファンとしては、新宿・渋谷方面、しかもコンパクトな映画館へと足を伸ばしたくなる。
というわけで、先週の水曜(2日)、シネマート新宿・スクリーン2で観た韓国映画『春の夢』(監督:チャン・リュル)……
上映開始13時50分。定員60人の館内はほぼ満員で7割方は中高年女性。韓国映画好きの女性が多いのは知っているが、この手の渋い作品にもこれほど人が押し寄せるのかと、同世代の女性たちにもコアな映画ファンが増えていることに少し驚いたが、そういうわけでもなさそうで……本編がスタートして20分ほど過ぎたあたりで、隣席(の女性)から慎ましい鼾の音が聞こえてきた。(早くも“春の夢”の中)
映画の舞台は、ソウル市水色洞(スセク洞)。その街で故郷酒場という居酒屋を営む若い女性イェリ(ハン・イェリ)と、彼女を目当てに入り浸る3人の男たちが織りなす物語(3人の男を演じるのはいずれも韓国の若手映画監督。その一人ヤン・イクチュンは、あの名作『息もできない』の監督&主演)
といって、韓国映画的な恋愛模様も復讐劇もなければ、何かドラマチックな出来事が巻き起こるわけでもなく、モノクロ画面に映し出されるのは他愛のない日常の1コマばかり。合間に小さな事件は起きるのだが、3人のぐだぐだな日々は一向に変わらないまま……という脱力感満載のゆる~い映画だが、一人“異界”にいるようなヒロイン「イェリ」の不思議な存在感がスクリーンにほどよい緊張感を醸し出す。
その包容力に満ちた女神のような「イェリ」が、冴えないけれど妙に味のある3人の男たちに寄り添い、あてどない時間を共に過ごす中で浮かび上がるやるせなさや哀しみ、そして深い優しさとささやかな幸福感など、じわ~っと染みてくる独特の雰囲気がこの作品のたまらない魅力。ラスト近く、死の気配を漂わせながら踊る「イェリ」の姿に魅せられながら、まるで白昼夢をみているような心地よさで“異界”へと誘われてしまった。
※一昨日(8日)、ようやく秩父の社会福祉法人の総合案内パンフを印刷納品。配布された各施設での評判も上々とのことで、気分良し。
昨日は、ぞっとするような暑さ(37℃!)の中、仕事の打合せで神保町へ。その道すがら、暫くぶりに覗いた「書泉グランデ」はビックリするほど冴えない本屋になっていた。
明日は、「山下洋輔が出るから、観に行かない?」とY君に誘われたコンサートを観るため、初台の「東京オペラシティ」へ。(帰りはその流れのまま、池袋で飲む予定)
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