2013/02/10

ぶっ飛びアート鑑賞。


昨日は、いま話題のアート展「会田誠 天才でごめんなさい」を観に六本木・森美術館へ。

駅から美術館に行くまでの道のり、至る所にその展覧会のポスターが貼られているのだが、どんなものかと言うと、美しい自然に囲まれた滝の上から下まで、水と戯れるスクール水着の女子高生が埋め尽くしている絵……事前に見知っていたとはいえ、改めて街中で見るとその怪しさに“何じゃ、こりゃ~!?”と、驚くばかり。

ところが、いざ会場に入って色々な作品を見た後に、もう一度この『滝の絵』に出あうと、かなりマトモで健全に思えてくるのだから、不思議。さほどに、他の作品が刺激的でぶっ飛んでいるというわけだが……

先ず、最初に目にした作品『切腹女子高生』、のっけから「すげーや」と声が出ちゃいました。タイトル通りたくさんの女子高生が刀で自分を自分で切り刻んでいる絵だが、真ん中で刀を構えすっくと立っている娘だけは無傷。思うに、リストカットや援助交際などで自分を傷つけず、本当に切るべきものに立ち向かうべし、と言っているような痛々しくも勇ましい感じ。

その隣の『鶯谷図』は、大量のピンクチラシ(女の子の写真付)をコラージュして桜の樹に模したもの。欲望うごめく都の闇に咲く桜(=女)、否、どこで咲こうが桜は桜、汚くないさ、とてもキレイだ!みたいな(笑)……で、『日本語』と題された立派な“絵巻”の文字を真面目に読んでいると小バカにするように「氏ねゴミカス」とか書いてあり(ネットの掲示板のつもり?)、思わず「やられた!」と一本取られた気分に……

と、イチイチ作品を観た時の感想(反応)を述べているときりがないほど、ナンセンス&グロテスク、でも面白くてドキドキ(?)するような作品が目白押し。(あるフェミニスト団体からの抗議に配慮したらしく、18禁の展示場もある)

中でも特に気に入ったのは(と言うか笑いっぱなし)、『日本に潜伏中のビン・ラディンと名乗る男からのビデオ』(2005年)。
会田誠自身がビン・ラディンに扮し(友人に「お前の顔、ちょっとビン・ラディンに似てるよな」と言われたのが発想の発端らしい)、「ワタシ、引退します。日本に来てから毎日ダルくて、やる気がなくなった……日本、ぬるま湯ね」とか「昔の日本は好きだけど、今は嫌い。バカの国になった……コイズミ、バカ。バカが首相をやっている国、バカね」などと炬燵に入って酒を飲みながらくだを巻いているだけのビデオだが、緊迫した中東と平穏な日本の距離感・温度差が伝わるオモシロ作品。

その他『一人デモマシーン』、『ジューサーミキサー』、『灰色の山』、戦争画RETURNSと題された作品群など、社会の様々な事象を素直に捉え、痛烈な皮肉で表現し返すという、一種爽快な離れ業に触れながら心湧き立つ時を過ごしたわけだが、そのファイヤー状態のままに、滅多に買わない図録とポストカード3枚を購入。

それでも脳ミソの火は収まらず、帰りがけに池袋リブロで、高村薫『冷血』、村上龍『55歳からのハローライフ』、そして友人から薦められた早川義夫『たましいの場所』など、いつ読めるかも分からない本を買いだめ。

で、今日もなんだか、気分爽快……誠に、凡才でごめんなさい。

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