昨夜のNHK『SONGS』はラテン・ロックのスター「サンタナ」。
私がその名を初めて耳にし、代表作「ブラック・マジック・ウーマン」を聴いたのは40年以上も前。当時、新宿の街で偶然知り合ったラジカルな年上の関西人に「シカゴとかツェッペリンとかタダのブラスバンドやんか……えっ、サンタナ知らんの? ごっつええよ~、革命的で、泣けるで~」みたいな感じで仕切りに薦められたのがきっかけだった。
今では名前も顔も忘れた“関西男子”の熱い口調&束の間の刺激的な出会いを思い出しながら30分、ウッドストックや来日映像を楽しんだのだが、『SONGS』の前にテレ東『美の巨人たちパリSP』(ナビゲーター小林薫)を見ていたこともあって、やはり胸に残ったのはナベサダとのセッションで聴かせた「哀愁のヨーロッパ」(まあ、元々大好きな曲だし)……で、この曲、カルロス・サンタナがプロコル・ハルムの曲に触発されて作ったものらしいが(恐らく「青い影」か?)、初めて聴いたときは、邦題どおりの漂う哀愁に心が捉われ、何とも言えぬ儚さと寂しさに包まれたものだった。
その狂おしい響きが“泣きのギター”と呼ばれ、情感的で湿っぽい演歌の世界に近いということで、日本でも大ヒットしたわけだが、改めて「哀愁のヨーロッパ」を聴いてみると、壮大な無常感と言うか、青春期の安っぽい感傷や演歌的な涙とは異質のスケール……何世紀にも渡る長い歴史の中で繰り返されてきた人間の営為、その膨大な光と影に真っ直ぐ添う純粋で潔い残響のように感じられるのは、単に私が年を取ったせいだろうか。