2016/01/14

年明けの10日間。



新年初日は、近場の東伏見稲荷神社に初詣。長蛇の列で参拝するまで1時間近くかかったが、天気も良く、朝からの酒の酔いを醒ますにはほどよい待ち時間……今年も「無病息災」だけを祈願し、すぐにおみくじの列に並んだ。
で、引いたのは、超久しぶりの「大吉」。ここ数年、ロクな事しか書かれていないおみくじのせいで、新年早々モヤっとした気分だったが今年は一転。その景気の良い文言通り「良い年にしたいなあ~」と気持ちを新たに、帰りのバスに乗り込んだ。

2日は例年通り、いつものメンバー4人で新年会。いつもながらの話(政治・社会、映画、本、音楽、スポーツ、仕事など)が弾み、いつながらのカラオケ2次会……私は「逢わずに愛して」(内山田洋とクールファイブ)を皮切りに、ブルーハーツ(「終わらない歌」「人にやさしく」「夕暮れ」)、陽水、そして再びクールファイブ「花の時・愛の時」を熱唱(?)。すこぶる楽しい3が日の夜だった。(胸にグッときたのは、ueちゃんが歌った「愛だけを残せ」。さすが、中島みゆき!凄い歌を作るもんだ)

3日は初バイト。なまった体に気合いを入れて行ったが、いつも賑わっている駐輪場が嘘のような静けさ。当然、仕事も暇で特にやることもなく、ただ歩き回っているだけの5時間だった。夜は近くの焼肉屋で家族3人ささやかな新年会。

5日は家で、去年見逃したチャン・イーモウ監督の『妻への家路』をDVD鑑賞。文化大革命によって引き裂かれた家族の情愛と哀しみを描いた物語(娯楽よりの作品が増えている今の中国では、文革の時代を知らない若者も多くいて、こういう題材の映画を作るのはかなり難しいらしい)……ということで、北京五輪開会式・閉会式の総監督を務めるなど、ちょっと言い方は悪いが、権力にすり寄ることで確固とした地位を築き上げた文革経験監督チャン・イーモウの原点回帰とも言われている作品。
文革の記憶の風化が進む中、「一度失われてしまったものは、そう易々とは戻らない」という監督自身の深い思いが、大女優コン・リーの圧倒的な演技力を介して、切々と哀しく画面に投影されているように思えた。

で、78とバイトが続き、9日。
「年賀状来ないなあ、どうしたんだろう?」……と気になっていた旧友T君から、「あけましておめでとう」の手紙と句誌が入っている封筒が届いた。(句誌は彼が所属している俳句結社のもの)

秋蝶のなほ飛ばんとする死のかたち

赤んぼうの尻に口づけ春きざす

肯定と否定と酒の銀河かな

寒月や真白き糸のやうに生き

久しぶりに読ませてもらった句もいいが、「社会運動をやろうとは思っていないが、思考だけは、鋭く持続していきたいと思っています」という手紙の結びも彼らしさを感じる嬉しいもの。変わらぬ友の思いに触れ、妙に酒が進む夜だった。

10日は、日本橋公会堂で開催された「TRIBUTE TO ELVIS 2016」へ。(エルヴィス・プレスリー没後、彼の誕生日(18日)に合わせて、毎年行われてきた生誕祭。私とツレは2年ぶりに参加)
開演は1330分。司会・ビリー諸川の軽妙なトークに誘われ、エルヴィスのTV出演映像などが収められた「グレイトパフォーマンスPART1」の上映がスタート……亡くなる6週間前(1977621日)、最後のTV出演となった「Elvis In Concert」で、ピアノを弾きながら歌った「アンチェインド・メロディ」が胸に沁みた。


上映終了後は、生誕祭の目玉「今年、“傘の祝い”なのよ」と明るくおっしゃる音楽評論家・湯川れい子さんの「新春対談」。ゲストは、なんと前川清!……エルヴィスにまつわる二人の思い出話もさることながら、「ねえ、ベッキーが不倫で泊まったホテルって、長崎のあそこじゃない?ほら、きれいな夜景が見渡せるところ」「あ~あ、〇〇〇ホテルですか。私も泊まったことありますよ」とか、「ところで、アンちゃん(アン・ルイス)とは、ホントに付き合っていたの?」「ええ、付き合ってましたよ」「で、なんで別れたの?」といった“ぶっちゃけトーク”炸裂の面白対談に会場は沸きに沸き、笑いと拍手に包まれた。
こういう話を交えて観客を楽しませながら、ちゃんと相手の素の魅力を引き出していくのが、湯川さんの凄さ(黒柳徹子と並んで国宝級の80歳だと思う)。対談の〆としてエルヴィスの2曲「好きにならずにはいられない」「この胸のときめきを」を歌ってくれた前川清もダンディで好感のもてる楽しい人だった。
対談後は20分の休憩を挟んで、国内外のエルヴィス・コンテストで数々の受賞歴を持つ“和製エルヴィス・プレスリー”こと「桐生大輔」のメンフィス凱旋ライブ(約1時間、激しいアクションで会場を沸かしてくれたが、肝心の声に深みも厚みもなく、私的には興奮度ゼロ)、「グレイトパフォーマンスPART2」(やはり胸にくる「アメリカの祈り」!)と続き、1830分終演。短く感じる大満足の5時間だった。(チケットは6000円……やや高い気はするが、主催者と湯川さんへのお布施のつもりで、ぜひ、来年も!)

以上。若干遅めの「ブログ始め」となりましたが、今年も、どうぞよろしく。

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