気温の上昇とともに、運気も上昇……と言うわけでもないが、仕事がポツリポツリと入ってきた。(今週は、直クライアントのユニフォーム用キャッチフレーズ&ロゴ・デザイン制作。来週は某省庁の企画競争でポスター等広報ツールのデザイン案提出)
修行3年目を迎えた、ウチの駆け出しスタイリストも無休(無給?)で頑張っているようだし(最近、メンズ・ファッション誌に「有望若手スタイリスト」として写真入りで紹介されたらしい……「食えるようになるのだろうか?」と心配していたが、ちょっと安心)、オヤジも少し気を入れて頑張らないと。
さて本題、先週の木曜(3日)に新宿ピカデリーで観た映画『あなたを抱きしめる日まで』(原題は『PHILOMENA』)。
まず、内容以前に、タイトル(邦題)に異議あり。作品のテーマも内容も伝わらないし、印象にも残らない。
第一、チケットを買う際「『あなたを抱きしめる日まで』、シニアで」って、なんか恥ずかしいわ!
原題に合わせて『フィロミナの罪』とか『フィロミナの長い旅』とかなら、イメージも湧きやすいし、後々まで胸に残るだろうに、マーケティング上の理由かどうか知らないが、なぜ、わざわざ、ありふれた恋愛ドラマのようなタイトルをつけるのだろう。変に原題をいじらず、素直に考えてくれればいいのに……
と、いきなりケチをつけてしまったが、作品自体は文句なしの素晴らしさ。とにかく、チャーミングでイノセントな“イギリスおばちゃん”を笑わせながら見せてくれた名女優ジュディ・デンチの演技&存在感に脱帽の一作。彼女が画面にいるだけで映画の品格とクオリティが格段にアップするのだから、流石と言うほかない。
もちろん、脚本も見事(モチーフは「カトリックの黒歴史」…1950年代、アイルランドの修道院で行われていた人身売買)。罪の意識を抱えつつ、50年前に無理矢理引き裂かれた我が子を探す主人公フィロミナの旅と、「息子の行方」の真実を求めて彼女に寄り添うジャーナリスト「マーティン」(スティーヴ・クーガン)の心の旅を、フィロミナのセリフと仕草が醸し出す絶妙のユーモアで包みながら、社会問題に鋭く切り込むストーリー展開の妙。圧巻のラストに向けてズンズンと重く加速するドラマの緊迫感は、まるで極上のサスペンス映画を観ているような迫力だ。
もちろん、脚本も見事(モチーフは「カトリックの黒歴史」…1950年代、アイルランドの修道院で行われていた人身売買)。罪の意識を抱えつつ、50年前に無理矢理引き裂かれた我が子を探す主人公フィロミナの旅と、「息子の行方」の真実を求めて彼女に寄り添うジャーナリスト「マーティン」(スティーヴ・クーガン)の心の旅を、フィロミナのセリフと仕草が醸し出す絶妙のユーモアで包みながら、社会問題に鋭く切り込むストーリー展開の妙。圧巻のラストに向けてズンズンと重く加速するドラマの緊迫感は、まるで極上のサスペンス映画を観ているような迫力だ。
そして、息子の消息に関する驚きの真実が明らかになり、かつて母子を引き裂いた非道なシスターに向けて放った、フィロミナの一言の気高さ……
エンドロールが流れる中、私は、体中から余計な力が一気に抜けていくような、心地よい余韻に浸っていた。
以上、タイトルの微妙な恥ずかしさに惑わされてはいけない。凄い女優が演じた、しなやかな魂の物語、ここにあり。
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