2014/08/20

2週間のご無沙汰(&反戦映画の名作)



名古屋ロケから戻って早2週間。
(86日は、14時撮影スタート、20時半インタビュー取材終了。21時半からホテル近くの居酒屋「風来坊」でNさん他2名と夕食を兼ねた飲み会。翌7日は一人、世界最大のプラネタリウムがある「名古屋市科学館」へ。朝9時半に着いたのだが、既に長蛇の列……「3時間後の観覧になる」とのことで断念し、同じ地下鉄沿線にある「東山動物園」見学に方針転換。夏バテ気味の動物たちを眺めながら、炎天下、2時間近く歩き回っていたら、コチラもバテバテ状態に。汗だくのシャツを駅のトイレで着替えて帰路に就く)

テープ起こしに手間取り、思うように仕事のピッチが上がらず困ったが、やっと先週木曜にコピーを書き上げ、デザイナーのH君にメール送り。(昨日、クライアントにデザイン・レイアウトを送って、今はチェック待ち)

と、仕事が一段落したところで、金曜(15日)は映画鑑賞。(その後、新宿『鼎』にて飲み会)

池袋の新文芸坐で、反戦映画の名作『軍旗はためく下に』(1972年東宝作品/監督・深作欣二)を観てきた。(新文芸坐では、810日~19日まで「815 終戦の日によせて 反戦・社会派映画特集」を開催していた)
丁度、終戦(敗戦)記念日と重なったせいだろうか、上映30分前にも関わらずフロアは凄い人だかり(新文芸坐の常連らしき人も驚くほどの大盛況)。入場待ちの列が伸びすぎ3人一列に並び直しての入場となったが、混雑は収まらない。あっと言う間に席が埋まる中、何とか前から3列目の端を確保し、腰を下ろした。(観客は中高年7割、20303割という感じ)

そして10分後の午後240分。館内の平和な熱気を戦争の狂気で覆い尽くすように、悲惨な真実を迫真の描写力で伝え切る衝撃のストーリーが始まった。

冒頭のシーンは1971年の戦没者追悼式典、昭和天皇の慰霊の言葉が重なる。その1時間40分後、ロック風にアレンジされた「君が代」が流れるラスト、主人公・富樫サキエ(左幸子)の痛切な独白を最後に映画は終わる。「父ちゃん、あんたやっぱり、天皇陛下に花あげてもらうわけにはいかねえだね」……

原作は直木賞作家・結城昌治の同名小説。あのマイケル・ムーアも絶賛した異色ドキュメンタリー『ゆきゆきて、神軍』(監督・原一男)でも取り上げられたパプアニューギニアでの「敵前逃亡処刑事件」を題材に、残された未亡人が夫の死の真相を探る過程を通じて軍隊の非人間性と戦争の不条理を暴き出す……という作品だが、15歳で終戦を迎えた「元軍国少年」深作欣二は、国家の冷酷と天皇の存在に対しても鋭い批判の刃を真っ直ぐに突きつける。(脚本には、新藤兼人も加わっている)

というわけで、青春期に惜しくも見逃してしまった反戦映画は、お涙頂戴の感動美談で描かれる昨今のエンタメ風・戦争映画とは、質はもとより、その戦争観・国家観に於いて対極にある作品。それ故に、とても現在では作り得ない映画だろうが、例え、悲惨な歴史の真実から目を逸らそうとする人々に「日本を貶める映画」などとバッシングを受けようとも、「愛国」の調べにのって遠く軍靴の音が聞こえる今の時代にこそ観られるべき圧巻の傑作だと思う。(深作作品としても、『仁義なき戦い(広島死闘篇)』『仁義の墓場』に並ぶ傑作!)

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