5月5日、作曲家であり世界的なシンセサイザー奏者の富田勲さんがこの世を去った。
もう20年以上も前になるが、仕事上の知人の紹介で富田さんにお会いしたことがある。
場所は六本木の音楽スタジオ。とある電子楽器メーカーの新製品発表会の席上だったと思う。(と言ってもオフィシャルな場という雰囲気はなく、軽くお酒を飲みながらシンセサイザー音楽を楽しむという、かなりフランクな会だった)
時間にして1時間くらいだろうか。「宮沢賢治」に始まり「オウム真理教」まで、私が振るかなりヘビーな話題に、嫌がりもせず飄々とした表情で真摯に答えてくれた富田さんの姿が今も記憶の片隅にしっかり残っている。
その話の中で特に印象深かったのは、シンセサイザー音楽作品としてのデビュー・アルバムを世に出した当時、「こんなのは本当の音楽じゃない」とレコード会社をはじめ様々な音楽関係者に非難を浴びたことに自ら触れ、「じゃあ本当の音楽って、なんだ?!」「時代の変化に呼応して、進化していくのが本当の音楽じゃないのか?」と改めて憤っていたこと。その憤った顔すら穏やかで優しく、無垢な少年のように見える不思議な人だった。
享年84歳。きっと今頃は「銀河鉄道」の中で「月の光」に照らされながら、静かに眠っておられることだろう。
その人生に敬意を表するとともに、心からご冥福をお祈りしたい。
その人生に敬意を表するとともに、心からご冥福をお祈りしたい。
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