ここ一週間、10社コンペの案件(ポスター制作)とは言え仕事が忙しいのは結構なことだが、連日、溜息しか出てこないようなニュースばかりで、イヤになる。
「愛国無罪」と叫びながら大暴れする人たちを見ているのも甚だ気分が悪いが、急に勢いづいて「9条改正」「軍備拡充」を叫びだす政治家たちの顔を見るのも同じくらい気分が良くない。
そのせいで、昔、仲畑貴志さんが書いた「JR九州(ポスター広告)」のコピーを思い出してしまった。
地球は、まったく驚いている。
人類には、ホント困ったものだと。
◎みんな仲よくするのです。
◎いじわるはイケマセン。
◎ズルもだめです。
◎わがままもやめましょう。
こうして注文を並べてみると、
幼稚園のお約束みたいだね。
週末はひとつ、子供の頃にもどって、日帰りの旅でもいかがです。
というわけで「領土問題は、もうウンザリ。JRに乗って旅に行きたいなあ」という感じだが、今朝の朝日新聞・文化欄に載っていた記事は興味深い視点で書かれていて面白かった。
タイトルは「尖閣・竹島 なぜ熱くなる」……(ホンに、ワタシも疑問です)
進化心理学が専門の明治大学情報コミュニケーション学部長・石川教授によると、「土地をいかに確保するかが生死に直結する自然環境で、生物は長く進化してきた。その環境では自分の領地の内部で侵入者に対して激しく抗議し、しかし領地の外部では平和的に振る舞う『なわばり戦略』が有効だった」そうだ。でも、「なわばり意識が遺伝子に組み込まれているんだから、仕方ない、というのが進化心理学の結論ではない。『過去の環境においては最適解だった』がポイント。今、人間は原始的な自然環境で生きているわけではない。動物的な感情を発動しないでどう理性的に行動するかが最適解ではないか」と説く。
さらに領土問題の経済的利害について、尖閣近辺の学術調査に携わったことのある自称“右派のナショナリスト”の猪間明俊氏(元石油資源開発取締役)は、「実際に掘らないとわからないのが海洋資源。仮にあるのが確実でも、掘れなければそれは資源ではない。膨大な資金を投入するリスクの大きな事業を、国際的に係争している地域であえてする事業者がいると思いますか?」と疑問を投げ、実際問題としては日中共同開発以外に道はないと言う。
では、漁業は? そもそも尖閣周辺の海は日中漁業協定で双方が操業できることになっている。もしこれ以上に実効支配を強めたら、どうなるだろう。中国は軍艦を出すだろうし、対抗上日本も護衛艦を出し、一触即発。漁業どころではなくなる。それ以前に、「日本の漁獲量はこの10年で半減し、中国は倍増。漁業従事者の高齢化など構造上の問題で、尖閣の実効支配を強化しても解決しない。日本がもはや海洋国でなくなったことの方が重大」(軍事ジャーナリスト・田岡俊次氏)……国防上でも、重要なのは制空・制海権で、寄港地も造れない小さな島に軍事上の意味はないらしい。むしろ、米国の出方次第(領土問題には、既に中立・不関与を公言)では「反米」「反中」の気運が国内で盛り上がり日本が孤立しかねないとのこと。
う~ん、なんだかなあ……である。双方が折れずに揉めていてもちっともいい事はなさそうだ。私的にも、いくら「尖閣・竹島」に資源的・国防的・経済的価値があると言われても、戦争で失われるものよりも大きな価値があるとは到底思えないし。
いっそ、仲畑さんのコピーを見習い、尖閣も竹島も、そこで長く暮らしている人がいない以上、「誰のものでもない。地球のものだ!」と言い放ってしまいたくもなる今日この頃。とにかく、あまり熱くならずにいきましょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿