2020/03/30

続・近況など


 
(昨日は)朝から大粒の雪が舞う、寒い日曜日。

当然ながら私も“外出自粛中”(五輪ファーストの東京都知事の“突然の自粛要請”にはムカついたが、実際、ここで食い止めないと近々ロックダウンを避け得ない緊迫した状態なのだろう)ということで、日がな一日テレビ&ネット漬け。朝から「サンデーモーニング」のコメンテーターの話に耳だけ傾けながら、ネットで記事やツイッターをチェックしていたら、その著書『結婚のヤツ』が評判になっているエッセイスト・能町みね子さんのこんな言葉に遭遇した。

「頭が良い悪人に統治されるのは怖いけど、頭が悪い悪人に統治されるのは生きる気力がなくなる」

う~ん、まさにそんな感じ(「明けない夜はない」というけど、うんざりするほど長い夜が続いているもの)。不可抗力とはいえ、こんな時に国のトップにいる人間も不運だろうが、世界の危機をこの首相で迎えた私たちこそ不運以外の何物でもない。“希望の灯”連発の記者会見(28日午後6時~)も、実に気色が悪かった。

(「世界中を未曽有の不安と恐怖が覆う中で、日本は持ち前のイノベーションの力で希望の灯を灯す存在でありたい」とか「この聖火こそ今まさに私たちが直面している暗く長いトンネルの出口に人類を導く希望の灯であります」とか、誰の作文か知らないが、いま国のトップに出来ることはそんな三文ポエムで国民を鼓舞することではなく、いかに被害の拡大を防ぐかという「ダメージコントロール」だけ……なのに、企業倒産や生活困窮者の続出が懸念される状況で、こんな歯の浮くようなセリフが吐けてしまうのは、国民の保護ではなく、自分と政権の保身を最優先に考えてしまっているからだろう。
その首相の言葉を借りるなら“今まさに”必要なのは、イチかバチかの商業五輪に導く“希望の灯”でもアベノミクスの失敗を隠すための経済対策でもなく、緊急の生活支援策。
お肉券とか、お魚券とかアホなことを言ってないで、早く具体的な数字を示して日本銀行券を配らなきゃ!)

さて、「続・近況」…

数十年間変わらず購読していた朝日新聞の契約を、先月一杯で打ち切った。「政治関連の記事や社説がありきたりでつまらない」「広告ページが多すぎて中身が薄くなった&読みにくい」など、理由は幾つかあるが、総じて政権に対峙するジャーナリズムとしての姿勢が感じられなくなり、触発される記事がほとんどなくなった事が一番。

そのセンスの鋭さに一目置いている編集委員・高橋純子さんのコラムや時折ビビッとくる「耕論」、思わずニヤリの「朝日川柳」などが読めなくなるのは少し残念だが、抗議の意思を表すためにも一旦リセットすることに…。

というわけで現在は、ニュースなどの情報収集はネット&テレビ中心(『NEWS23』、『報道特集』、BS『報道1930』等、ほぼTBSオンリー)。それプラス、先々週から新たに「週刊文春」が加わった。

きっかけは「森友自殺(財務省)職員遺書全文公開」と題された大阪日日新聞記者・相澤冬樹氏(元NHK記者)の記事と、赤木俊夫氏が遺した「手記」(326日号)。

12頁。一気に読了。痛ましさと、彼の自死を招いた者たちの悪辣さ、その両方が胸に迫ってくる出色の記事だった。
(私同様「手記」を読んだO君、曰く「文春には参議院に会派が作れるくらいの議席をやりたい。立憲とか国民とかの議席を削ってでも。」…もちろん、異議なし!)

で、前号に対する感謝と応援の気持ちを込めて先週も「文春」(42日号)を買ったわけだが、スクープ記事以外にも、
桑田佳祐「ポップス歌手の耐えられない軽さ」、能町みね子「言葉尻とらえ隊」、
みうらじゅん「人生エロエロ」、宮藤官九郎「いま、なんつった?」、
町山智浩「言霊USA」、福岡伸一「パンタレイパングロス」などなど、
刺激的で面白いエッセイ&コラムが目白押し。

これで定価440円(税込)は、お得!というほかなし……と、「朝日」に代わって、「文春」の購読を決めた次第。(4月からは「東京新聞」も購読する予定)

映画は、317日に新宿武蔵野館で観た『レ・ミゼラブル』(監督:ラ・ジリ/製作:フランス、2019年)が抜群の面白さ。さすが『パラサイト』とカンヌのパルムドールを競った作品、グサッと心に突き刺さる傑作だった。(テーマの重さ・深さは『パラサイト』よりコチラの方が上かも? 特にダイバーシティの難しさ…「多様性が大事」と、口では簡単に言えるけれど、差別感情渦巻く世界の中、中々厄介な問題であります)

当然“超オススメ作品”だが、今は不要不急の外出自粛の時。映画館はガラガラで空調も整っているが(いわゆる密閉・密集ではない)、それでも暫く我慢するのが賢明。(ちなみに「新宿武蔵野館」は、ウイルス対策として奇数席のみのチケット販売だった)

※コロナに気を取られ、ここ2ヶ月ほど、あまり本は読んでいないが、タイ旅行の際に機内で読んだ西加奈子の小説『 i 』は、その圧倒的な筆力にゾクゾクするほどの名作。(一気読み必至)
2019年・馬事文化賞を受賞した早見和真の競馬小説『ザ・ロイヤルファミリー』も、臨場感たっぷりで読み応え十分。(競馬やその世界も知らない人でも楽しめるはず)

自粛が長引きそうな今は、先月に買いだめしておいた3冊…恩田陸の『ドミノin上海』、生物学者・更科功の『美しい生物学講義 感動する生命のはなし』、ドン・ウィンズロウ『ザ・ボーダー』、そして友人のTAKENAKA君が送ってくれた『追わずとも牛は往く――労働義務のない村で――』など順繰りにボチボチ…(まずは『ドミノin上海』からスタートかな?)

P.S.
今朝、仕事に向かう電車内で「志村けん死去」の報(ヤフーの号外)を受け取った。

喜劇人としても人間としても、とても魅力的で愛すべき人だった。享年70歳、残念の一言。(にしても、感染症の流行は恐ろしい!)

それから数時間後……《ネット上では「中国人に殺された」などのヘイトスピーチも広がっている》とのこと。

社会学者・宮台真司の言葉を借りればネトウヨ(およびヘイト)は「知性の劣化ではなく、感情の劣化」。日本を代表する喜劇人の死すら憎悪の言葉で汚して静かに悼むことができないとは、何とも情けない世の中になったなあと思う。

以上。とにかく、みんな元気で!(くれぐれも気を付けましょう。お互いに!)

 

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