1月13日(月)
歌人・エッセイストであり、中高で国語科の非常勤講師として働く著者の学校教育をめぐるエッセイ集『がっこうはじごく』(著者・堀静香/百万年書房)読了。
フランスの哲学者ミシェル・フーコーの『監獄の誕生』にヒントを得たらしい刺激的なタイトルに惹かれて手に取ったのだが、内容は至って真摯で常識的(とても読みやすいが、“思考的ラジカルさ”を期待した分、少し拍子抜け)。要するに、フーコーが批判したように「一つの知の体系、定められた価値規範によりよく従うようになる」という意味で、今も「学校は地獄、教室は監獄」のままだが、その中で、自分自身の言葉を持ち、自由を獲得するために、どんな気づき方があるのだろう?…総じて「自由な学び」が生まれる教室とは?という問いかけの書といった感じ。心優しい著者なりの「知の解放」への一歩、教師として、また歌人としての飛躍へのチャレンジと捉えたい。(私自身は、特に中学時代に「自由な学び」を味わえた一人。そのお陰で70年以上“定められた価値規範に従う”ことなどなかったが、その代わり何かと憤ることの多い人生に……別に悔んじゃいませんが)
1月17日(金)
午前中は練馬方面で仕事。その足で池袋へ。池袋シネマロサで『敵』(監督:吉田大作、主演:長塚京三)を観てきた。(筒井康隆の同名小説を『桐島、部活やめるってよ』等の吉田大八監督が映画化)
主人公は、仏文学者で大学教授の職をリタイアし、祖父の代から続く日本家屋に一人暮らす渡辺儀助77歳(妻とは死別)……と書くと、寂しい独居老人の姿を思い浮かべるだろうが、“質実剛健”という言葉を久しぶりに思い出すほどの整った暮らしぶり。加えて料理は上手いし、蓄えもまあまあ豊富。“孤独”とも無縁そうで、時には友人と酒を酌み交わし、教え子を招いてディナーも振る舞う。正に“イケおじ”ならぬ“イケ爺”といった風情だったが、物語中盤、書斎のパソコン画面に突然「敵がやって来る」という不穏なメッセージが流れた辺りから、“整った”雰囲気は一変。普段はインテリらしいプライドの高さによって抑え込まれていた煩悩が、彼の妄想の中で顕在化、哀しくも可笑しい“夢と妄想の人”儀助さんの余生が描かれる……という「さすが筒井康隆!(&吉田大作)」的展開。その筋立ての面白さに拍手し(もちろん心の中で)、ほど良いユーモアに包まれながら、現世の煩いや執着から離れて「穏やかな死」を迎えることの難しさを、改めて思い知らされる108分だった。
(というわけで、新年早々、日本映画の好調さを強く印象付けられた一本。早くも日本アカデミー賞主演男優賞が噂される長塚京三はもとより、儀助の現実と妄想を行き来する3人の女性「瀧内公美、河合優香、黒沢あすか」も実に個性的かつ魅力的……河合優実も良いが、この映画でのイチ押しは瀧内公美)
兵庫県議・竹内さん死去。デマを拡散させ、誹謗中傷を繰り返し、彼を自死に追いやった「立花孝志」を、兵庫県警はなぜ逮捕しないのか?!(立花の動画に拍手したり、その嘘を真に受けファクトチェックもせずにメディアで流す「東国原」及びその他大勢も同罪)
本当にイヤな日本になったなあ……とてもついていけない(ついていく気もないけど)。
夜は『べらぼう』からの『御上先生』(TBS21時~ 脚本・詩森ろば、主演・松坂桃李…初回から早くも傑作の予感!)
1月21日(火)
テレビに顔が映るだけで凄くイヤな気分になる「トランプ」の就任式。不吉な予感しかないが、4年間の間にアメリカは、世界は、そして日本はどうなっているのだろう?
(ちなみに、トランプは、私的に「世界から消えて欲しい5人」のトップ。残りの4人はプーチン、イーロンマスク、ネタニヤフ、ルカシェンコ……つい最近、飲み会の席でそれを友人たちに話していたら「習近平は?」と聞かれた。中国は「習近平」というより中国共産党の一党支配体制が問題なわけで……でも、まあ6番目ですかね~)
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