2014/02/16

「狼」に失礼だ。



2週連続の大雪……先週同様、昨日も朝からご近所さんと一緒に自宅周辺の雪かき。

「まいっちゃうね~、こんなに降られちゃ」と、皆さん異口同音におっしゃるが、駅前の八百屋のオジサンが言うには、雪はこれで終わりじゃなく3月まで度々降るそうで……あ~、早く春が来ないものか。

さて、先日「Tジョイ」で観たマーティン・スコセッシの新作『ウルフ・オブ・ウォールストリート』……1980年代末から1990年代、証券界の若き風雲児として巨万の富を築きあげながら、証券詐欺の違法行為で逮捕され、ウォール街から去った実在の株式ブローカー「ジョーダン・ベルフォート」の10年間を、ベルフォート自身の回想録を基に描いた実録ドラマだが、その感想を手短に。

まず、全体の印象を端的かつ好意的に表現するなら、分不相応な金を稼いだ男の荒廃した人生に肩入れした金融ブラック・コメディとでも呼ぼうか……アカデミー作品賞、監督賞、そしてディカプリオが主演男優賞にノミネートされているからといって、それに値するほど高いレベルのエンタテインメント作品とは思えないので、あまり期待はしない方がいい。もちろん、涙や感動とも無縁だ。

まあ、“コメディ”なだけにソコソコ笑える部分はあるのだが、すべてシニカルな笑い。独創性の欠片もない連中のアホらしいほど意外性のないドラマを、酒とドラッグとセックスの狂乱によって見せられるだけの無意味で厭世的気分に満ちた3時間を過ごした後、口を突いて出たのは「くっだらねえ~!」の一言。(確かに、ディカプリオは“熱演”だが、映画の内容的に“役者の無駄遣い”という感じ)

リアリズムとは、無批判かつ無責任に社会や誰かの“真実”を描くことではないだろうに……と、スコセッシに文句の一つも言いたくなるような後味の悪い映画だが、そんな主人公を「ウルフ」などとカッコよく持ち上げては、厳しい自然の中で苛酷な縄張り争いを繰り広げながら必死に生き抜く、本物の「狼」にも失礼な話だと思う。




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