「キタ~~、カガワ~!」「あ~、何やってんだよ、マヤ!」「えっ、ハーフナーなの?イヌイでしょ!」とゴールに歓喜し、失点に嘆き、選手交代に疑問の声を投げかけながら愚息とともに熱く見入った今日のイタリア戦。その感想を二言で端的に表せば「やれるじゃないか!」&「もったいない!」
ここ数試合見られなかった素早いパスワーク、敵を圧する豊富な運動量(特に岡崎)、正確なキックと展開力(遠藤!)、本田と香川の連動による連続したチャンスメークなどなど……今日の日本代表は、ブラジル戦が嘘のように思えるほど全く別のチームになっていた。
と言っても、もともと攻撃陣が持っている高いクオリティを改めて証明してくれただけで、それ自体驚くことでも喜ぶことでもないが、何よりゴールへ向かう意識が大きく改善され、ザッケローニ監督が時折口にする“インテンシティ(気合い)”が90分通して感じられる試合を見ることができたのは、代表ファンとして大きな喜びであり収穫。
でも、あれだけ自分たちのペースでゲームを支配し、強豪イタリアを攻撃面で圧していながら、ゲーム運びの拙さと軽率な守りのミスの連続により失点を重ね、自ら試合の流れを悪い方に変え負けてしまったのは「もったいない!」の一言。
サッカーは時に良く戦ったチームに残酷な結果をもたらすものだが、いい試合をしていても、勝ちきらなければ意味がないのが世界レベルのカップ戦。逆に、動きが鈍く終始劣勢に立たされながらも何とか試合をマネジメントし、少ないチャンスを確実に決めて勝利をもぎ取ったイタリアの底力が一枚上と納得するほかなく、その経験と決定力の差は点差以上に大きいように思う。
ともあれ、最後まで前を向いて戦い続けたイタリア戦は、キャプテン長谷部が言うように「日本代表のターニングポイントになる試合」であり、W杯に向けて見失いかけていた「光が見えた」ゲームであったことは間違いない。
「光」とはもちろん、香川、本田(+岡崎)を軸にした質高い中盤の攻撃陣。特に負けたチームから異例のMOM(マンオブザマッチ)に選出された香川が放った輝きは、本田と並び“日本の至宝”と呼ぶにふさわしいものだった。
同時に、その「光」を遮る「闇」(不安)もあるのが現在の日本代表。本田と香川の前に位置すべき頼れるストライカーの不在&判断力・統率力に優れたセンターバックの不在は、今後も世界レベルの戦いにおいて解決し難い課題として残り続けるのではないだろうか。その意味でも、若きストライカーの台頭、そしてDF陣、特に吉田麻也の更なる成長を期待したい。(闘莉王の代表入りは無理かなあ?)